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上陸許可基準とは|在留資格該当性との違い、基準省令と更新への影響

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上陸許可基準とは|在留資格該当性との違い、基準省令と更新への影響

上陸許可基準とは|在留資格該当性との違い、基準省令と更新への影響

2026/09/04

上陸許可基準とは、外国人が日本に上陸しようとする場合に、その活動が在留資格に該当することに加えて満たすべき要件を、法務省令で定めたものをいう。この省令は基準省令と呼ばれる。上陸の可否は、在留資格該当性と上陸許可基準への適合性という2つの要件によって判断される。

この記事の要点

  • 上陸の可否は、在留資格該当性と上陸許可基準への適合性の2つで判断される。
  • 基準は法務省令(基準省令)に定められ、在留資格ごとに内容が異なる。
  • 基準省令が適用されるのは就労資格などの一部であり、身分に基づく在留資格には適用がない。
  • 学歴又は実務経験、報酬額、事業の規模など、客観的に確認できる要件が中心である。
  • 在留資格の変更や在留期間の更新の審査でも、基準に準じた判断がされている。

上陸許可基準とは何か

上陸許可基準は、上陸のための条件の一部をなす省令上の要件である。入管法は、上陸のための条件として、活動が在留資格に該当することのほか、一定の在留資格については法務省令で定める基準に適合することを求めている。

この基準は、受け入れる人材の質や事業の実体を客観的に確認するために設けられている。たとえば、専門的な業務に従事するといえるかどうかを、学歴や実務経験という形で外から判断できるようにするものである。基準は在留資格ごとに定められており、内容は大きく異なる。

在留資格該当性と上陸許可基準はどう違うか

審査の対象が異なる。在留資格該当性は、その方が日本で行おうとする活動が、入管法の別表に定められた類型のどれに当てはまるかという問題である。これに対し、上陸許可基準は、その類型に当てはまることを前提として、さらに満たすべき条件を定めたものである。

したがって、活動が在留資格に該当していても、基準に適合しなければ上陸は認められない。逆に、基準を満たしていても、活動そのものが在留資格の類型に当てはまらなければ意味がない。2つの要件は順に検討する必要がある。

どの在留資格に適用されるのか

基準省令が適用されるのは、就労資格や留学など、活動に基づく在留資格の一部である。身分又は地位に基づく在留資格には適用がない。

在留資格基準省令の適用主な基準の例
技術・人文知識・国際業務あり学歴又は実務経験、日本人と同等額以上の報酬
経営・管理あり事業所の確保、資本金の額、常勤職員の雇用等
留学あり経費を支弁する能力、教育機関に関する要件
教授、芸術、報道なし在留資格該当性のみで判断される
永住者、日本人の配偶者等、定住者なし身分又は地位に基づくため基準の定めがない

具体的にどのような要件が定められているか

代表的なのは、技術・人文知識・国際業務の基準である。従事しようとする業務について、これに必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して大学を卒業したこと、又は10年以上の実務経験を有することが求められる。国際業務に係る一定の業務については、3年以上の実務経験で足りるとされている。

あわせて、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが求められる。経営・管理の在留資格については、事業所の確保や資本金の額などが定められており、令和7年10月16日から内容が大きく改められている。

基準に適合しない場合はどうなるか

上陸のための条件に適合しないものとして、上陸は認められない。実際には、その前段階である在留資格認定証明書の交付申請の段階で、不交付という形で結論が出ることが多い。

基準に適合しない場合でも、業務内容の見直しや、他の在留資格の検討によって道が開けることがある。学歴で基準を満たせないときに実務経験で満たせないか、業務の内容を専門性のある形に整理できないかといった検討である。事実を作り替えるのではなく、実態を正確に説明できる形に整理するという発想が必要である。

在留資格の変更・更新でも基準は問題になるか

上陸許可基準は本来、上陸の際の要件である。もっとも、在留資格の変更や在留期間の更新の審査においても、基準に準じた判断がされる運用となっている。

とくに転職により業務内容が変わった場合には、新しい業務が在留資格に該当するか、基準に相当する水準を満たすかが改めて問題になる。就労資格証明書の交付を受けておけば、更新の際の見通しを立てやすくなる。

外国人の事件で上陸許可基準が問題になるのはどのような場面か

実務では、申請書に記載された業務内容と実際の業務が異なっていた場合に問題となる。専門的な業務として申請しながら、実際には現場作業に従事していたという事例である。

この場合、在留資格に応じた活動を行っていないと評価され、在留資格の取消しや更新の不許可につながり得る。虚偽の申請であったと判断されれば、刑事責任の問題も生じる。採用の段階で、業務内容と基準の関係を正確に整理しておくことが重要である。

よくあるご質問

Q1 在留資格に該当していれば上陸できますか。

在留資格に該当することは必要ですが、それだけでは足りません。基準省令が適用される在留資格については、学歴や実務経験、報酬額などの基準にも適合する必要があります。2つの要件は別々に判断されます。

Q2 永住者や日本人の配偶者にも基準はありますか。

身分又は地位に基づく在留資格には、上陸許可基準の定めがありません。ただし、永住許可には別途の要件があり、日本人の配偶者等については婚姻の実体が審査されます。基準がないことと、無条件であることとは異なります。

Q3 実務経験が10年に足りない場合はどうなりますか。

技術・人文知識・国際業務については、大学等での専攻と業務内容の関連性が認められれば、実務経験がなくても基準に適合し得ます。学歴と実務経験のどちらで基準を満たすのかを、最初に整理することが大切です。

Q4 日本人と同等額以上の報酬とはどういう意味ですか。

同じ企業で同種の業務に従事する日本人と比べて、報酬が低くないことを意味します。同種の日本人がいない場合には、同じ業界や地域の水準が参考にされます。最低賃金を上回っていればよいということではありません。

Q5 在留期間の更新でも上陸許可基準は問題になりますか。

上陸許可基準は本来は上陸の際の要件ですが、更新や変更の審査においても、基準に準じた判断がされる運用となっています。転職により業務内容が変わった場合には、改めて確認しておくことをお勧めします。

おわりに

上陸許可基準は形式的な要件に見えるが、実際には業務の中身をどう説明するかという問題に行き着く。申請の内容と日々の業務が食い違えば、後の更新で行き詰まる。採用の段階から、実態に合った整理をしておくことをお勧めする。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

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執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

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