日本人の配偶者等とは|婚姻の実体、別居や離婚後の在留と定住者への変更
2026/09/04
日本人の配偶者等とは、日本人の配偶者、日本人の特別養子および日本人の子として出生した者に与えられる在留資格をいう。身分または地位に基づく在留資格であり、活動の内容に制限がないため、職種を問わず働くことができる。
この記事の要点
- 該当するのは配偶者、特別養子、日本人の子として出生した者の三つの類型である。
- 婚姻届が出ているだけでは足りず、夫婦としての共同生活の実体が求められる。
- 配偶者としての活動を6か月以上行わないでいると、在留資格の取消し事由となりうる。
- 離婚や死別をしたときは、14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る必要がある。
- 離婚後も日本で生活を続ける場合、定住者への変更を検討することになる。
日本人の配偶者等とは何か
日本人の配偶者等とは、日本人との身分関係を理由として在留を認める資格である。就労の内容に制限がないため、就労資格のように職務内容と学歴や職歴との対応を問われることがない。生活の実態に沿った働き方ができる点で、外国人にとって使いやすい在留資格である。
他方、身分関係が資格の基礎であるから、その関係が失われれば在留の根拠も失われる。離婚した瞬間に在留資格が消えるわけではないが、そのまま放置してよいわけでもない。
誰が日本人の配偶者等に該当するか
結論として、次の三つの類型に限られる。いわゆる内縁の配偶者や、普通養子は含まれない。
| 類型 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日本人の配偶者 | 法律上の婚姻をしている者 | 婚姻の実体が必要であり、届出のみでは足りない |
| 日本人の特別養子 | 民法上の特別養子縁組による養子 | 普通養子縁組は該当しない |
| 日本人の子として出生した者 | 出生の時に父または母が日本国籍を有していた者 | 法律上の親子関係が必要である |
日本人の子として出生した者については、出生後に父が認知した場合の扱いなど、事案ごとに慎重な検討を要する。外国で成立した婚姻や縁組については、日本の法律上も有効に成立しているかを確認する必要がある。
婚姻の実体とは何か
結論として、同居し、互いに協力し扶助し合う、社会通念上の夫婦としての共同生活があることをいう。
審査では、同居の状況、生計の共同、交際の経緯、婚姻に至った事情、双方の親族との関わり、日常の連絡の状況などが確認される。写真や通信の記録、住民票、家計の資料などが資料となる。
婚姻の実体がないにもかかわらず在留資格を得た場合は、在留資格の取消しの対象となるほか、刑事責任を問われることがある。婚姻届に虚偽の内容を記載して提出した行為は、公正証書原本不実記載等の罪に問われうる。仲介した者については、より重い責任が問われることもある。
別居していると在留資格を失うか
結論として、直ちに失うものではないが、入管法22条の4により在留資格の取消しの対象となりうる。
同条は、日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していることを取消し事由の一つとして定めている。ただし、正当な理由がある場合は除かれる。単身赴任、入院、配偶者からの暴力を避けるための別居などは、正当な理由に当たりうる。
問題となるのは、離婚の話し合いが長引き、別居のまま在留期間が経過していく場合である。事情を説明できる資料を整えないまま時間が過ぎると、取消しの手続に進むことがある。別居が始まった段階で、今後の在留をどう組み立てるかを検討しておくことが望ましい。
離婚や死別した場合はどうなるか
結論として、14日以内の届出が必要であり、その後は在留資格の変更を検討することになる。
配偶者と離婚し、または死別したときは、その日から14日以内に出入国在留管理庁へ届け出なければならない。届出をしないまま放置すると、それ自体が不利な事情として扱われる。
日本での生活を続ける場合は、定住者への変更、就職先が決まっていれば就労資格への変更、日本人の子を監護養育している場合はその事情に基づく在留を検討する。事案によっては、特定活動が認められることもある。
日本人の配偶者等と定住者は何が違うか
結論として、資格の基礎となる事情が異なり、婚姻関係の解消による影響も異なる。
| 比較項目 | 日本人の配偶者等 | 定住者 |
|---|---|---|
| 資格の基礎 | 日本人との婚姻または親子関係 | 法務大臣が認めた特別な理由 |
| 離婚の影響 | 基礎を失い、変更の検討が必要となる | 直ちには影響しない |
| 永住許可の在留年数 | 婚姻が3年以上継続し引き続き1年以上在留 | 定住者となってから引き続き5年以上在留 |
外国人の刑事事件で日本人の配偶者等が問題になるのはどのような場面か
結論として、婚姻の実体が争われる事件と、配偶者との間の事件の二つが典型である。
前者は、いわゆる偽装結婚として捜査を受ける場面である。取調べでは交際の経緯や同居の状況が詳細に問われ、その供述が入管手続にも用いられる。事実と異なる調書が作られると、後の在留審査で覆すことは容易ではない。早い段階で弁護人を選任し、通訳を介した取調べの内容を確認しておく必要がある。
後者は、夫婦間の暴行や傷害の事件である。刑事処分の内容によっては、更新の際に素行の点で不利に働き、婚姻関係の破綻とあいまって在留の基礎を失うことがある。刑事手続と在留の問題は一体として考える必要がある。
よくあるご質問
Q1 婚姻届を出せば必ず在留資格をもらえますか。
届出だけでは足りません。同居し互いに協力する夫婦としての実体が求められます。交際の経緯や同居の状況を示す資料を準備してください。
Q2 別居していますが、在留資格はどうなりますか。
直ちに失うわけではありませんが、配偶者としての活動を6か月以上行わないでいると、在留資格の取消し事由となりえます。単身赴任や入院、暴力を避けるための別居など正当な理由があるときは、その事情を説明できるようにしてください。
Q3 離婚したらいつまでに何をすればよいですか。
離婚した日から14日以内に出入国在留管理庁へ届け出てください。そのうえで、在留期間が残っているうちに、定住者や就労資格への変更を検討することになります。
Q4 日本人の子どもがいれば在留を続けられますか。
子を親権者として現に監護養育している事情は、変更の審査で重く考慮されます。もっとも、それだけで結論が決まるわけではなく、生計や素行も併せて審査されます。
Q5 偽装結婚を疑われています。どうすればよいですか。
取調べでの供述は入管手続にも影響します。事実と異なる内容の調書が作られないよう、早い段階で弁護人にご相談ください。中国語の通訳が必要な場合もご相談いただけます。
おわりに
日本人の配偶者等は、身分関係が基礎であるだけに、関係が揺らいだときの影響が大きい。別居や離婚が現実になったときに、届出と在留資格の変更をどの順序で進めるかによって、その後の生活の見通しは大きく変わる。
外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
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