定住者とは|告示定住と告示外定住の違い、離婚後の変更と就労の自由
2026/09/04
定住者とは、法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める外国人に与えられる在留資格をいう。身分または地位に基づく在留資格の一つであり、活動の内容に制限がないため、職種を問わず働くことができる。
この記事の要点
- 活動に制限がなく、就労の内容や職種を問われない点で就労資格と大きく異なる。
- あらかじめ告示で類型化された告示定住と、個別に判断される告示外定住がある。
- 離婚や死別の後も日本での生活を続ける場合の受け皿として用いられることが多い。
- 在留特別許可において与えられる在留資格として典型的なものである。
- 永住者とは異なり在留期間の定めがあり、更新を続ける必要がある。
定住者とは何か
定住者とは、就労や留学といった活動を理由とするのではなく、その人が置かれた身分や事情に着目して在留を認める資格である。日系人やその家族、離婚後も日本人の子を育てている親など、日本社会との結び付きが強い人に与えられてきた。
就労の制限がないことから、生活の安定という点で大きな意味を持つ。他方、在留期間の定めがあるため、期間ごとに更新の申請が必要であり、更新が認められなければ在留の基礎を失う。この点で永住許可とは異なる。
定住者にはどのような類型があるか
結論として、定住者告示により類型化されたものと、告示によらず個別に判断されるものに分かれる。
| 区分 | 主な例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 告示定住 | 日系2世および3世とその配偶者、中国残留邦人等、日本人等の扶養を受ける未成年で未婚の実子、難民として認定された者 | 要件を満たせば国外からの呼寄せが可能 |
| 告示外定住 | 離婚後の在留、死別後の在留、日本人の実子を監護養育する親、配偶者からの暴力を受けた者 | 日本国内の事情に応じて個別に判断される |
告示定住は、あらかじめ定型化されているため、在留資格認定証明書の交付を受けて新規に入国することができる。これに対し、告示外定住は、すでに日本にいる外国人の個別の事情を踏まえて認められるものであり、あらかじめ基準が公表されているわけではない。
定住者と永住者や日本人の配偶者等は何が違うか
結論として、在留期間の有無と、資格の基礎となる事情が異なる。
| 比較項目 | 定住者 | 永住者 | 日本人の配偶者等 |
|---|---|---|---|
| 在留期間 | 定めがあり更新が必要 | 定めがない | 定めがあり更新が必要 |
| 就労の制限 | ない | ない | ない |
| 資格の基礎 | 法務大臣が認めた特別な理由 | 永住の許可 | 日本人との婚姻または親子関係 |
| 婚姻関係の解消 | 直ちには影響しない | 影響しない | 在留資格の基礎を失う |
離婚によって日本人の配偶者等の基礎が失われた場合に、定住者への変更を検討するのが実務の典型である。
離婚や死別のあとに定住者への変更が認められるのはどのような場合か
結論として、日本での生活の基礎が確立しており、独立して生計を営めることが示された場合である。
審査では、婚姻していた期間の長さ、同居の実態、日本語能力や地域社会との関わり、就労の状況と収入、納税や社会保険料の納付状況、素行などが総合的にみられる。日本人との間の子を親権者として現に監護養育している場合には、子の福祉の観点が重視される。
もっとも、これらについて公表された数値の基準があるわけではない。婚姻期間が短くても、配偶者からの暴力によって同居を続けられなかったなど、やむを得ない事情がある場合には、その事情を資料とともに具体的に説明することが重要になる。
定住者の在留期間と更新はどうなるか
結論として、5年、3年、1年、6月などの期間が指定され、期間ごとに更新の申請をすることになる。
更新の審査では、定住者として認められた理由が引き続き存在するかどうかが確認される。日本人の実子を監護養育していることを理由に定住者となった場合、子と離れて暮らすようになれば、その基礎が失われたと判断されうる。生活状況に変化があったときは、更新の申請までに事情を整理しておく必要がある。
定住者の在留資格を失うのはどのような場合か
結論として、更新が認められない場合、在留資格の取消しを受けた場合、退去強制事由に該当する場合である。
入管法22条の4は、偽りその他不正の手段により在留資格を得た場合などを在留資格の取消し事由として定めている。また、拘禁刑の実刑判決を受けたときは、その内容によっては退去強制事由に該当する。定住者は就労に制限がないため安定した資格に見えるが、刑事事件によって在留の基礎が揺らぐ点は他の在留資格と変わらない。
在留特別許可で定住者が与えられるのはどのような場面か
結論として、退去強制事由に該当する者について、日本に残す必要が認められた場合に与えられる典型的な在留資格が定住者である。
長期間にわたり日本で平穏に生活してきた者、日本人や永住者の子を養育している者、日本で生まれ育った子がいる家族などについては、在留特別許可により定住者の在留資格が与えられることがある。令和5年改正入管法により、在留特別許可の申請手続が法定され、考慮事情も法律上明示された。判断の枠組みが条文化された以上、家族関係や在留の経緯を条文の項目に沿って具体的に主張することが従来にも増して重要になっている。
よくあるご質問
Q1 定住者は職種を問わず働けますか。
働けます。定住者は活動の内容に制限がないため、就労資格のような職種の限定を受けません。ただし在留期間の定めはありますので、更新の手続は必要です。
Q2 離婚したら当然に定住者へ変更できますか。
当然に認められるものではありません。日本での生活の基礎、生計の状況、素行などが総合的に審査されます。日本人との間の子を監護養育している場合は、その事情が重く考慮されます。
Q3 定住者から永住許可を申請できますか。
できます。定住者となってから引き続き5年以上在留していることが一つの目安とされています。ほかの要件も満たす必要がありますので、時期を見て準備してください。
Q4 定住者の家族を日本に呼べますか。
定住者の配偶者や未成年で未婚の実子については、定住者としての在留が認められる場合があります。具体的な資料の準備が必要ですので、事前にご相談ください。
Q5 刑事事件を起こすと定住者の資格を失いますか。
直ちに失うわけではありませんが、量刑によっては退去強制事由に該当し、更新の際にも不利に働きます。処分の見通しが立った段階で、在留への影響を確認してください。
おわりに
定住者は、就労の制限がないため安定して見えるが、その基礎となった事情が失われれば更新は容易でなくなる。離婚や失職といった生活の変化があったときこそ、次の更新までに何を整えるべきかを早めに考えておきたい。
外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
本記事の簡体字版はこちらをご覧ください。
執筆者情報
弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京にて行政事件に関する対応
----------------------------------------------------------------------