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退去強制事由とは|入管法24条の類型と刑事処分との関係を表で整理

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退去強制事由とは|入管法24条の類型と刑事処分との関係を表で整理

退去強制事由とは|入管法24条の類型と刑事処分との関係を表で整理

2026/09/04

退去強制事由とは、外国人を日本から退去強制するための法律上の理由をいい、入管法24条に列挙されている。不法入国や不法残留のほか、刑事処分を受けたことを理由とするものが含まれる。同条のどの号に該当するかによって、その後の手続や在留を維持できる可能性が大きく変わる。

この記事の要点

  • 退去強制事由は入管法24条に限定列挙されており、これに該当しなければ退去強制されない。
  • 薬物に関する法令違反は、刑の軽重や執行猶予の有無を問わず事由となりうる。
  • 入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者を対象とする。
  • 同条4号の2は、別表第一の在留資格で在留する者について、執行猶予付きの場合も対象としうる。
  • 該当する号が分かれば、出国命令や在留特別許可を含む次の選択肢を検討できる。

退去強制事由とは何か

退去強制事由とは、入管法24条が列挙する、退去強制の対象となる外国人の類型である。列挙されていない事情を理由に退去強制されることはない。

手続の流れとしては、入国警備官による違反調査で該当の疑いが生じ、入国審査官の違反審査で該当性が認定される。認定に不服があれば口頭審理を請求し、さらに異議の申出をすることができる。どの号に該当するとされているかは、この手続の全体を通じて争点となる。

主な退去強制事由にはどのようなものがあるか

実務でよく問題となるのは、在留状況に関する事由と、刑事処分に関する事由の二つの系統である。

区分主な内容
不法入国、不法上陸有効な旅券を持たずに入国した場合や、上陸許可を受けずに上陸した場合
24条4号ロ(不法残留)在留期間の経過後も日本に残留している場合
24条4号イ(資格外活動)在留資格に属さない収入を伴う活動を専ら行っていると明らかに認められる場合
24条4号チ(薬物事犯)麻薬、大麻、あへん、覚醒剤などに関する法令に違反して有罪の判決を受けた場合
24条4号リ無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合(執行猶予の言渡しを受けた者を除く)
24条4号の2別表第一の在留資格で在留する者が、法律に列挙された一定の罪により拘禁刑に処せられた場合

刑事処分と退去強制事由はどう結びつくか

刑事事件を起こした外国人にとっては、罪名と刑の種類、そして在留資格が別表第一か別表第二かの組合せで結論が変わる。

別表第一は技術・人文知識・国際業務や留学などの活動に基づく在留資格、別表第二は永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者という身分または地位に基づく在留資格である。24条4号の2は別表第一の在留資格で在留する者を対象としているため、同じ罪、同じ刑であっても、在留資格の種類によって退去強制事由への該当が分かれる。

刑事処分薬物事犯4号の2に列挙された罪その他の罪
罰金該当しうる該当しない該当しない
執行猶予付きの拘禁刑該当しうる別表第一の在留資格であれば該当しうる該当しない
1年以下の実刑該当しうる別表第一の在留資格であれば該当しうる原則として該当しない
1年を超える実刑該当しうる該当しうる該当しうる

退去強制事由に該当するとどうなるか

該当が認定されると、退去強制令書が発付され、収容と送還の手続に進むのが原則である。

もっとも、その前に口頭審理と異議の申出の手続があり、異議に理由がないと判断される場合でも、在留特別許可によって在留が認められる余地がある。また、不法残留のみに該当し一定の要件を満たす場合には、出国命令による出国という選択肢もある。どの号に該当するとされているかが、選択肢の幅を決める。

外国人の刑事事件ではどの段階で検討すべきか

検討すべきなのは判決後ではなく、捜査の初期段階である。

罪名の選択、起訴されるかどうか、実刑となるか執行猶予となるか、刑期が1年を超えるかどうかは、いずれも退去強制事由への該当を直接左右する。とりわけ薬物事犯は、刑の軽重を問わず事由となりうる点で他の罪と扱いが異なる。示談や被害弁償によって処分の軽減を目指す場合も、量刑上の効果だけでなく、在留への影響を見据えて方針を立てるべきである。

よくあるご質問

Q1 執行猶予がついても退去強制されますか。

罪名と在留資格によります。執行猶予付きの拘禁刑であっても、薬物に関する法令違反の場合や、別表第一の在留資格で在留する方が法律に列挙された罪で処罰された場合には、退去強制事由に該当しうるとされています。

Q2 罰金でも影響がありますか。

薬物に関する法令違反では、罰金であっても退去強制事由となりうるとされています。他の罪では、罰金のみで直ちに退去強制事由に該当することは通常ありません。ただし在留期間の更新の場面では別途考慮されます。

Q3 永住者でも退去強制されることはありますか。

あります。永住者は別表第二の在留資格ですので4号の2の対象外ですが、薬物事犯や1年を超える実刑の場合には退去強制事由に該当しうるとされています。

Q4 1年ちょうどの実刑ならどうなりますか。

4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としています。1年を超えるかどうかが分岐点となるため、量刑の見通しは在留に直結します。

Q5 退去強制事由に該当すれば必ず日本を出ることになりますか。

そうとは限りません。該当する場合でも、在留特別許可が認められれば在留を続けられます。まずはどの事由に該当するとされているのかを確認し、それに応じた主張と資料の準備を進めることになります。

おわりに

退去強制事由は、どの号に該当するかによって、その先に残された選択肢がまったく変わります。刑事事件の見通しと在留の見通しは一つの問題であり、判決が出てから考え始めたのでは間に合わないことも少なくありません。処分の内容が固まる前に、全体の構図を確認しておくことをお勧めします。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

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執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

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