舟渡国際法律事務所

借りている部屋を民泊に使って摘発されたとき|旅館業法違反・住宅宿泊事業法違反と、在留資格への影響

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借りている部屋を民泊に使って摘発されたとき|旅館業法違反・住宅宿泊事業法違反と、在留資格への影響

借りている部屋を民泊に使って摘発されたとき|旅館業法違反・住宅宿泊事業法違反と、在留資格への影響

2026/09/10

都内のマンションの一室を借り、宿泊客を泊めていたとして旅館業法違反の疑いで摘発される。このような報道が、近年、繰り返し伝えられています。宿泊予約サイトを通じて海外からのお客様を受け入れ、自分は鍵の受渡しと清掃だけを手伝っていた、という方も少なくありません。ご本人の感覚としては「空いている部屋を使ってもらっただけ」ということもあるでしょう。もっとも、日本の法律は、反復継続して宿泊料を受け取る行為を、許可または届出を必要とする事業として厳格に管理しています。そして外国籍の方の場合、問題は罰金の額にとどまらず、在留資格そのものに及びます。

本記事の要点

  • 反復継続して宿泊料を受けて人を宿泊させるには、旅館業法上の許可、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)による届出、国家戦略特別区域法による認定のいずれかが必要です。
  • 無許可で旅館業を営んだ場合、旅館業法10条は6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金を定めています。無届の住宅宿泊事業についても、同法が定める罰則があります。
  • 借りている部屋の又貸しは、民法612条の無断転貸として契約解除の理由になり、態様によっては刑事責任が検討される場面もありえます。
  • 外国籍の方にとって最も重い問題は在留資格です。資格外活動(入管法24条4号ハ)、在留資格の取消し(同法22条の4)、在留資格該当性の喪失が同時に問題になります。
  • 罰金で終わった場合でも、在留期間の更新・変更・永住許可の各審査における素行要件で正面から評価されます。退去強制事由に該当しないことと、更新が許可されることは別の問題です。

そもそも、日本で民泊を営むには何が必要ですか

許可・届出・認定のいずれかが必要であり、そのどれもない状態で宿泊料を受け取れば、無許可営業として処罰の対象になります。

制度は大きく3つに分かれます。第1に、旅館業法に基づく都道府県知事等の許可を受ける方法です。第2に、住宅宿泊事業法に基づく届出を行う方法で、この場合には年間の宿泊提供日数に上限が設けられています。第3に、国家戦略特別区域法に基づく特区民泊の認定を受ける方法です。いずれにも当てはまらないまま宿泊料を受け取れば、旅館業法違反として、同法10条の定める6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象となりえます。無届で住宅宿泊事業を行った場合についても、同法が定める罰則が問題となります。

なお、営業に当たるかどうかは、反復継続の意思をもって宿泊料を受け取っているかどうかで判断されるのが一般的です。友人を無償で泊める行為までが直ちに規制されるわけではありません。他方、宿泊料を「清掃費」「光熱費」といった名目に置き換えていても、実質が宿泊の対価であれば、名目によって結論が変わるものではないと考えられています。

どのようにして摘発されるのですか

多くの場合、端緒は近隣からの苦情です。深夜の話し声、ごみ出しのルール違反、オートロックを内側から解錠して見知らぬ人を招き入れる行為、大型のスーツケースの出入りといった事情が、管理組合や住民から通報されます。

加えて、消防や保健所による立入り、宿泊予約サイトの掲載内容と現地の実態との照合、警察の生活安全部門による内偵といった経路もあります。もっとも、いきなり逮捕に至るとは限りません。保健所による指導、営業の中止命令が先行することも多く、この段階で適切に対応することによって、刑事事件化を避けられる場合もあります。他方で、行政の照会に対して書いた回答書が、後の刑事手続でそのまま証拠として用いられることもあります。指導を受けた段階で弁護士に相談していただく意味は、まさにここにあります。

借りている部屋を又貸しした場合、どのような責任が生じますか

まず民事上の問題として、賃貸人の承諾なく第三者に使用させる行為は、民法612条の無断転貸に当たり、賃貸借契約の解除理由になります。原状回復費用や違約金の請求を受けることもあります。

刑事上の問題は、これとは別に検討されます。家主に無断で不特定多数を立ち入らせる態様によっては建造物侵入(刑法130条前段)が、転貸目的を秘して部屋を借りた事情があれば詐欺(同法246条)が、それぞれ検討の対象とされる場面もありえます。もっとも、これらの罪が直ちに成立するわけではありません。賃貸借契約の具体的な内容、契約時にどのような説明をしたか、管理の実態がどうであったかによって、結論は大きく変わります。契約違反であることと、犯罪が成立することとは、はっきり区別して考える必要があります。

在留資格への影響こそが本丸です

外国籍の方にとって、この類型の本当の危険は、罰金ではなく在留資格の側にあります。

留学や家族滞在の在留資格の方が、資格外活動許可の範囲を超えて民泊の運営に従事していた場合、入管法19条1項に反する資格外活動として、同法24条4号ハの退去強制事由や、22条の4による在留資格の取消しが問題となります。技術・人文知識・国際業務の在留資格の方が、本来届け出た業務と無関係の宿泊業務に専従していた場合には、そもそも在留資格該当性そのものが揺らぎます。経営・管理の在留資格で宿泊事業を行っている場合には、許可・届出の適法性が、事業の実体および適正性の評価に直結します。

つまり、刑事事件としては軽微に見える事案であっても、入管手続では、活動の実態そのものが正面から問われることになります。

罰金で終われば、在留は安心ですか

残念ながら、そうとは言い切れません。

旅館業法違反による罰金は、通常、入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。全部執行猶予の言渡しを受けた者を除く)には該当しません。しかし、在留期間の更新(入管法21条)、在留資格の変更(同法20条)、永住許可の各審査においては、素行が善良であることが求められ、有罪判決を受けた事実はここで正面から評価されます。退去強制事由に該当しないことと、更新が許可されることとは、まったく別の問題です。この構造を理解しないまま刑事手続だけを終わらせてしまうと、数か月後の更新申請で行き詰まることになりかねません。

共同経営者・名義人・清掃係の責任は、どう切り分けられますか

誰が事業主体であるかという評価が、刑事責任の重さと在留への影響の双方を左右します。

名義だけを貸した方、鍵の受渡しと清掃だけを担当していた方、収益の配分を受けていた方では、関与の程度は大きく異なります。実際の資金の流れ、予約サイトのアカウントを管理していたのは誰か、宿泊料の入金口座は誰の名義か、行政からの連絡に対応していたのは誰か。こうした客観的な事情を丁寧に整理することで、事業主体ではなく補助的な立場にとどまっていたことを示せる場合があります。他方、本人としては手伝いのつもりでも、収益を継続的に分配され、予約対応も行っていたのであれば、事業主体の一人と評価されることもあります。取調べの初期段階で曖昧な説明をしてしまうと、後からの修正は容易ではありません。

想定される刑事手続の流れ

逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内に引き続き身柄を拘束する手続(勾留)を裁判官に請求するかどうかを判断します。裁判官が勾留を決定すると、原則10日間、延長により最大20日間、身体の拘束が続きます。

この最初の72時間は、ご家族であっても面会できず、弁護人だけが本人と会うことができます。そして、この期間の供述こそが、誰が事業主体であったかという最も重要な争点の認定を左右します。事業の実態を裏づける資料は、逮捕後に散逸しやすいものです。契約書、送金記録、予約サイトのやり取り、行政とのやり取りの記録を早期に確保することが、その後の展開を大きく変えます。

外国人事件特有のリスク(退去強制・在留資格)

入管法24条は、退去強制事由を号ごとに定めており、その構造は号によって大きく異なります。

  • 4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、全部執行猶予の言渡しを受けた者は除かれます。旅館業法違反のみでこの号に至ることは通常想定されません。
  • 4号ハは、資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合に関するものであり、刑事処分の有無や軽重とは独立して判断されます。罰金で終わっても、あるいは不起訴となっても、入管が別途この判断を行う可能性があります。
  • 4号ロは不法残留に関するものであり、在留期間の更新が不許可となった後に日本に留まれば、この号の問題へと移行します。

また、入管実務は、退去強制事由の判断に故意・過失を要件としないという立場を取ってきました。これに対しては、責任主義の射程が行政処分にも及ぶべきではないかという議論があり、現在も争いのある論点です。当事務所は、この点を正面から問う訴訟を提起して争ってきました。刑事段階から、事業への関与の程度や認識の内容を丁寧に争っておくことが、後の入管手続における主張の基礎になります。

不起訴処分の重要性

多くの罪名において、執行猶予判決を得ても在留資格を守れない場面があります。刑事弁護は、起訴された後の量刑ではなく、起訴前の段階から不起訴処分の獲得を最優先の目標として組み立てる必要があります。

民泊に関する事案では、営業の中止、予約の全面的な取消し、賃貸人との関係の清算、保健所の指導への誠実な対応、近隣住民への謝罪といった事情が、起訴不起訴の判断において意味を持ちます。加えて、不起訴となった事実そのものが、その後の在留期間更新の場面で、素行に関する説明の出発点になります。入管法24条各号の構造を正確に把握していない弁護人の選任は、刑事事件としては終わったのに在留資格を失う、という結果につながりかねません。

初動対応で押さえたい3つのポイント

  • 黙秘権の行使。事業の主体性は、本人の一言で決まってしまうことがあります。記憶が曖昧なまま「自分が経営していました」と述べることは避け、弁護人と方針を確認してから話す姿勢が重要です。
  • 早期の弁護人選任。保健所の指導や任意の事情聴取の段階から相談していただくことで、刑事事件化そのものを避けられる場合があります。逮捕後は、最初の72時間に動けるかどうかが分かれ目になります。
  • 通訳の質。捜査機関が用意する通訳は、あくまで捜査のための通訳です。事業形態や契約関係といった専門的な内容を正確に伝えるには、本人のために動く立場の通訳が必要です。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所は、東京都豊島区高田に事務所を置き、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。接見の初動から公判の結審まで、松村大介弁護士が直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件専属の中国語通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続の全般で利用していただけます。刑事手続が終わった後の在留期間更新や在留資格変更については、提携の行政書士とともにワンストップで対応します。

事業の主体が誰であったかという評価が争点となる事案は、当事務所が繰り返し取り組んできた領域です。外資系企業の支配権をめぐる紛争において、資本関係と業務の実態を丹念に分析し、依頼者側の勝訴を獲得した事例があります(事例H-2)。

また、冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案では、退去強制事由には故意・過失が不要であるとする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています(事例D-2)。

起訴前の段階での解決にも力を入れています。特殊詐欺の出し子行為に関わったとされた20代の女性について、指示役からの欺罔および脅迫的な状況、犯意の不存在等を総合的に主張し、不起訴処分を獲得した事例があります(事例B-1)。

結語

民泊に関する事件は、罰金で終わることも少なくありません。しかし、外国籍の方にとっては、そこからが本当の勝負です。事業の実態をどう説明したか、活動の内容をどう記録に残したかが、その後の在留を左右します。ご家族から突然の連絡を受けて途方に暮れておられる方も、まずはご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):租来的房间用于民宿而遭查处时|旅馆业法违反、住宅宿泊事业法违反与在留资格之影响

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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