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携帯電話とSIMカードの名義貸し・譲渡はなぜ刑事事件になるのか

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携帯電話とSIMカードの名義貸し・譲渡はなぜ刑事事件になるのか

携帯電話とSIMカードの名義貸し・譲渡はなぜ刑事事件になるのか

2026/09/09

帰国が決まり、使っていた回線を後輩に引き継いでもらった。知人に「名義を貸すだけでいい」と謝礼付きで頼まれ、数本の契約を結んだ。こうした行為が、後日、特殊詐欺や投資詐欺の捜査で通信記録をたどられ、名義人ご本人の逮捕に至る。そのような類型の事案が報じられています。軽い頼まれごとのつもりでも、法律上は独立した犯罪です。本記事では、名義貸し・譲渡で問われる罪名と、在留上のリスクを整理します。

本記事の要点

  • 携帯電話機やSIMカードを事業者の承諾なく有償でやり取りする行為は、携帯電話不正利用防止法が独立の犯罪としています。
  • 回線が詐欺に使われれば、詐欺罪の共同正犯(刑法60条、246条1項)や幇助(同法62条1項)として問われます。
  • 「知らなかった」という説明だけでは足りず、未必の故意の有無が客観的な事情から検討されます。
  • 1年を超える実刑は入管法24条4号リの退去強制事由に当たり得ます。執行猶予付きでも更新審査で重く扱われるため、目標は不起訴処分に置くべきです。

名義貸しと譲渡は、それ自体が犯罪です

名義貸しや有償譲渡は、その回線が後に何に使われたかを問わず、それ自体で犯罪となり得ます。携帯電話不正利用防止法20条は、事業者の承諾を得ずに業として有償で通話可能端末設備等を譲り渡し、又は譲り受ける行為を、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科をもって処罰します。SIMカードもここに含まれます。同法21条は、契約や譲渡の際に氏名等について不実の告知をする行為などを罰金の対象としています。「友人に譲っただけ」は、この法律の下では弁解になりません。

回線が詐欺に使われた場合に問われる罪

捜査は多くの場合、その回線を用いた詐欺の捜査から始まります。まず検討されるのは刑法246条1項の詐欺罪です。実行行為を分担していなくても、計画を共有して一部を担ったと評価されれば同法60条の共同正犯となり、法定刑は10年以下の拘禁刑です。犯行を容易にしたにとどまれば同法62条1項の幇助犯、財物の交付に至らなかった分は同法250条により未遂となります。謝礼が詐取金から出ていた事情があれば、組織的犯罪処罰法10条の犯罪収益等隠匿も問題となります。

「知らなかった」という弁解と未必の故意

この類型の最大の争点は故意です。「詐欺かもしれないが構わない」と考えていたと評価されれば、未必の故意として故意が認められます。最高裁判所平成30年12月11日判決(刑集72巻6号672頁)は、特殊詐欺の受け子について、依頼された行為の内容や指示の不自然さを総合し、故意及び共謀を認めるに足りるとしました。ただし同判決は荷物の受領を依頼された事案に関するもので、名義貸しにそのまま及ぶわけではなく、射程には注意を要します。

想定される刑事手続の流れ

逮捕から48時間以内に検察官へ送致され、24時間以内に勾留請求の判断がされます。勾留が認められれば原則10日、延長を含めて最大20日で起訴又は不起訴が決まります。被害ごとに事件が立てられるため、別の回線に係る被害で再逮捕が繰り返されることがあります。

外国人事件に特有のリスク 入管法24条の号別構造

退去強制事由は号ごとに構造が異なるため、事件に関係する号を特定しなければ見通しを誤ります。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者を除いています。他方、薬物関係法令違反について定めるチのように、刑の重さを問わず該当し得る号もあります。

名義貸しでは4号ロの検討も要ります。同号は、別表第一の在留資格をもって在留する方が、専ら在留資格に属さない報酬を受ける活動を行った場合を対象とするもので、報酬目的で反復して回線を契約した事実はこの観点からも評価され得ます。入管法22条の4の在留資格取消しや、更新審査における素行の評価も併せて検討を要します。なお、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする入管実務については、当事務所が責任主義の射程を問う訴訟を提起し、現在も係争中です。

執行猶予ではなく、不起訴処分を目標に据える

目標は起訴されないことに置くべきです。執行猶予付きでも有罪判決である以上、更新や変更の審査で消極的事情として考慮され、判決の内容次第では退去強制事由そのものに該当します。不起訴を目指す活動は起訴後に始められず、限られた勾留期間のうちに資料を集めて検察官に示す必要があります。

初動対応で押さえておきたい3つのポイント

  • 黙秘権の行使を検討する。方針が定まらないまま断片的に答えれば、後の主張を狭めます。
  • 弁護人の選任を早める。勾留の可否が判断される前に就いていれば、意見書の提出や被害弁償の交渉に着手できます。
  • 通訳の質を確保する。ご本人のために動く通訳の確保が、防御の前提となります。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件専属の中国語通訳が常駐し、在留資格の更新・変更は提携の行政書士とともに対応いたします。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、取調べ対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得しました(解決事例B-2)。出し子に関わったとされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔的・脅迫的な状況を主張し、不起訴処分を得ています(解決事例B-1)。冤罪により不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする実務に対し責任主義の射程を問う訴訟を争い、その後、入管から在留特別許可が認められました(解決事例D-2)。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

結語

携帯電話の名義貸しは、断りにくい小さな頼まれごとの顔をしてやってきます。しかし、その回線が誰かの財産を奪う道具になったとき、責任を問われるのは名義人ご本人です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):手机与SIM卡的名义出借及转让为何构成刑事案件

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電話番号 :050-7587-4639


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