舟渡国際法律事務所

「罰金で済んだから在留には影響しない」という誤解|略式命令の意味と素行要件

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「罰金で済んだから在留には影響しない」という誤解|略式命令の意味と素行要件

「罰金で済んだから在留には影響しない」という誤解|略式命令の意味と素行要件

2026/09/07

警察署から釈放され、しばらくして検察庁から呼び出しを受け、書類に署名すると罰金の納付書が届く。この一連の流れが略式手続です。身柄が解放され、裁判所の法廷にも行かずに終わるため、「大した処分ではなかった」と受け止められがちです。しかし、外国籍の方にとって、この理解は危険を含んでいます。罰金は刑罰であり、前科として記録に残ります。以下、誤解の構造を整理します。

本記事の要点

  • 略式命令は、簡易裁判所が書面審理のみで罰金・科料を科す手続です(刑事訴訟法461条以下)。有罪判決の一種であり、前科になります。
  • 入管法24条4号リの退去強制事由は1年を超える拘禁刑を対象としますので、罰金は直ちにこれに当たりません。
  • 他方、薬物関係の罪については、同号チにより刑の重さを問わず退去強制事由となり得ます。罰金であっても例外ではありません。
  • 退去強制に至らない場合も、在留期間の更新・変更・永住許可の審査で、素行の面が問われます。

略式手続に同意する前に

略式手続には、被疑者本人の同意が必要です。この同意の意味を、通訳を介して十分に理解しないまま署名してしまう例が少なくありません。同意すれば公開の法廷で争う機会は失われ、罰金の納付をもって手続が確定します。争う余地がある事案、たとえば故意の有無に疑問がある事案や、事実関係に食い違いがある事案では、同意をせずに正式裁判で争うという選択肢もあります。もっとも、正式裁判では身柄の問題や時間の問題も生じますので、双方の得失を弁護人と検討することが必要です。

在留審査で罰金がどう見られるか

在留期間の更新は権利ではなく、入管法21条に基づく許可の判断です。更新のガイドラインでは素行が善良であることが要素として挙げられており、罰金前科もその評価の対象に入ります。特に、事件から間もない時期に更新を迎える場合、審査官はまさにその処分歴を見て判断します。永住許可の申請では、素行要件の審査がより厳格になります。「罰金だから消えるだろう」という理解ではなく、いつ、どの手続で、どのように説明するかを考えることが大切です。

刑の消滅と入管審査

刑法34条の2は、罰金刑の執行を終えてから5年間、罰金以上の刑に処せられなければ刑の言渡しの効力が失われる旨を定めています。もっとも、この規定によって過去の処分歴に関する申告義務が直ちになくなるわけではなく、申請書における賞罰の記載を安易に省略することは、かえって信用を損なう危険があります。ここは慎重な判断を要する場面ですので、自己判断ではなく専門家にご確認いただくことをお勧めします。

故意・過失をめぐる論点との関係

薬物関係の罪では、罰金や執行猶予であっても入管法24条4号チの問題が生じるため、そもそも有罪とならないこと、すなわち不起訴処分を得ることの意味が際立ちます。他方、有罪となった場合の入管手続では、退去強制事由の該当性判断に故意・過失を要件としないという従来の運用が壁になります。当事務所の松村大介弁護士は、この運用に対し責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争いました。同事案では、その後、在留特別許可が認められています。刑事段階で認識に関する証拠を残すことが、入管手続の主張の基礎になる。この構造は、罰金で終わった事案でも変わりません。

当事務所について

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心に、刑事事件と入管手続を通してお引き受けしてまいりました。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の精査と法廷での立証を重ね、無罪判決を得た事例があります。薬物事犯は、有罪となれば刑の重さを問わず在留に直結する類型であり、争うべき事案を見極めることが決定的に重要です。入管手続の側では、困難とされた在留特別許可を獲得した事例を有しています。

松村大介弁護士が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。略式手続への同意の可否についても、通訳を交えて内容を正確にご説明したうえでご判断いただいています。

なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

結語

罰金で終わることと、在留に影響がないこととは、別の話です。処分の重さではなく、罪名の性質と手続の局面から考えることをお勧めします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):「只是罚金,所以不影响在留」这一误解|略式命令的含义与素行要件

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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