舟渡国際法律事務所

「保釈が認められれば入管に収容されることはない」という誤解 刑事の身柄と入管の身柄は別の制度です

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「保釈が認められれば入管に収容されることはない」という誤解 刑事の身柄と入管の身柄は別の制度です

「保釈が認められれば入管に収容されることはない」という誤解 刑事の身柄と入管の身柄は別の制度です

2026/09/05

ご家族が逮捕され保釈の話が出た段階で、「保釈さえ通れば日本にいられる」と受け止められる方がおられます。日本人の事件ならその理解で足りますが、外国籍の方は事情が異なります。刑事手続の身柄と入管法上の身柄は、根拠となる法律も判断する主体も別だからです。両者がどこで分かれるのかを整理いたします。

本記事の要点

  • 保釈は刑事訴訟法の制度で、入管法の収容とは根拠も判断権者も異なります。
  • 刑事手続で釈放された方が、そのまま入管の収容手続へ移ることがあります。
  • 実刑の場合、刑期の満了に合わせて入管の手続が始まる運用です。
  • 監理措置と、健康上・人道上の理由による仮放免(同法54条)は位置づけが異なります。
  • 刑事段階から入管手続を見据えた一体の方針が要ります。

保釈は「起訴された後」の制度です

保釈は、勾留されている被告人について、保証金の納付を条件に身柄の拘束を解く制度です。被告人本人のほか弁護人や配偶者等が請求でき(刑事訴訟法88条)、許すべき場合とその例外が定められています(同法89条、90条)。

押さえていただきたいのは、保釈が起訴後の制度だという点です。起訴前の被疑者勾留に保釈の規定は準用されません(同法207条1項ただし書)。検察官が勾留請求の可否を決めるまでの72時間の使い方が決定的です(同法205条)。

入管の収容は、別の根拠に基づきます

入管法上の収容は退去強制手続の一部です。入国警備官は、容疑者が同法24条各号に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとき、収容令書により収容できます(同法39条)。退去強制令書の発付後は、送還までの収容が問題となります。

判断するのは裁判所ではなく入管の主任審査官等です。保釈や不起訴は、それ自体では入管の判断を拘束しません。刑事手続を離れたその場で入国警備官が待つ場面もあります。

実刑判決を受けた場合の流れ

実刑判決が確定して服役した場合、刑期の満了により釈放されるのが刑事手続の帰結です。もっとも、退去強制事由に該当すると見込まれる方は、刑期の満了に合わせて入管の手続が始まる運用です。服役中に在留特別許可の資料を準備できるかで展開が変わります。

監理措置は、収容しないで手続を進める仕組みです

令和5年改正入管法により監理措置が設けられ、令和6年6月10日から施行されています。監理人の監理の下、社会内での生活を認めながら収容せずに手続を進める措置で、退去強制令書の発付前は入管法44条の2以下、発付後は同法52条の2以下に定めがあります。監理人を選定できること、および主任審査官が逃亡等のおそれと収容による不利益を総合考慮して相当と認めることが要件です。

仮放免(入管法54条)の位置づけ

仮放免は、収容令書または退去強制令書により収容されている方の収容を一時的に解除する制度です。監理措置の創設に伴い、出入国在留管理庁は、収容解除の原則的手段は監理措置であるとの前提の下、仮放免を健康上・人道上その他これらに準ずる理由による一時的な解除の制度と整理しています。収容が解かれることと在留が認められることとは別です。

どの退去強制事由に当たるかで、見通しが変わります

入管法24条は退去強制事由を号ごとに定めます。同条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げ、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者を除きます。他方、同号チの薬物関係法令違反は有罪の判決自体が事由となり、刑の軽重を問いません。

ほかに資格外活動の同号イ、不法残留の同号ロ、不法就労活動をさせる行為等の同条3号の4があり、別表第一の在留資格の方には同条4号の2も関わります。退去強制事由に当たらなくても更新は当然には認められず(同法21条)、在留資格の取消し(同法22条の4)もあり得ます。

退去強制事由に故意・過失は要らないのか(係争中の論点)

入管の実務は、退去強制事由の該当性の判断に刑法上の責任主義がそのまま妥当するわけではないとの立場をとってきました。本人が事情を知り得なかった場合にまで退去強制の効果を及ぼしてよいかは、なお議論の余地があります。

松村大介弁護士は責任主義の射程を問う訴訟を係争中であり、現時点で結論は申し上げられません。ただ、故意や過失が刑事の争点となる類型では、刑事段階で争っておくことが後の入管手続の土台になります。曖昧なまま終えた事実を後から立て直すのは容易ではありません。

だからこそ、不起訴処分を最優先の目標に置きます

執行猶予判決を得ても、類型によっては退去強制を避けられません。4号チが執行猶予の有無を区別しないからです。保釈は重要ですが、入管手続の入口を閉じてはくれません。目標を「身柄の解放」から「在留の維持」に置き直すことが出発点です。

初動の3点

  • 黙秘権を含め、供述するかを選ぶ。調書は後の入管手続でも読まれます。
  • 早期に弁護人を選任する。勾留を防げるかは逮捕から72時間で決まります。
  • 通訳の質を確かめる。訳出のずれが故意の認定に影響します。

当事務所のご案内

松村大介弁護士が接見の初動から結審まで全工程を直接担当し、刑事の段階から在留資格の見通しを併せて検討いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳も常駐しています。

在留資格を失い不法滞在で起訴された方の事案では、婚姻と認知の手続を実現させ、過去の許可事例を分析して申請を組み立て、一度で在留特別許可を得ました(事例D−1)。

冤罪により不法就労助長の罪に問われ、退去強制の危機にあった女性の事案では、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。訴訟の結論とは別に、その後、入管から在留特別許可が認められています(事例D−2)。

結語

保釈の許可が出た日は、ご家族にとって大きな安堵の日です。その安堵を在留の安定につなげるには、刑事と入管の二つの手続を一本の線として設計しておく必要があります。判決の後ではなく逮捕の直後にご相談いただければ、打てる手は多く残ります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):“只要保释获准就不会被入管收容”是一种误解 刑事上的身柄与入管上的身柄属于两套制度

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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