舟渡国際法律事務所

投資や恋愛を装う詐欺グループで翻訳・顧客対応をしていたとき|詐欺の共同正犯と幇助の分かれ目

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投資や恋愛を装う詐欺グループで翻訳・顧客対応をしていたとき|詐欺の共同正犯と幇助の分かれ目

投資や恋愛を装う詐欺グループで翻訳・顧客対応をしていたとき|詐欺の共同正犯と幇助の分かれ目

2026/09/08

中国語と日本語ができるからと、投資の案内文を翻訳する仕事や、顧客対応の仕事を紹介される。時給も待遇も悪くない。ところが、その実態が投資名目や恋愛感情を利用した詐欺だったというご相談が続いています。報道でも、投資名目の被害金を口座間で移して資金洗浄したとして複数名が摘発された事案や、公的機関の職員になりすます手口を指示していた者が摘発された事案が伝えられました。

本記事の要点

  • 詐欺罪は刑法246条1項により10年以下の拘禁刑と定められ、刑法250条により未遂も処罰されます。
  • 刑法60条の共同正犯か刑法62条1項の幇助かで、結論は大きく変わります。
  • 組織性が認められれば組織的犯罪処罰法3条1項、被害金の移動には同法10条・11条が問題となります。
  • 在留への影響は入管法24条4号リが中心で、不起訴を目標に据える必要があります。

どの条文が問題になるのか

人を欺いて財物を交付させれば刑法246条1項の詐欺罪が成立し、法定刑は10年以下の拘禁刑です。刑法250条により未遂も処罰されますから、被害者が振り込みに至らなくとも、欺く行為に着手していれば処罰の対象となります。役割分担のもとで反復的に行われていたと認定されれば、組織的犯罪処罰法3条1項の組織的な詐欺として法定刑が加重され、被害金の移動や現金化に関与していれば同法10条・11条も別罪となります。

翻訳しただけ、という弁解の構造

訳しただけ、マニュアルどおりに答えただけ、という説明は通りにくいのが実情です。分業型の組織では、被害者と直接やり取りする役割こそが欺く行為を担っているとみられるからです。刑法60条の共同正犯は一部を分担した者に全体の責任を負わせますから、組織の目的を認識しながら継続的に関与していれば正犯と評価され得ます。関与が単発で寄与も限定的であれば幇助にとどまる余地があり、その場合は刑法63条により刑が減軽されます。

故意の認定と、最高裁の考え方の広がり

最高裁は、いわゆる受け子の事案について、被害金を受け取る可能性を認識しながら関与していれば故意に欠けるところはないとの判断を示しています(最判平成30年12月11日刑集72巻6号672頁)。詐欺かもしれないと思いつつ引き受けた場合を故意ありとする考え方であり、受け子に限らず周辺的な役割にも及び得ます。捜査機関は報酬の水準、業務内容の不自然さ、身分を偽る指示の有無を積み上げますので、募集の経緯や実際に扱った文書を検証し、何をいつ知り得たのかを切り分けます。

手続の流れと、通訳をめぐる落とし穴

逮捕されると48時間以内に検察官へ送致され、さらに24時間以内に勾留請求がなされます。この72時間はご家族と会えず、弁護人だけが接見できます。特に注意を要するのが通訳を介した取調べです。詐欺ではないかと薄々感じていた、という程度のニュアンスが、訳を経て、詐欺であると知っていた、と読める調書になることがあります。推測で語らないこと、早期の弁護人選任、本人の側に立つ通訳の確保。この三点が初動の要点です。

在留への影響と、不起訴を目標に据える理由

退去強制事由の中心は入管法24条4号リであり、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合が対象となります。刑の全部の執行猶予が付されたときは除かれますが、組織的詐欺は法定刑が重く、被害額や関与期間によっては実刑が現実味を帯びます。執行猶予を目標に据える発想では在留を守れない類型です。退去強制に至らなくとも、在留期間の更新は入管法21条により裁量に委ねられ素行が考慮され、虚偽の申請には入管法22条の4による在留資格の取消しもあり得ます。もっとも、詐欺は個人的法益の侵害ですから、被害弁償や示談により反社会性が個別に解消される余地は、薬物のような社会的法益侵害型より広いといえます。起訴前に被害回復と主観面の主張を尽くすべき理由がここにあります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所は東京都豊島区にあり、松村大介弁護士が外国人の刑事事件と入管手続に注力しています。

  • 特殊詐欺の出し子に関わったとされた20代の女性について、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意が存在しないことなどの主観的事情を総合的に主張し、不起訴処分を得ています。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、取調べ対応を徹底し、不当な取調べには抗議を重ね、全件について不起訴処分を得ました。
  • 海外のSNSを用いた侮辱の被害について、日本の警察と国際刑事警察機構の捜査を通じて刑事告訴が受理された事例もあります。

接見による初動から公判の結審まで、松村弁護士が全工程を自ら担当します。事務員や若手弁護士に代行させることはありません。中国語の専属通訳が常駐し、捜査機関の指定通訳とは別に、依頼者ご本人のために動きます。在留資格は提携の行政書士と連携し、退去強制手続に進んだ場合も在留特別許可の獲得経験を踏まえて対応します。

結語

語学ができるというだけで声をかけられ、気づいたときには組織の一角に置かれていた。そうした経緯は珍しくありません。ただ、関与の程度も、知っていたことの中身も人によって異なります。共同正犯なのか幇助なのか、故意はいつ生じたのか。そこを事実に即して描き直せば、結論が変わる余地は残されています。取調べが積み重なる前に、できるだけ早くご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者 松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):在假借投资或恋爱名义的诈骗团伙中担任翻译、客服时|诈骗罪共同正犯与帮助犯的分界

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