舟渡国際法律事務所

替え玉受験・日本語試験の不正と刑事責任 偽計業務妨害罪と在留資格取消しのリスク

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替え玉受験・日本語試験の不正と刑事責任 偽計業務妨害罪と在留資格取消しのリスク

替え玉受験・日本語試験の不正と刑事責任 偽計業務妨害罪と在留資格取消しのリスク

2026/09/09

日本語能力の検定試験、大学の入学試験、運転免許の学科試験などで、本人に代わって別の人が受験する、いわゆる替え玉受験が摘発される事案が報じられています。頼まれて引き受けた、あるいは自分から依頼したという経緯で、数年後に警察から連絡を受ける方もいらっしゃいます。外国籍の方の場合、問題は刑事責任にとどまりません。試験の結果や在籍を前提に在留資格が与えられているとき、その土台が揺らぐからです。

本記事の要点

  • 替え玉受験は、試験実施機関の業務を妨げるものとして偽計業務妨害罪(刑法233条後段)に当たり得ます。
  • 答案や受験票への他人名義の署名は、私文書偽造罪・同行使罪の問題となります。
  • 依頼した側と受験した側の双方が処罰され得ます。
  • 在留資格が取り消される場合があり、その前に意見聴取の手続が置かれています。

成立し得る罪名と条文

中心は偽計業務妨害罪ですが、他人の名義の文書があれば偽造の罪が重なり、在留資格の申請と結び付けば入管法上の罰則も視野に入ります。

  • 偽計業務妨害罪(刑法233条後段)。3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
  • 私文書偽造罪(刑法159条1項)及び同行使罪(刑法161条1項)。他人の氏名で答案や受験票を書けば問題となり、3月以上5年以下の拘禁刑です。
  • 有印公文書偽造罪(刑法155条1項)。公の機関が実施する試験の文書では1年以上10年以下の拘禁刑と重くなります。
  • 入管法70条1項2号の2。偽りその他不正の手段により在留資格の取得等に係る許可を受けた場合の規定です。

依頼した側も、受験した側も処罰され得る

頼んだだけだから軽い、という理解は正しくありません。依頼した側は教唆犯となり、共同正犯と評価されることもあります。報酬の授受は、金銭目的で試験制度を利用したという評価につながります。逆に、報酬を受け取っていないといった事情は、こちらから示さなければ記録に残りません。

想定される刑事手続の流れ

  • 端緒は実施機関からの申告、本人確認記録の照合、共犯者の供述など様々で、試験から時間が経ってから捜査が始まることもあります。
  • 任意の事情聴取から始まり、在宅で進む場合と逮捕に至る場合があります。勾留は最大20日間で、その満了までに検察官が起訴又は不起訴を判断します。

外国人事件特有のリスク 在留資格の取消し

刑事処分の軽重にかかわらず在留資格そのものが取り消され得る点が、この類型では最も重い問題です。入管法22条の4第1項1号・2号は、偽りその他不正の手段により在留資格に関する許可を受けた場合を取消事由と定めており、日本語能力の証明や合格を前提に留学の資格が与えられていた事案では、その前提が問われます。

もっとも、事前に意見聴取の手続が置かれています(同条2項以下)。指定された日時に出頭して意見を述べ、資料を提出することができ、代理人を選任することもできます。通知が届いたまま放置してしまうことが、最も避けたい対応です。

取消し後の扱いも一様ではありません。出国のための期間(30日を超えない範囲)が指定される場合がある一方、1号・2号による取消しでは、期間の指定を受けずに退去強制の手続へ移ることがあります。留学の在留資格では、正当な理由なく3か月以上その活動を行っていないこと(同項6号)も問題となり得ます。

退去強制事由の構造(入管法24条)

入管法24条は退去強制事由を号ごとに定めています。4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、刑の全部の執行猶予が付いた場合は除かれます。しかし、在留資格が取り消されて根拠を失えば、その後の在留は不法残留(4号ロ)として扱われ得ます。薬物関係など4号チに掲げられた罪は、刑の重さを問わず該当し得ます。

退去強制事由の判断に故意や過失を要しないとされてきた入管実務については、当事務所は責任主義の射程を問う訴訟を提起し、現在係争中です。

不起訴処分の重要性

執行猶予を得られれば安心という組み立ては、外国籍の方の事案では足りません。目標は起訴前の段階に置くべきです。業務を妨害したと評価できる行為があったのかを初期から整理し、関与の程度、報酬の有無、実施機関への謝罪と損害の回復を積み上げることで、処分の見通しは変わり得ます。

初動対応で押さえておきたい3つのポイント

  • 黙秘権。取調べでは供述を拒むことができます(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)。共犯関係と報酬の有無は量刑にも在留にも直結します。
  • 早期の弁護人選任。勾留を避けられるかは初期の数日で決まります。ご家族からのご依頼でも接見に伺えます。
  • 通訳の質。捜査機関が手配する通訳とは別に、ご本人のために動く通訳が必要です。

当事務所のご案内と解決事例

当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで直接担当いたします。外国人事件専属の中国語通訳が常駐し、手続の全般にご利用いただけます。在留資格の更新・変更は、提携の行政書士と連携して対応いたします。

  • 在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された方の事案では、婚姻と認知の手続を実現させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務に対し責任主義の射程を問う訴訟を提起して争い、その後、入管から在留特別許可が認められています。
  • 特殊詐欺の出し子に関わったとされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況を主張し、不起訴処分を獲得いたしました。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

結語

試験の不正は、行為そのものは短い時間の出来事であっても、影響は刑事と入管の双方に長く残ります。それでも、事実関係を整理し、関与と生活の実態を示すことで、取り得る道は残されています。早い段階で双方を見据えた方針を立て、適切な弁護人を選任することによって、道は開けます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):替考与日语能力考试舞弊的刑事责任 伪计业务妨害罪与在留资格撤销风险

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