舟渡国際法律事務所

偽ブランド品の販売と輸入で問われる商標法違反 外国籍の方の在留リスク

お問い合わせはこちら

偽ブランド品の販売と輸入で問われる商標法違反 外国籍の方の在留リスク

偽ブランド品の販売と輸入で問われる商標法違反 外国籍の方の在留リスク

2026/09/09

海外の仕入先から安く手に入れた品をフリマアプリに出品していたところ、ある日、警察から連絡が来た。倉庫の在庫まで押収された。模倣品の流通をめぐって、このような類型の摘発が続いています。ご相談の場で多く伺うのは、「本物だと思っていた」「まだ売っていないのだから問題ない」というお話ですが、商標法の考え方はそのご認識と異なります。

本記事の要点

  • 商標権を侵害して商品を販売する行為は商標法78条の対象で、10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又はその併科です。
  • 販売のために所持しているだけでも、商標法37条が侵害とみなす行為として規定し、同法78条の2により処罰されます。
  • 海外から仕入れる形態は、関税法69条の11第1項9号・10号の輸入してはならない貨物に当たり、同法109条により未遂も処罰されます。
  • 令和4年10月1日施行の改正で、海外の事業者が国内の個人宛てに模倣品を送る行為も輸入として扱われます。
  • 関税法違反は入管法24条4号が刑の重さを問わず掲げる罪ではなく、同号リの要件で判断されます。

偽ブランド品の販売で問われる罪

他人の登録商標と同一又は類似の商標を付した商品を、指定商品について販売する行為は商標権の侵害に当たります。処罰するのは商標法78条で、法定刑は10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又はその併科です。形態やロゴが周知・著名な表示に当たれば不正競争防止法21条が、図柄やデザインを複製した商品であれば著作権法119条が重なります。

「まだ売っていない」は理由になりません

誤解の多い点です。販売の目的で所持している段階で、すでに処罰の対象になり得ます。商標法37条2号は、登録商標又はこれに類似する商標を付した商品を譲渡等のために所持する行為を侵害とみなす行為として掲げ、同法78条の2が5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科を定めます。注文前の在庫や発送待ちの荷物でも、販売目的が認められれば射程に入ります。

「本物だと思っていた」という弁解と仕入先の確認

商標法違反の成立には故意が必要ですから、真正品と信じていたというご説明は、筋の通った防御です。もっとも実務では、その主張が客観的事情に支えられているかが問われます。仕入価格が正規品の市場価格と比べて不自然に低くないか、仕入先が正規の流通経路に属する事業者か、請求書や正規代理店証明を確認したか。こうした確認を怠っていた事実は、故意を推認させる方向に働きます。

海外から仕入れる形態と関税法・改正商標法

越境ECや海外の知人経由で仕入れる形態では、関税法の問題が加わります。知的財産を侵害する物品は関税法69条の11第1項9号に、不正競争防止法上の一定の行為を組成する物品は同項10号に、輸入してはならない貨物として掲げられ、罰則は同法109条です。未遂も処罰されます。従来、個人使用目的で少量を持ち込む場合は侵害を構成しないと整理されてきましたが、令和4年10月1日施行の商標法及び意匠法の改正により、外国にある事業者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為も輸入に含まれることが明確にされました。

想定される刑事手続の流れ

この類型には、突然の逮捕から始まる場合と、捜索差押えの後に在宅で捜査が進む場合とがあります。身柄を拘束された場合は、逮捕から48時間以内の検察官送致、24時間以内の勾留請求の判断を経て、原則10日、延長を含めて最大20日の勾留の中で処分が決まります。押収物の解析に時間を要するため、捜査は長期化しやすい傾向にあります。在宅の場合も、呼出しによる取調べが重ねられます。

外国人事件に特有のリスク 入管法24条の号別構造

入管法24条4号は退去強制事由を個別に列挙しており、薬物関係法令違反について定めるチのように、刑の重さを問わず該当し得る号があります。しかし、関税法違反や商標法違反はこれらの号に列挙されていません。したがって同号リ、すなわち無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者か否かで判断され、執行猶予の言渡しを受けた者は除かれます。号ごとの精査が欠かせません。

もっとも、それは危機を脱したことを意味しません。経営・管理の在留資格で事業を営む方は、模倣品の取扱いが摘発されれば事業の適正性そのものが問われます。技術・人文知識・国際業務の方も、離職や業務内容の変更が生じれば在留資格該当性が改めて審査されます。入管法22条の4の在留資格取消しや、更新審査における素行の評価も検討を要します。なお、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする入管実務については、当事務所が訴訟を提起し、係争中です。

執行猶予ではなく、不起訴処分を目標に据える

この類型でも、目標は不起訴処分に置くべきです。有罪判決は、執行猶予が付いていても更新や変更の審査で消極的事情として考慮され、事業を営む方には事業の適正性への疑義という形で二重に不利益が及びます。商標権者との示談、在庫の廃棄、仕入体制の整備など、起訴前に着手できる活動は数多くあります。

初動対応で押さえておきたい3つのポイント

  • 黙秘権の行使を検討する。仕入先や真正性の認識に関する説明は、後の故意の認定に直結します。
  • 弁護人の選任を早める。押収物の還付、在庫の処理、権利者との交渉、取引記録の保全は、早期に着手するほど効果があります。
  • 通訳の質を確保する。専門的な語彙が多く、通訳の精度が供述の正確さを直接左右します。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が初回の接見から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件専属の中国語通訳が常駐し、在留資格の更新・変更は提携の行政書士と対応いたします。

卸業を営む依頼者が取り込み詐欺の被害に遭った事案では、刑事告訴を端緒として相手方を特定し、7500万円の解決金を獲得しました(解決事例C-1)。外資系企業の支配権紛争で依頼者側の勝訴を得た経験もございます(解決事例H-2)。在留資格を失って不法滞在で逮捕・起訴された方については、入管当局の過去の許可事例を分析し、1回の申請で在留特別許可を獲得しました(解決事例D-1)。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

結語

模倣品の取引は、画面越しに完結するがゆえに、罪の重さが実感されにくい領域です。しかし押収から起訴に至る過程では、想像していた以上の資料が積み上がります。税関から通知が届いた段階でも、なお打てる手はございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):销售与进口仿冒名牌商品所涉商标法违反 外国籍人士的在留风险

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。