舟渡国際法律事務所

大麻・THC含有製品の所持と使用 法改正後の処罰と入管法24条4号チによる退去強制のリスク

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大麻・THC含有製品の所持と使用 法改正後の処罰と入管法24条4号チによる退去強制のリスク

大麻・THC含有製品の所持と使用 法改正後の処罰と入管法24条4号チによる退去強制のリスク

2026/09/05

令和6年12月12日から、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」として規制されています。所持や譲渡しだけでなく、いわゆる使用(施用)にも罰則が及ぶようになりました。海外には大麻やTHCを含む製品が合法とされる地域もあり、そこで買った物を持ち帰った方が捜査の対象となる例も見られます。外国籍の方にとって、薬物事件は在留資格に直結いたします。改正の要点と在留への影響を整理いたします。

本記事の要点

  • 令和5年法律第84号により、大麻は令和6年12月12日から麻薬として規制されています。
  • 所持等は麻薬及び向精神薬取締法66条、使用は同法66条の2で、いずれも7年以下の拘禁刑です。
  • 薬物事犯は入管法24条4号チに当たり、刑の軽重を問わず退去強制事由となりえます。
  • 執行猶予判決では在留を守れない場合があり、起訴前の不起訴処分の獲得が最優先の目標です。
  • 輸入・所持では、その物が規制薬物であるという認識(故意)が争点となることがあります。

何が変わったのか

麻薬及び向精神薬取締法2条1号は「麻薬」を別表第一に掲げる物及び大麻と定義し、同条1号の2が「大麻」を大麻草の栽培の規制に関する法律2条2項の大麻と定めています。従来の大麻取締法は同法に改称されました。厚生労働省の公表によれば、麻薬への位置づけと使用に関する部分は令和6年12月12日から施行されています。

定められている刑罰

  • 所持・譲渡し・譲受け等は同法66条1項により7年以下の拘禁刑。営利の目的があるときは1年以上10年以下の拘禁刑とされ、情状により300万円以下の罰金が併科されます。
  • 使用(施用)及び施用を受けることは、同法27条に違反する行為として66条の2第1項により7年以下の拘禁刑です。
  • 輸入・輸出・製造は同法65条1項1号、みだりな栽培は大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項により、いずれも1年以上10年以下の拘禁刑です。

海外で合法とされる地域の製品を持ち込んだ場合

購入した国で適法であっても、日本に持ち込めば日本の法律により処罰されうる、というのが出発点です。空港の税関検査で見つかれば、問われるのは所持ではなく輸入となることが多く、法定刑も重くなります。THCは同法別表第一42号・43号に掲げられていますので、CBDを主成分とする製品でも、政令で定める量を超えて含有していれば麻薬に当たります。

THCに構造が似た合成物質のうち医薬品医療機器等法上の指定薬物とされているものは、同法76条の4に違反する行為として、84条28号により3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科の対象です。

故意が争われる場合

薬物事件では、その物が規制薬物であるという認識、すなわち故意が成立要件です。捜査段階では価格や購入経路、やり取りの記録から「知っていたはずだ」との推認が組み立てられますので、購入時の表示や通信の記録を積み上げて反論いたします。

逮捕から勾留決定までの72時間

最初の3日間で見通しが変わります。司法警察員は身体を拘束した時から48時間以内に検察官へ送致する手続をしなければならず(刑事訴訟法203条1項)、検察官は受け取った時から24時間以内に勾留を請求しなければなりません(同法205条1項)。この時間は身体拘束の時から72時間を超えられません(同条2項)。

在留への影響 入管法24条4号チという特別な構造

薬物事犯は、刑の軽重を問わず退去強制事由となりうる点で、他の類型と決定的に異なります。入管法24条4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法等の薬物法令に違反して「有罪の判決を受けた者」を退去強制事由と定めます。刑期にも刑種にも触れず、執行猶予の有無も要件とされていません。

同号リと比べると違いは明らかです。リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を挙げつつ、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者を除いています。一般の犯罪では執行猶予により退去強制事由から外れる余地があるのに対し、薬物事犯は有罪判決を受けたという一事で該当しうるのです。退去強制に至らずとも、在留期間の更新は法務大臣が相当の理由を認めたときに限られ(同法21条3項)、在留資格の取消し(同法22条の4)も生じえます。

不起訴処分を最優先の目標に据えます

執行猶予判決では在留資格を守れないことがある以上、当事務所は起訴前から不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えます。4号チが「有罪の判決を受けた者」を要件とする以上、有罪判決が存在しなければこの号には該当いたしません。

なお入管実務は、退去強制事由の判断に故意・過失を要件としないとの立場ですが、この点は現在なお争われている論点です。松村大介弁護士は責任主義の射程を問う訴訟を担当し、上訴審まで争ってまいりました。結論は断定できませんが、刑事段階で認識の有無を争っておくことが後の入管手続の土台になります。

最初にお願いしたい3点

  • 黙秘権を行使する。記憶が曖昧なまま、通訳を介した不正確なやり取りのまま調書に署名しないことです。
  • 早期に弁護人を選任する。72時間の中で動ける弁護人が必要です。ご家族からのご連絡でも接見に向かえます。
  • 通訳の質を確かめる。薬物事件では供述の細かな言い回しが故意の認定に直結いたします。

当事務所のご案内

当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、捜査機関が指定する通訳とは別に、ご本人のために動きます。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、押収物と捜査経過を徹底的に分析し、被告人質問と反対尋問を尽くして無罪判決を獲得した事案がございます。

また、在留資格を失い不法滞在で起訴された方について、婚姻と認知の手続を実現させ、過去の許可事例を分析して一度の申請で在留特別許可を獲得した事案もございます。

おわりに

大麻に関する法改正は、外国籍の方にとって、刑事処分の重さ以上に在留の可否という形で影響いたします。取調べの前、あるいは始まった直後にご相談いただければ、打てる手は残されております。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):大麻与含THC产品的持有及使用 修法后的刑罚与入管法第24条第4号「チ」的退去强制风险

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