舟渡国際法律事務所

偽造された在留カードを買ってしまったとき|買った側に問われる罪と、その後の在留手続への影響

お問い合わせはこちら

偽造された在留カードを買ってしまったとき|買った側に問われる罪と、その後の在留手続への影響

偽造された在留カードを買ってしまったとき|買った側に問われる罪と、その後の在留手続への影響

2026/09/08

在留カードを偽造して販売していた者が摘発され、購入した二十数名が順次検挙された、という趣旨の報道が続いています。売った側が捕まれば、記録をたどって買った側に捜査が及ぶのは時間の問題です。自分は偽造していない、持っていただけだ。そう考える方は少なくありませんが、入管法は買う行為も持つ行為も処罰の対象としており、刑事処分の後には在留審査が控えています。

本記事の要点

  • 入管法は、偽造・変造だけでなく行使・提供・収受・所持も独立に処罰の対象としており(入管法73条の3以下)、勤務先や役所で示せば刑法158条1項の偽造公文書行使も問題となり得る。
  • 実務では不法残留(入管法24条4号ロ)や資格外活動(同4号ハ)が同時に立件され、在留資格の取消し(入管法22条の4第1項1号・2号)から退去強制手続へ進み得る。
  • 偽造書類の使用歴は、在留特別許可や更新・変更・永住・帰化の審査で素行の評価に長く残る。

買った側・持っていた側も処罰の対象となり得る

処罰されるのは、作った側と売った側だけではありません。入管法は、偽造カードを使う行為、他人に渡す行為、受け取る行為、手元に置く行為を、それぞれ別個に処罰の対象としています(入管法73条の3以下)。どの行為がどの条文に当たり、どの刑が定められているかは態様や目的によって変わりますので、資料を示して弁護人にお確かめください。

「使った」といえる場面は思っているより広い

保管していた状態と、人に示した状態とでは評価が異なります。勤務先へ提示した、役所の窓口に出した、携帯電話の契約で本人確認に使った。いずれも行使と評価され得ます。在留カードは公的な書類ですから、相手と目的によっては刑法上の偽造公文書行使(刑法158条1項)も問題となります。

偽造カードの事件は単独では終わらない

購入の動機の多くは、在留資格を失った後も働き続けることにあります。そのため捜査は偽造カードで止まらず、不法残留(入管法24条4号ロ)や資格外活動(同4号ハ)が同時に立件されるのが通例で、雇っていた側には不法就労助長(同4号ヌ)が問題となります。中長期在留者には在留カードの携帯義務があり(入管法23条2項)、罰則も定められています(入管法75条の3。20万円以下の罰金)。軽い罰則の罪でも、逮捕・勾留がなされることはあります。

退去強制の構造も確認します。刑の重さによって直ちに退去強制事由となるのは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合です(入管法24条4号リ。全部執行猶予は除かれます)。刑の軽重を問わない薬物事犯等(同4号チ)とは異なりますが、この種の事案では不法残留それ自体が退去強制事由となっていることが多い。

在留資格の取消しと、長く残る「素行」の評価

偽りその他不正の手段により許可を受けたと判断されれば、在留資格の取消しの対象となり(入管法22条の4第1項1号・2号)、退去強制手続へ進みます。在留期間更新の不許可(入管法21条)も併せて考える必要があります。偽造書類の使用歴は、在留特別許可や変更・永住・帰化の各審査で素行の評価に影響し、年単位で残ります。自ら出頭した場合と摘発により発覚した場合とで考慮のされ方が異なり得るというのが実務上の感覚ですが、一律の断定はできません。

逮捕からの72時間と初動対応

逮捕されると、警察の段階で48時間、検察官の段階で24時間、合計72時間以内に勾留を請求するかが決まります。この間に供述調書の骨格ができるため、最初の3日間が結論を左右します。目標は不起訴処分に置きます。執行猶予付きの判決を得ても、在留審査上の評価は残るからです。

  • 黙秘権を行使し、購入の経緯や使用した場面を、記憶が不確かなまま話さない。
  • 早い段階で弁護人を選任する。当番弁護士制度のほか、ご家族からの私選も可能です。
  • 通訳の質を確かめる。ご本人のために動く通訳の有無で、調書の正確さは変わります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事事件と入管手続を主な注力分野としています。松村大介弁護士は接見から結審まで全工程を自ら担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。解決事例を三件挙げます。

  • 在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された方の事案。婚姻・認知が未了で一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して成立させ、公的書類がほとんどない中で有利な資料を集め、在留特別許可を獲得しました。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案。退去強制事由に故意・過失を要しないとする実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を上訴審まで争いました。その後、在留特別許可が認められました。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案。徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議を重ね、主張立証を尽くして、全件について不起訴処分を獲得しました。

外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、捜査機関の通訳とは別に、ご本人のために動きます。処分後の在留資格の手続は提携する行政書士と連携してワンストップで対応し、退去強制手続に進んだ場合も在留特別許可の獲得実績を踏まえて対応にあたります。

結語

偽造カードを買ってしまった方の多くは、働かなければ生活が成り立たないという事情を抱えています。その事情は犯罪を正当化しませんが、量刑や在留審査で正しく語られるべき事実です。事実を整理し、資料とともに示すことができれば、結論が変わる余地は残されています。早い段階でのご相談ほど、打てる手は多くなります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年9月時点の情報です。

執筆者 松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/微信ID:matsumura1119

中文版(简体字):购买了伪造在留卡时|购买一方可能被追究的罪责及其对今后在留手续的影响

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。