飲食店や路上での喧嘩で傷害・暴行に問われたら|示談交渉の進め方と在留資格への影響
2026/09/07
酒席での口論から手が出てしまった、あるいは相手から先に殴られ、応戦したところ相手が怪我をした。繁華街での事件では、双方が被害届を出し、双方が被疑者になるという構図も珍しくありません。外国籍の方の場合、言葉の行き違いが暴行と受け取られたり、その場の説明が十分にできないまま調書が作られたりする危険が加わります。この記事は、そうした事件に巻き込まれたご本人とご家族に向けた一般的な解説です。
本記事の要点
- 暴行罪は2年以下の拘禁刑等、傷害罪は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法208条、204条)。
- 正当防衛や過剰防衛の成否は、現場の位置関係と時間的な前後関係で決まります。防犯カメラの保存期間は短く、初動が結論を左右します。
- 被害者の方との示談は、不起訴処分に直結する最も強力な材料です。
- 傷害の結果が重大化すると1年を超える実刑の可能性が現実味を帯び、入管法24条4号リの問題に接続します。
手続の流れ
暴行・傷害事件は、その場で現行犯逮捕される場合と、後日呼び出しを受ける場合があります。被害者の方の負傷の程度が診断書で明らかになるまで処分が保留されることが多く、この期間が示談交渉の実質的な猶予期間になります。示談が成立し、宥恕の意思(処罰を望まないという意思)が示されれば、起訴猶予による不起訴の可能性が高まります。他方、相手方の連絡先は捜査機関が管理しているため、ご本人やご家族が直接交渉することは通常できません。弁護人を通じて、捜査機関の仲介により連絡を取る形になります。
外国人の方に固有のリスク
傷害事件は罰金や執行猶予で終わることも多く、その限りでは入管法24条4号リの退去強制事由に直ちに当たるわけではありません。しかし、罰金であっても前科は残り、在留期間の更新や永住許可の審査で素行の面が問われます。特に、更新の時期が事件から間もない場合、審査官はまさにその事件を見て判断することになります。「刑事事件は終わったのに、更新で不許可になった」という相談は、実務上決して珍しくありません。刑事の結論だけを見て安心しないことが肝要です。
正当防衛をどう主張するか
先に手を出されたという説明は、外形的な負傷の程度だけを見て退けられることがあります。防御のための行為が結果として相手に大きな怪我を負わせた場合、なおさらです。ここで頼りになるのは、店舗や街頭の防犯映像、同席者の記憶、通報の時刻、着衣の状態といった客観的な資料です。映像は数日から数週間で上書きされることが多く、保全の申入れは早いほど有効です。
初動で押さえていただきたい三点
第一に、取調べで争う姿勢を示すことと、反省がないと評価されることとは別です。事実に反する内容を認める必要はありません。第二に、示談は金額の問題だけではなく、謝罪の形と再発防止の約束の組み立て方で成否が変わります。第三に、通訳を介した供述では、暴行の順序や部位といった細部が訳出の過程で入れ替わりやすいため、弁護人側の通訳の確保が有効です。
当事務所について
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、加害者側・被害者側の双方の立場で示談交渉を扱ってまいりました。被害者側としては、盗撮被害の事案で300万円の慰謝料による示談を成立させた事例や、取り込み詐欺の被害事案で刑事告訴を端緒に相手方を特定し、7,500万円の解決金を獲得した事例があります。双方の立場を知っているからこそ、加害者側として交渉に臨む際にも、相手方が何を求めているのかを踏まえた組み立てが可能になります。入管手続の側では、困難とされた在留特別許可を獲得した事例を有しています。
松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。刑事手続の終了後の在留資格の更新についても、提携の行政書士とともにご相談を承ります。
なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
結語
喧嘩の事件は、双方に言い分があるのが通常です。その言い分を、客観証拠が消える前に形にできるかどうかが分かれ目になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年9月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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