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上陸特別許可とは|上陸拒否期間中の入国と在留特別許可との違い

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上陸特別許可とは|上陸拒否期間中の入国と在留特別許可との違い

上陸特別許可とは|上陸拒否期間中の入国と在留特別許可との違い

2026/09/04

上陸特別許可とは、上陸のための条件に適合しない外国人について、法務大臣が特別に上陸を許可する制度をいう。過去に退去強制を受けたなど上陸拒否事由に当たる場合であっても、事情によっては上陸が認められることがある。既に日本にいる方を対象とする在留特別許可とは、別の制度である。

この記事の要点

  • 上陸拒否事由に当たる場合でも、法務大臣の判断により上陸が認められることがある。
  • 入国審査官の審査、特別審理官の口頭審理、法務大臣への異議の申出という流れの最後の段階で判断される。
  • 既に日本にいる方が受ける在留特別許可とは、場面も資料も異なる。
  • 退去強制歴による上陸拒否期間は原則5年、過去に退去強制歴があれば10年である。
  • 家族関係の実体を客観的な資料で示せるかどうかが中心的な争点になる。

上陸特別許可とは何か

上陸特別許可は、上陸のための条件に適合しない外国人に対し、法務大臣が特別に上陸を認める制度である。入管法は、法務大臣が異議の申出に理由がないと認める場合であっても、一定の事情があるときは上陸を特別に許可することができると定めている。

典型的なのは、過去に退去強制を受けて上陸拒否期間中である方が、日本人の配偶者や子と暮らすために再び入国しようとする場面である。再入国許可を受けている場合や、人身取引などによって他人の支配下に置かれていた場合についても、特別に許可することができるとされている。

どのような手続の中で判断されるか

上陸特別許可は、上陸手続の最終段階で判断される。まず入国審査官の審査があり、上陸のための条件に適合しないと認定されると、特別審理官による口頭審理に進む。

口頭審理でも認定に誤りがないと判定された場合、その通知を受けた日から3日以内に法務大臣に対して異議を申し出ることができる。この異議の申出に対する裁決の際に、上陸特別許可の可否が検討される。手続はいずれも空港や港の施設内で進むため、その場で新たに資料を集めることは事実上難しい。

上陸拒否事由と上陸拒否期間はどうなっているか

上陸拒否事由は入管法5条1項に列挙されている。期間の定めがあるものと、期間の定めなく拒否されるものがある。

事由上陸拒否の期間
退去強制を受けて出国した(初めての場合)原則として5年
過去に退去強制を受けたことがある10年
出国命令により出国した1年
薬物に関する法令に違反して刑に処せられた期間の定めなく拒否される
1年を超える拘禁刑に処せられた期間の定めなく拒否される場合がある

上陸特別許可と在留特別許可は何が違うか

判断される場面が異なる。上陸特別許可は日本の外にいる方が入国しようとする段階のものであり、不法入国や不法残留により退去強制を受けた後に再び来日しようとする場面で問題になる。

これに対して在留特別許可は、既に日本にいる方について、退去強制手続の中で在留を認めるかどうかを判断するものである。在留特別許可については入管法50条が定めを置き、令和5年改正により考慮すべき事情が明示されたが、上陸特別許可についてはそのような列挙はない。もっとも、家族関係や人道的な配慮が重視される点は共通している。

どのような事情が考慮されるか

中心になるのは、日本に上陸する必要性と、過去の違反の評価である。日本人や永住者である配偶者、子との関係が実体を伴うものであるか、日本での生活の基盤があるか、扶養を必要とする家族がいるかといった事情が問われる。

あわせて、上陸拒否事由に至った経緯、その後の期間の長さ、再び同じ違反をするおそれがないかも考慮される。単に会いたいという事情だけでは足りず、渡航の必要性を裏付ける具体的な資料が求められる。

許可されない場合はどうなるか

異議の申出に理由がないと裁決され、上陸特別許可もされない場合には、退去命令が出される。原則として、乗ってきた運送業者の負担と責任で本国に送還されることになる。

この場合、次に来日を試みるときには、前回と同じ資料では判断が変わりにくい。婚姻期間の経過や子の就学の状況など、事情の変化を示せるかどうかが問題になる。渡航の前に見通しを立てておくことが、結果として費用と時間の節約になる。

外国人の事件で上陸特別許可が問題になるのはどのような場面か

実務では、過去に刑事事件で処罰され退去強制を受けた方が、日本に残る家族との生活を再開しようとする場面が多い。刑事事件の内容と経過した年数が、そのまま判断の材料になる。

そのため、刑事手続の段階から、後の入国の可能性を意識した対応をしておく意味は大きい。関連する語として、上陸許可基準や再入国許可も併せて確認しておくとよい。

よくあるご質問

Q1 上陸拒否期間中でも日本に入国できますか。

原則としてできませんが、法務大臣が特別に上陸を許可する制度があります。日本人の配偶者や実子との関係など、上陸を認めるべき事情を具体的に示せるかが問われます。可能性の見極めには事前の検討が必要です。

Q2 上陸特別許可と在留特別許可はどう違いますか。

上陸特別許可は日本に入る段階、在留特別許可は既に日本にいる方が退去強制手続の中で受けるものです。判断する場面も、示すべき資料の中身も異なります。

Q3 口頭審理はどこで行われますか。

上陸の手続の中で行われますので、空港や港の施設で実施されます。その間、上陸は認められず、施設内での待機となります。事前に主張と資料を整理しておかないと、その場での対応は困難です。

Q4 許可されなかった場合はどうなりますか。

退去命令を受け、原則としてご自身が乗ってきた運送業者の負担と責任で本国に送還されます。次に日本を目指す場合は、事情が変わったことを示せるかどうかが問題になります。

Q5 上陸特別許可を受けるために事前にできることはありますか。

在留資格認定証明書の交付申請の段階から、家族関係や上陸を必要とする事情を資料で示しておくことが考えられます。何も準備しないまま渡航して口頭審理に臨むことは、負担が大きくお勧めできません。

おわりに

上陸特別許可は、空港や港という限られた場面で判断されるため、その場での立て直しが難しい制度である。渡航の前にどこまで資料を整えられるかで結論が変わり得る。家族が離れて暮らす期間を短くするためにも、早い段階での検討が望ましい。

外国人の刑事事件、とりわけ中国語圏の方の刑事弁護と、その後の在留資格の問題については、当事務所にご相談ください。接見・取調べへの対応・打合せに対応できる中国語の通訳体制を備えています。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

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執筆者情報

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)
主たる注力分野:中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護、出入国管理関係の行政訴訟
刑事手続と在留資格の問題を一体としてお取り扱いしております。

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