舟渡国際法律事務所

日本での刑事事件は本国の就職や出国に影響するか

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日本での刑事事件は本国の就職や出国に影響するか

日本での刑事事件は本国の就職や出国に影響するか

2026/09/03

日本での事件は、国に帰ってからの仕事に響きますか。接見の場で、この質問を受けることがあります。日本の刑事手続そのものよりも、そのあとの人生に何が残るのかを心配しておられるということです。

正直に申し上げると、本国での就職や出国にどう影響するかという問いに、日本の弁護士が最終的な答えを出すことはできません。それは本国の法律が決めることだからです。ただし、日本の側で何が記録され、どの書類が出るのかを正確に押さえておけば、本国で相談するときの材料になります。この記事は、その材料を揃えるための整理です。

日本の側で何が記録され、何が証明書になるのか

本国での就職の場面で提出を求められることがあるのは、日本の犯罪経歴証明書です。これは都道府県警察の鑑識部門を窓口として警察庁が発行する公文書で、外国の政府機関が提出を求めている場合に発行されます。日本国内の民間企業に提出する目的では発行されません。

この証明書に記載されるのは確定した有罪の裁判に関する事項であり、不起訴で終わった事件は記載されません。申請には本人の出頭と指紋の採取が必要で、すでに帰国している方は居住国の日本大使館または総領事館を経由して申請します。家族が代わりに取りに行くことは原則としてできません。

不起訴・執行猶予・実刑で残るものが違う

三つの結末で、後に残るものが変わります。不起訴処分は有罪の裁判ではありませんので、犯罪経歴証明書には記載されません。執行猶予付きの判決は有罪判決であり、記載の対象になります。実刑判決はもちろん記載されます。

刑法34条の2は、拘禁刑以上の刑の執行を終わり、または執行の免除を得た者が、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときに刑の言渡しが効力を失うと定め、罰金以下の刑については5年としています。また、全部の執行猶予が取り消されないまま猶予期間を経過したときにも、刑の言渡しは効力を失うという定めが刑法にあります。もっともこれは法律上の効力の問題であり、捜査機関が保管する記録が物理的に消えるという意味ではありません。

日本を出る場面での制約

刑事手続が続いている間は、日本を出ること自体に制約がかかります。保釈が認められた場合には、住居の制限や旅券の提出といった条件が付されることがあり、裁判所の許可なく日本を離れることはできません。条件に違反すれば保釈が取り消される可能性があります。

また、一定の刑事事件で訴追されている外国人については、出国の確認を一時的に留保する仕組みが入管法に置かれています。帰国の航空券を取ってあるから大丈夫だろう、という判断は危険です。出国の予定がある場合は、必ず事前に弁護人に確認してください。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

本国での影響を考える前に、日本での在留資格が先に問題になります。入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部の執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実際に服する部分が1年以下なら除外されます。

他方、同条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令に違反して有罪の判決を受けた者を掲げ、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の種類を問いません。出入国在留管理庁の令和7年末の統計では在留ネパール人は300,992人であり、警察庁の令和7年確定値では来日外国人の総検挙人員12,777人のうちネパールは452人でした。この来日外国人という区分は、永住者・永住者の配偶者等・特別永住者・在日米軍関係者・在留資格不明者を除く定義です。

本国での就職や出国への影響は本国の法律が決める

日本の判決や処分が、本国での就職資格、公務員採用、営業許可、旅券の発給や出国の手続にどう影響するかは、本国の法制によって決まります。日本の弁護士がお答えできるのは、日本側で何が行われ、どの書類が作成され、日本の手続にどう影響するかという範囲までです。

したがって、本国での取扱いについては、本国の弁護士に確認していただく必要があります。その際に日本側の資料が揃っていれば、相談は具体的に進みます。

日本側でできる準備

帰国する前に揃えておくとよい書類があります。不起訴になった場合には不起訴処分告知書、判決があった場合には判決書の謄本、身体拘束を受けた場合にはその期間が分かる資料です。これらは、後から国外で取得しようとすると時間と手間がかかります。

  • 不起訴処分告知書(不起訴で終わった場合)
  • 判決書の謄本(判決があった場合)
  • 在留カードや旅券の写しなど、日本での滞在歴が分かるもの
  • 必要に応じて日本語からの翻訳

翻訳の正確さは重要で、刑法には虚偽の通訳や翻訳を処罰する規定として171条が置かれています。提出先が求める翻訳の形式も、あらかじめ確認しておいてください。

よくある誤解

  • 不起訴でも証明書に載る、という誤解。記載の対象は確定した有罪の裁判です。
  • 執行猶予なら前科にならない、という誤解。執行猶予付き判決も有罪判決です。
  • 裁判が終わればいつでも帰国できる、という誤解。手続の段階によっては出国が制限されます。
  • 家族に頼めば証明書を取ってもらえる、という誤解。本人出頭と指紋採取が原則です。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ネパール語をはじめとするその他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分を得ることを最優先の目標に置いています。将来の証明書の記載という場面まで見通したとき、不起訴で終わらせることの意味は大きいからです。刑事事件と入管手続は一体として設計します。刑事手続で作成された供述調書が、その後の違反審査や口頭審理で資料として用いられるためです。帰国を予定される方には、出国の可否と必要書類の準備についてもあわせてご説明します。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

日本での事件が本国でどう扱われるかは、日本側の書類と本国側の法律という二つの要素で決まります。前者は日本にいるうちにしか整えられません。帰国の日を決める前に、手元に何を残すかを一度点検してください。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のネパール語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099393/

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