舟渡国際法律事務所

仮放免と監理措置の違い|就労はできるのかを整理する

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仮放免と監理措置の違い|就労はできるのかを整理する

仮放免と監理措置の違い|就労はできるのかを整理する

2026/09/03

働いてもいいですか。仮放免や監理措置についてのご相談で、最初に出てくる質問はたいていこれです。生活費が要るのだから当然の問いですが、答えは残念ながら、当然には認められません、というものになります。

その理由は、二つの制度の性質にあります。仮放免も監理措置も、身柄をどう扱うかについての決定であって、日本で活動する資格を与えるものではありません。ここを取り違えると、本人だけでなく雇う側も刑事責任を問われかねません。

この記事では、二つの制度の位置づけの違い、就労がどう扱われるか、そして在留特別許可の申請権という決定的な差について整理します。

仮放免も監理措置も、在留資格を与える制度ではありません

まず前提として、どちらも在留資格ではありません。仮放免は、収容されている方について、身柄の拘束を一時的に解く許可です。監理措置は、収容に代えて、監理人による監理のもとで社会内で手続を進める仕組みで、令和6年6月から運用されています。

いずれも、退去強制手続が進行していることに変わりはありません。手続が止まるのではなく、身柄の扱いだけが変わるという理解が出発点になります。

二つの制度の使われ方には大きな差があります

数字を見ると、現在の実務の中心は監理措置に移っています。出入国在留管理庁の資料によれば、令和6年6月10日から同年末までの監理措置の決定は1,123件で、内訳は退去強制令書発付前が647件、発付後が476件でした。同じ期間の仮放免は127件です。

また、この期間の監理人の9割以上は親族・知人であり、所在不明となった者はいなかったとされています。身近な人が生活を支える形が、実際に機能していることを示しています。

就労の可否はどう決まるか

結論から言えば、在留資格がない以上、就労が当然に認められることはありません。仮放免も監理措置も、決定や許可に条件が付されます。何ができて何ができないかは、その条件によって決まります。

したがって、確認すべきは制度名ではなく、自分に交付された書面に何が書かれているかです。条件に反した活動をすれば、手続上の処遇が不利に変更されるだけでなく、別個の違反として扱われる可能性があります。判断に迷うときは、働き始める前に確認してください。

雇う側にも重い責任があります

就労の問題は、本人だけの問題ではありません。入管法73条の2は、不法就労助長罪として、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金を定めています。同条2項は、過失がなかったことを行為者の側で立証しなければならないという構造をとっており、知らなかったという弁解は容易には通りません。

実際の摘発も続いています。警察庁の令和7年の統計によれば、不法就労助長罪の検挙件数は253件、検挙人員は308人でした。被雇用不法就労外国人は475人で、国籍別ではベトナム169人、タイ69人、インドネシア63人となっています。加えて、入管法3号の4に該当する不法就労助長行為は、行為そのもので退去強制事由となり、刑事処罰を要しません。

在留特別許可の申請権に決定的な差があります

ここが実務上もっとも重要な違いです。入管法50条2項が在留特別許可の申請権を認めているのは、収容令書により収容されている者と、監理措置決定を受けた者です。仮放免中であることは、この列挙に含まれていません。

さらに50条3項により、退去強制令書が発付された後は申請できません。監理措置には令書発付前と発付後の二つの局面があり、発付後であれば申請の道はすでに閉じています。判断にあたっては50条5項の考慮要素、すなわち在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他の事情が見られ、運用基準は2024年6月改定の在留特別許可に係るガイドラインです。

刑事処分は在留にどう跳ね返るか

就労に関わる違反も、刑事事件も、退去強制事由の判断に直結します。入管法24条4号イは、専ら在留資格外の活動を行っていると明らかに認められる者を掲げ、4号ヘは、入管法73条の罪により拘禁刑に処せられた者を掲げています。

また24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除かれ、一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除かれます。他方、24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を掲げ、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の種類を問いません。

生活費の問題にどう向き合うか

働けないなら生活はどうするのか、という問いは避けて通れません。制度の説明だけでは解決しない部分です。

現実的には、監理人や親族による支援、支援団体との連絡、家計の見直しといった手当てを組み合わせることになります。重要なのは、条件に反する就労で当座をしのぐ選択が、在留特別許可の判断における素行の評価に跳ね返るという点です。目先の解決が、残るための可能性を削ることがあります。

よくある誤解

第一に、仮放免になれば働いてよいという理解。在留資格を与える制度ではないため、当然には認められません。

第二に、監理措置は仮放免の名前が変わっただけだという理解。申請権の有無という点で、法的な効果が異なります。

第三に、雇う側は在留カードを見れば足りるという理解。73条の2第2項の構造上、確認の記録を残しておくことが重要になります。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。外国人事件については中国語の専属通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

刑事事件では、執行猶予判決ではなお不十分であると考え、不起訴処分を最優先の目標とします。刑事の供述調書が違反審査調書や口頭審理調書の前提資料になるため、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点で対応します。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

似た名前の制度でも、その先にある選択肢は同じではありません。いま自分がどちらの立場にいるのかを確かめることが、次の判断の前提になります。本記事は一般的な解説ですので、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099347/

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