監理措置の監理人になれるのは誰か|届出と報告の義務
2026/09/03
私が監理人になれますか。収容された方のご家族から、いちばん多く受ける質問のひとつです。答えは、多くの場合なれます、ただし引き受ける内容を理解したうえで、というものになります。
監理措置は、収容に代えて社会内で手続を進める仕組みですが、その中心にいるのが監理人です。制度は、身近な人が生活を支えながら本人を手続に応じさせるという設計になっています。名義だけの保証人とは性質が違います。
この記事では、監理人には実際に誰がなっているのか、どのような義務を負うのか、そして監理人が付くことで本人の側にどんな効果が生じるのかを説明します。
監理人は、本人の生活を監理し入管に報告する立場です
監理人とは、監理措置決定を受けた方について、その生活状況を把握し、入管に必要な届出や報告を行う立場に置かれる人です。本人が定められた条件を守って生活し、呼出しに応じて手続に出頭することを、身近な位置から支える役割を担います。
ここで押さえておきたいのは、監理人が付くのは本人の身柄を社会内に置くためであって、手続そのものを止めるためではないという点です。退去強制手続は、監理措置のもとでも進行します。
実際に監理人になっているのは、ほとんどが親族と知人です
公表された実績を見ると、監理人の担い手は身近な人が中心です。出入国在留管理庁の資料によれば、令和6年6月10日から同年末までの監理措置決定は1,123件で、内訳は退去強制令書発付前が647件、発付後が476件でした。同じ期間の仮放免は127件です。
そして、この期間の監理人の9割以上が親族・知人であり、所在不明となった者はいなかったとされています。特別な資格が求められる制度ではなく、日常的に本人と関わることができる人が担っているのが実情です。
監理人に求められること
引き受けるということは、継続的な事務と関与を引き受けるということです。具体的には、次のような負担が生じます。
- 本人の住居、生活費、日常の生活状況を把握しておくこと
- 入管から求められた事項について報告すること
- 本人の状況に変化があったときに、届出や連絡を怠らないこと
- 本人が呼出しに応じて出頭できるよう、日程と移動の手当てをすること
これらは形式的な確認作業ではありません。仕事や家庭の事情で本人と長期間会えない状況が続くようであれば、無理に引き受けるより、実際に関われる人を探すほうが結果的に本人のためになります。
監理人が付くことで本人に生じる効果
もっとも大きいのは、在留特別許可を申請できる地位が生じることです。入管法50条2項は、収容令書により収容されている者と、監理措置決定を受けた者に申請権を認めています。
ただし時期の限界があります。50条3項により、退去強制令書が発付された後は申請できません。監理措置には令書発付前と発付後の二つの局面があり、発付後の監理措置では在留特別許可の申請という選択肢はすでに閉じています。だからこそ、どの段階の監理措置なのかを確認することが重要です。判断の際は、50条5項が挙げる在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他の事情が考慮され、運用基準は2024年6月改定の在留特別許可に係るガイドラインです。
引き受ける前に確認しておきたいこと
準備は、義務の内容と生活設計の両面から行います。住居はどこになるのか、生活費は誰がどう負担するのか、通院や通学の予定はあるか、連絡手段はどう確保するか。これらを具体的に詰めておくと、決定後の運用が安定します。
また、監理人自身の在留資格や生活状況も、当然ながら安定していることが望ましいといえます。引き受けた後で監理人側の事情が変わると、本人の処遇にも影響が及びます。
刑事処分は在留にどう跳ね返るか
生活が社会内に戻っても、刑事事件の結論は在留の可否に直結します。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除かれ、一部猶予でも実刑部分が1年以下であれば除かれます。
一方、24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を掲げ、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の種類を問いません。監理人が生活を支えていても、刑事の結論次第で退去強制事由の判断は動きます。
よくある誤解
第一に、監理人は日本人でなければならないという理解。実際には親族や知人が広く担っており、国籍によって一律に決まるものではありません。
第二に、監理人になると本人の刑事責任や賠償責任まで負うという理解。監理人の役割は生活の監理と入管への届出・報告であり、本人の刑事責任を引き受けるものではありません。
第三に、監理措置になれば在留資格が得られるという理解。監理措置は身柄の処遇に関する決定であり、在留資格を与えるものではありません。就労の可否も決定に付された条件によります。
当事務所の対応
当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。外国人事件については中国語の専属通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。
刑事事件では、執行猶予判決ではなお不十分であると考え、不起訴処分を最優先の目標とします。刑事の供述調書が違反審査調書や口頭審理調書の前提資料になるため、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点で対応します。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。
おわりに
監理人を引き受けるかどうかは、家族にとって重い判断です。ただ、その判断は本人が手続のなかで何を主張できるかにも直結します。本記事は一般的な解説ですので、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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この記事のインドネシア語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099345/
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