舟渡国際法律事務所

口頭審理で何を話すべきか 特別審理官の前で伝える事情と資料

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口頭審理で何を話すべきか 特別審理官の前で伝える事情と資料

口頭審理で何を話すべきか 特別審理官の前で伝える事情と資料

2026/09/03

口頭審理が終わったあと、何を聞かれたのかよく覚えていない、言いたかったことを言えなかった、というお話を伺うことがあります。準備なしに臨めば、質問に答えるだけで時間が過ぎ、自分から述べたかった事情が記録に残らないまま終わってしまいます。

口頭審理は、退去強制手続の中で本人が自分の言葉で事情を述べられる、数少ない正式な機会です。この記事では、その場で何を述べるべきか、どの資料が意味を持つのか、そして判定の後に何ができるのかを、条文に即して整理します。

口頭審理は何を決める場か

口頭審理は、入国審査官による違反審査の認定に納得できない場合に、特別審理官の前で行われる手続です。ここで審理されるのは、退去強制事由に該当するという認定が正しいかどうかです。

ただし、実際にはもうひとつの機能があります。ここで述べた事情と提出した資料は、その後の異議の申出とその裁決、すなわち在留特別許可が検討される場面に引き継がれます。口頭審理は認定を争う場であると同時に、在留を求める主張の土台を作る場でもあるのです。

主張には二つの型がある

述べ方には二つの型があり、どちらを主軸にするかを決めてから臨む必要があります。第一は、そもそも退去強制事由に該当しないという主張です。出入国管理及び難民認定法24条の各号のうち、どの号に当たるとされているかを確認し、その事実認定を争います。

第二は、該当することを前提に、それでも在留を認めるべきだという主張です。この場合の枠組みは同法50条にあります。同条5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間、その他の事情を考慮要素として法定しています。判断の基準としては、2024年6月に改定された在留特別許可に係るガイドラインが現行のものです。

50条5項の考慮要素に沿って述べる

何を話すべきかに迷ったら、同条5項の考慮要素を順に埋めていくのが確実です。在留を希望する理由については、抽象的に日本が好きだと述べるのではなく、日本でなければならない具体的な事情を述べます。家族関係については、誰と、いつから、どのように生活しているかを事実として述べます。

素行については、納税や社会保険の状況、就労の継続性など、資料で裏づけられるものを中心に述べます。本邦に在留することとなった経緯については、来日の目的、在留資格の変遷、在留期間が経過するに至った事情を、時系列で正確に述べることが重要です。ここで刑事事件の供述調書と食い違いが生じると、双方の信用性が下がります。

資料は言葉より強い

口頭審理で最も効くのは、述べた事情を裏づける資料です。典型的には、婚姻や親子関係を示す書類、同居の実態が分かるもの、子の在学状況を示すもの、家族の陳述書、雇用や収入に関する書類、納税や社会保険の記録、医療に関する記録などです。

資料は当日に持参するだけでなく、事前に整理して提出できる形にしておくことが望まれます。同法50条2項は、収容令書により収容されている者および監理措置決定を受けた者に在留特別許可の申請権を認めており、監理措置中であれば外部の家族と協力して資料を集めやすくなります。

気をつけたいこと

通訳を介して行われる場合、自分の述べた内容が正確に伝わっているかを確かめながら進めてください。分からない質問には分からないと答えて構いません。推測で答えると、後に事実と食い違い、素行や信用性の評価に影響します。

また、刑事手続が並行している場合には注意が必要です。刑事の取調べで作られた供述調書は入管の手続でも読まれます。刑事事件で争っている点について口頭審理で不用意に述べると、刑事の防御に影響することがあります。両方の手続を見渡したうえで、何をどこまで述べるかを決める必要があります。

判定の後にできること

口頭審理の判定にも納得できない場合、法務大臣に対して異議を申し出ることができます。この裁決の場面で在留特別許可が検討されます。同法50条1項の但書には加重要件の列挙がありますが、そこに24条4号チは含まれていません。

不許可となった場合には、同条10項により理由を付記した書面が交付されます。理由が示されることは、次の手続を考えるうえで手がかりになります。他方、同条3項により退去強制令書が発付された後は在留特別許可の申請ができません。時期を逃さないことが決定的です。出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年の在留特別許可は申請2,424件に対し許可1,026件、不許可1,233件でした。

刑事処分は在留にどう跳ね返るか

同法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、同号の但書により全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下であれば除外されます。

これに対して同条4号チは、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤等に関する法令に違反して有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。在留資格の種類も問いません。加えて、同法5条1項5号による上陸拒否には年限の定めがなく、期間の経過による回復がありません。口頭審理で述べる事情の重みは、どの号に当たるかによって変わります。

よくある誤解

口頭審理は形式的なもので、何を述べても結論は変わらないという理解は正確ではありません。同法50条5項の考慮要素に沿った主張と資料は、裁決の段階で読まれます。

反省の言葉を述べれば足りるという理解も誤りです。考慮要素は素行だけではなく、家族関係や在留の経緯を含みます。謝罪の言葉より、事実と資料のほうが効きます。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が面会と打合せに直接対応し、口頭審理に向けた主張の整理と資料の準備を行います。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、刑事事件が併存する場合、執行猶予判決ではなお不十分であるという前提に立ち、不起訴処分を最優先の目標とします。刑事の供述調書が入管の違反審査や口頭審理の資料となる以上、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点を持っています。初回相談は無料です。微信のIDはmatsumura1119です。

おわりに

口頭審理で問われているのは、あなたがどれだけ反省しているかではなく、あなたの生活がどのようなものであったかという事実です。事実を、資料とともに、順序立てて述べること。準備の中身がそのまま結果に表れます。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099333/

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