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従業員が逮捕されたとき 企業が落としてはならない入管への届出

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従業員が逮捕されたとき 企業が落としてはならない入管への届出

従業員が逮捕されたとき 企業が落としてはならない入管への届出

2026/09/03

外国人従業員が逮捕されたとき、企業がまず考えるのは事業への影響と本人の処遇です。そこで見落とされやすいのが、入管への届出という地味な作業です。届出は事件そのものを解決しませんが、放置すれば、本人の在留資格と企業のその後の受入れに影響が及びます。

本記事では、企業と本人がそれぞれ負う届出義務を条文とともに整理し、身柄が拘束されている期間に誰が何をするのか、そして怠った場合に何が起きるのかを説明します。

届出義務は、本人側と企業側の二系統に分かれている

まず整理すべきは、届出には本人が行うものと、企業が行うものの二系統があるという点です。本人側の代表が、所属機関等に関する届出と住居地の届出です。企業側には、外国人を雇い入れたときと離職したときのハローワークへの届出があり、これは在留資格の手続とは別の系統として存在します。

身柄が拘束されると、本人側の届出が物理的に難しくなります。ここで企業や弁護人が何もしないまま期間が経過すると、後の在留手続で説明を要する空白が生まれます。

条文と期限を一覧で確認する

主要な義務と根拠は次のとおりです。

内容根拠期限・効果
所属機関等に関する届出入管法19条の16・19条の1714日以内
住居地の届出入管法19条の7から19条の10届出義務違反は在留資格取消しの事由になり得る
在留カードの携帯・提示入管法23条携帯義務違反は75条の3により20万円以下の罰金、提示義務違反は75条の2により1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金
在留資格の取消し入管法22条の4虚偽申請による取得、3か月以上の活動不実施、住居地の届出義務違反等

期限が明示されているものは、期限内に出すこと自体が評価の対象になります。

身柄拘束中に、誰が何をするか

逮捕・勾留中は本人が窓口に行けないため、対応は弁護人と会社の連携になります。会社としては、雇用契約をどう扱うかを早く決めることが出発点です。退職や解雇が確定すれば、本人側では所属機関に関する届出が入管法19条の16及び19条の17により14日以内に必要になります。決定を先送りにすると、届出の起算点自体が曖昧になります。

住居について社宅を貸与している場合には、退去させるかどうかも早期に判断する必要があります。住居地が失われれば、本人の届出義務の履行が難しくなるだけでなく、身柄解放後の帰住先がなくなり、保釈や処分の判断にも影響します。

届出を怠ると、在留資格の側から効いてくる

届出を怠ったこと自体が直ちに退去強制につながるわけではありませんが、影響は後から現れます。入管法22条の4は、虚偽の申請等による在留資格の取得、正当な理由なく3か月以上、当該在留資格に応じた活動を行わないで在留していること、住居地の届出義務違反などを取消事由としています。出入国在留管理庁の令和7年の統計では、在留資格の取消しは1,446件でした。

刑事処分そのものの影響も併せて見ておく必要があります。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除かれます。他方、薬物に関する法令違反は同法24条4号チに該当し、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも退去強制事由となります。届出の履行は、この判断そのものを覆すものではありませんが、素行の評価という形で在留期間の更新や在留特別許可の場面に反映されます。

この場面で企業がしがちな誤解

第一に、本人が身柄拘束中なのだから届出はできなくても仕方がない、という理解です。できない事情があるのなら、その事情を記録に残し、可能になった時点で速やかに行うという運用が必要です。第二に、届出は本人の義務だから会社は関係ないという理解です。企業側にも雇入れと離職の届出があり、実習生や特定技能の受入れであれば、受入れ側としての報告も関係します。第三に、まとめて後で処理すればよいという理解です。期限のある届出は、遅れた事実が記録として残ります。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接あたります。中国語は外国人事件の専属通訳が常駐しており、タガログ語をはじめとするその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分を最優先の目標とします。刑事事件と入管手続は一体として設計します。捜査段階の供述調書が違反審査や口頭審理の資料となるため、初期の段階から入管手続を見据えて供述を整理する必要があるからです。退去強制事由への該当性についても、故意や過失の有無を争う視点をもって検討します。企業のご相談では、従業員本人の弁護と会社としての対応を切り分けたうえで、届出の要否と時期についてもご説明します。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに一言

届出は、事件の帰趨を直接左右する手続ではありません。しかし、期限内に出したという事実の積み重ねは、後の在留手続で企業と本人の双方を支えます。逮捕の連絡を受けた日に、刑事の対応と並んで届出の棚卸しをしておくことをお勧めします。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタガログ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099289/

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