舟渡国際法律事務所

外国人を雇う店舗が風営法と入管法の双方で問われるとき

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外国人を雇う店舗が風営法と入管法の双方で問われるとき

外国人を雇う店舗が風営法と入管法の双方で問われるとき

2026/09/03

接待を伴う飲食店やガールズバー、深夜まで営業する店舗の摘発では、店舗側が二つの異なる法律で同時に問題を指摘されることがあります。ひとつは営業の在り方についての風営法、もうひとつは働かせ方についての入管法です。どちらか一方の問題として理解していると、対応を誤ります。

本記事では、なぜ同じ事実が二つの法律で別々に評価されるのか、店舗側と従業員本人にそれぞれ何が起きるのか、そして摘発の後に何ができるのかを、入管法の条文に沿って整理します。

風営法と入管法は、違う理由で同じ働き方を問題にする

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法は、営業の種別ごとに許可や届出を求め、営業時間や営業所の構造、接待の可否などを規律します。ここで問われるのは営業する側の行為です。これに対して入管法は、その場所で誰がどのような活動をしていたのかを問題にします。営業そのものが適法であっても、そこで働く外国人の在留資格との関係では別の評価がされます。

この二重性を理解しないまま、営業許可があるのだから雇用にも問題はない、と考えてしまう例が少なくありません。

資格外活動許可があっても、風俗営業等に係る業務では働けない

留学や家族滞在の在留資格を持つ人が働くには資格外活動許可が必要ですが、包括的に与えられる許可には二つの制限が付いています。1週について28時間以内という上限と、風俗営業等に係る業務では働けないという制限です。後者には時間の枠がありません。つまり、週に数時間であっても、営業所での業務であれば許可の範囲外になります。

実務でとくに誤解が多いのは、接客をせず皿洗いや清掃だけをしていた場合の扱いです。制限は職種ではなく、風俗営業等に係る業務であるかどうかによって判断されるため、営業所内での業務は範囲外と評価される可能性があります。

店舗側には、入管法上の刑事責任が生じ得る

範囲外の就労をさせた店舗は、入管法73条の2の不法就労助長罪に問われる可能性があります。法定刑は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科です。同条2項は、在留資格や活動内容を知らなかったことを理由に処罰を免れるには、知らないことについて過失がなかったことを行為者の側で示さなければならない構造を採っています。在留カードの表面だけを見て裏面の資格外活動許可欄を確認していなかった、という運用は、この場面で弱点になります。

経営者が外国籍の場合には、入管法24条3号の4により、不法就労助長行為をしたこと自体が退去強制事由となります。この号は行為があれば足り、刑事処罰を受けたことは要件ではありません。

従業員本人の在留資格は、より早く失われ得る

従業員の側では、影響はより直接的です。専ら在留資格外の活動を行っていると明らかに認められる場合は入管法24条4号イに該当し、同法73条の資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた場合は同法24条4号ヘに該当します。刑事事件にならなくても、入管法22条の4により、正当な理由がないのに3か月以上、当該在留資格に応じた活動を行わないで在留しているとして在留資格を取り消され得ます。

また、入管法23条は在留カードの携帯と提示を義務づけており、携帯義務違反は同法75条の3により20万円以下の罰金、提示義務違反は同法75条の2により1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金とされています。摘発の現場で在留カードを提示しなかったことが、別の事件として立件されることもあります。

摘発の後にできることは、時期によって変わる

摘発直後にまず必要なのは、刑事事件と入管手続を分けて考えることです。捜査段階で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理で用いられます。したがって、店舗での業務内容や勤務時間について、記憶に基づく正確な説明をしておくことが、後の入管手続の結論に直結します。

退去強制手続に進んだ場合でも、入管法50条の在留特別許可があります。同条2項は収容令書により収容されている者や監理措置決定を受けた者に申請権を認め、3項は退去強制令書の発付後は申請できないと定めています。考慮要素は5項に法定されており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間などが挙げられます。不許可の場合は10項により理由を付記した書面が交付されます。他方、早期の出国を選ぶ場合の入管法24条の3の出国命令は、不法残留以外の退去強制事由に該当しないことなどを要件としており、これによる出国であれば上陸拒否期間は同法5条1項9号の2により1年です。

この分野で多い三つの誤解

第一に、週28時間の枠内なら問題ないという誤解です。風俗営業等に係る業務については時間の問題ではありません。第二に、他店の名義で働いていたのだから自分の店は関係ないという理解です。実際に指揮命令をしていた側の責任が問われます。第三に、罰金で終われば在留に影響しないという誤解です。罰金でも在留期間の更新や在留資格変更の審査で素行として考慮されます。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接あたります。中国語は外国人事件の専属通訳が常駐しており、タイ語をはじめとするその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分を最優先の目標とします。刑事事件と入管手続は一体として設計し、供述調書が後の入管手続で用いられることを前提に、初期段階から供述を整理します。退去強制事由への該当性についても、故意や過失の有無を争う視点をもって検討します。店舗側と従業員本人とは利益が対立し得るため、受任は切り分けて行います。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

本記事のまとめ

同じ一つの店舗で、営業の適法性と働き方の適法性は別々に判断されます。営業許可を得ていることは、そこで働く外国人の在留資格の問題を解決しません。逆に、従業員の在留資格を確認していたことは、風営法上の問題を消しません。二つの軸を分けて点検することが、店舗と従業員の双方を守る出発点になります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタイ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099283/

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