舟渡国際法律事務所

接見交通権とは 弁護人以外の面会が制限される場面

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接見交通権とは 弁護人以外の面会が制限される場面

接見交通権とは 弁護人以外の面会が制限される場面

2026/09/03

留置施設の受付で、面会はできませんと告げられて引き返した。そんな経験をされたご家族からのご相談が続くことがあります。理由の説明はなく、いつになれば会えるのかも分からない。本人が無事でいるのかどうかすら確かめられない状態です。

面会という言葉はひとつですが、日本の制度の中には性質の異なる二つの面会があります。弁護人との接見と、家族や知人との一般面会です。両者は根拠も、制限のされ方も違います。この記事では、刑事訴訟法39条1項の接見交通権を軸に、なぜ家族の面会だけが止まることがあるのか、そのときに何ができるのかを説明します。

接見交通権は身体拘束下の被疑者に保障された権利である

刑事訴訟法39条1項は、身体の拘束を受けている被疑者または被告人が、立会人なしで弁護人と接見し、書類や物の授受をすることができると定めています。

ここで重要なのは、立会人なしという部分です。捜査官が同席せず、内容も記録されないことを前提に、何を話しても構わないという設計になっています。取調べで何を聞かれたのか、どのような調書が作られようとしているのか、話すべきか黙るべきか。こうした話は、この回路がなければ成立しません。

弁護人との接見と、家族の一般面会は別の制度である

家族や知人との面会は、施設の管理運営の枠組みの中で行われるもので、接見交通権とは根拠が異なります。

一般面会は、平日の限られた時間帯に、職員の立会いのもとで行われるのが通常です。人数や時間にも制限が置かれます。日本語以外の言語で話す場合、施設によっては通訳の手配や事前の届出を求められることがあります。手紙の差入れについても、外国語で書かれたものは翻訳の必要から時間がかかることがあります。

つまり、弁護人と会えるかどうかと、家族が会えるかどうかは、別々に判断される問題です。家族が会えないからといって、本人が誰とも連絡を取れないわけではありません。

接見指定という制度

捜査機関は、捜査のため必要があるときに、弁護人との接見の日時、場所、時間を指定することがあります。刑事訴訟法39条3項が定める接見指定です。

これは接見を禁止する仕組みではなく、日時などを調整する仕組みです。同項には、防御の準備をする権利を不当に制限してはならないという趣旨の制約が置かれています。実務上は、取調べの最中に弁護人が到着した場合などに問題となります。

家族の面会が止まる場面 接見等禁止の決定

家族との面会が完全に止まる典型は、裁判官が弁護人以外の者との面会や書類の授受を禁じる決定をした場合です。

共犯者がいる事件や、関係者への働きかけが懸念される事件で用いられることがあります。この決定があっても、弁護人との接見は制限されません。刑事訴訟法39条1項の権利は残ります。したがって、家族が本人の状況を知る唯一の経路が弁護人になる、という状況が生まれます。

なお、この決定に対しては、その一部を解除するよう求める活動が可能です。たとえば、事件と無関係な家族との面会だけを認めてもらうという方向です。

通訳と、手紙の言語という現実の壁

接見に通訳人が同席する場合、その手配と費用の問題が現実に生じます。

刑事訴訟法175条は国語に通じない者に通訳をさせることを、178条は外国語の書面の翻訳を定めています。裁判所法74条は裁判所では日本語を用いると定めています。日本司法支援センター(法テラス)が定める接見通訳料は、30分以内が8,380円、以降10分ごとに1,047円とされています。通訳を伴う接見が制度として想定されていることが、こうした基準からも分かります。

また、領事関係に関するウィーン条約36条は、領事機関への通報と領事官による接見を定めています。家族の面会が制限されている場面でも、本国の領事機関を通じた接触が検討できる場合があります。

接見が在留資格の帰趨に関わる理由

接見でやり取りされる情報は、刑事処分だけでなく、その後の在留資格の審査にも影響します。

取調べで作られた供述調書は、退去強制手続の違反審査や口頭審理でも資料として使われます。そこに書かれた事実が、出入国管理及び難民認定法24条の各号に当たるかどうかの判断材料になります。同条4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、但書により刑の全部の執行猶予が付された場合は除かれます。同条4号チは薬物関係の法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予でも該当します。

在留特別許可については同法50条5項が考慮要素を法定しており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間などが挙げられます。家族関係を裏づける事情を、身体拘束中にどう整理しておくかは、接見を通じてしかできない作業です。

よくある誤解を整理する

面会できないと言われたのだから、弁護人も会えないはずだ、という理解は誤りです。

接見等禁止の決定は、弁護人との接見には及びません。また、差入れができないから何も送れない、という理解も正しくありません。書類の授受は弁護人を通じて可能です。さらに、通訳がいないから接見は無意味だという理解も適切ではありません。通訳人の手配は弁護人が行う事項です。

当事務所の対応

当事務所では、弁護士松村大介が接見に直接赴き、本人の状況をご家族にお伝えします。取調べの内容と、これから作られる調書の見通しを毎回確認します。言語については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しています。その他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。

方針として、執行猶予判決を得ることをもって十分とは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見で得た情報をもとに、刑事事件と入管手続を一体のものとして設計し、退去強制事由への該当性についても故意や過失の有無を含めて争う視点を持ちます。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただけます。

おわりに

面会に行く前に、確認しておくとよいことがあります。接見等禁止の決定が出ているのか、出ているとしてその範囲はどこまでか、そして弁護人が選任されているか。この三点が分かるだけで、次にどこへ連絡すべきかが決まります。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099245/

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