舟渡国際法律事務所

検察審査会という制度 不起訴に納得できない被害者のために

お問い合わせはこちら

検察審査会という制度 不起訴に納得できない被害者のために

検察審査会という制度 不起訴に納得できない被害者のために

2026/09/03

被害に遭った側が、事件は不起訴になりましたという通知を受け取ることがあります。説明はなく、理由も書かれていない。なぜ加害者は裁かれないのか、自分の話は読まれたのか。そう感じたまま時間だけが過ぎていく、という相談を受けることがあります。

日本には、検察官の不起訴処分を市民が審査し直す制度があります。検察審査会です。この記事では、その仕組みと議決の意味、そして外国人が被害者になった場合に特有の問題、すなわち通訳、領事機関への連絡、そして申告する側自身の在留資格という論点を整理します。

検察審査会は市民が不起訴を審査し直す組織である

検察審査会は、有権者の中からくじで選ばれた委員によって構成され、検察官が行った不起訴処分の当否を審査する組織です。

審査するのは、裁判官でも検察官でもない一般の市民です。検察官が集めた記録を読み、必要に応じて申立人の話を聞き、その不起訴が妥当だったかを議論します。日本の刑事手続では、起訴するかどうかの判断権限は原則として検察官にありますが、その判断だけで終わらせない仕組みとして、この制度が置かれています。

誰が審査を申し立てられるのか

審査を申し立てられるのは、その事件について告訴や告発をした人、および犯罪により害を被った本人などです。

被害者本人が亡くなっている場合には、その配偶者や親族が申し立てられます。申立ては書面で行い、事件を担当した検察官が所属する地域の検察審査会に対して行います。日本国籍であることは要件ではありません。外国籍の被害者も、在留資格の種類にかかわらず申立てができます。

ここで実務上重要なのは、不起訴処分の理由を先に確認しておくことです。嫌疑なしなのか、嫌疑不十分なのか、起訴猶予なのかによって、審査で問題になる点がまったく違います。証拠の評価を争うのか、それとも処罰の必要性の評価を争うのかという違いだからです。

議決には三つの種類がある

検察審査会の議決には、起訴相当、不起訴不当、不起訴相当の三種類があります。

不起訴相当は、検察官の判断を是とするものです。不起訴不当は、判断に問題があるので再考すべきだというものです。起訴相当は、起訴すべきであるという踏み込んだ判断です。起訴相当または不起訴不当の議決があると、検察官は事件を再検討します。

さらに、起訴相当の議決を受けた後に検察官が再び不起訴とした場合、検察審査会が改めて審査し、そこで起訴すべきとの議決に至れば、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起します。検察官の判断だけでは事件が終わらない場面がある、というのがこの制度の要点です。

外国人が被害者になったときに生じる固有の困難

外国籍の被害者にとって最初の壁は、手続の言語です。裁判所法74条は裁判所では日本語を用いると定めており、書面も日本語で作成することが原則になります。

刑事訴訟法175条は国語に通じない者に通訳をさせることを、178条は外国語の書面の翻訳を定めています。もっとも、これらは主として法廷や捜査の場面を想定した規定であり、被害者側が自ら書面を作るときの負担は残ります。申立ての理由をどう書くかは、通訳の有無以前に、事実をどう法的に構成するかという問題でもあります。

また、領事関係に関するウィーン条約36条は、領事機関への通報と領事官による接見について定めています。被害の内容によっては、本国の領事機関に相談することが現実的な支えになる場合があります。

申告する側の在留資格はどうなるのか

被害を申告したこと自体が、あなたの在留資格を悪化させる事由になるわけではありません。ここを誤解して通報をためらう方が少なくありません。

ただし、申告の過程で別の事実が明らかになることはあります。たとえば在留期間を過ぎて在留していれば、入管法24条4号ロの不法残留に該当します。専ら在留資格外の活動を行っていると明らかに認められる場合は同条4号イが問題になります。これらは被害の有無とは別に判断される事由です。

他方で、そうした事実がある場合でも、取り得る手続は残っています。入管法50条の在留特別許可では、5項が考慮要素を法定しており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間などが挙げられます。被害に遭った経緯は、この経緯や理由の中で説明すべき事柄です。また同法24条の3の出国命令は、速やかに出国する意思をもって自ら出頭したことなどの要件を満たす場合の手続で、上陸拒否期間は同法5条1項9号の2により1年とされています。どの道を選ぶかは、事実関係を確認したうえで決めるべき問題です。

加害者側の処分は在留資格にどう跳ね返るか

加害者が有罪判決を受けた場合、その内容によって退去強制事由に該当することがあります。

入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、但書により刑の全部の執行猶予が付された場合は除かれます。同条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷など一定の重大犯罪で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者を対象としています。不起訴で終われば、これらの条文はそもそも働きません。被害者側にとって、処分の内容が持つ意味はここにも及びます。

よくある誤解を整理する

検察審査会に申し立てれば裁判が開かれる、という理解は正確ではありません。

審査の結果として不起訴相当の議決が出ることもあり、その場合は事件は終わります。また、審査会は損害賠償を命じる場所ではありません。金銭的な回復は民事の手続によることになります。さらに、外国籍だから申立てができないという理解も誤りです。日本国籍は要件ではありません。

当事務所の対応

当事務所では、弁護士松村大介が打合せに直接対応し、不起訴処分の理由の確認から、申立ての要否と組み立ての検討までを行います。言語については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しています。その他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。

被害者側のご相談であっても、ご本人の在留資格に不安がある場合には、刑事の手続と入管の手続を切り離さずに全体を設計します。被疑者・被告人の弁護においては、執行猶予判決を得ることをもって十分とは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただけます。

おわりに

不起訴という通知は、必ずしも議論の終点ではありません。理由を確かめ、必要であれば市民による審査を求める道が用意されています。同時に、申告する側の在留資格という論点も見落とせません。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099239/

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。