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検察官の取調べと警察の取調べの違い|送致後の流れと処分の決定権者

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検察官の取調べと警察の取調べの違い|送致後の流れと処分の決定権者

検察官の取調べと警察の取調べの違い|送致後の流れと処分の決定権者

2026/09/03

同じことを二度聞かれた、という感想を持つ方が多くいます。警察で詳しく話したはずのことを、しばらくしてから別の場所で、別の担当者にもう一度尋ねられるからです。

これは手続の無駄ではありません。警察と検察官は役割が違い、そして事件の処分を決めるのは検察官だからです。二度目の取調べは、処分を決める人が自分の目で確かめる場面にあたります。この違いを理解しているかどうかで、そこでの受け答えの重みも変わってきます。

警察と検察官の役割はどう違うのか

起訴するか不起訴にするかを決める権限を持つのは検察官であり、警察にはその権限がありません。警察は捜査を行い、証拠と供述を集めて事件を検察官に送ります。検察官は、送られてきた資料を前提に、自ら補充の捜査を行い、最終的な処分を決めます。

この構造からすると、外国人の刑事事件で最も重要な相手は検察官です。不起訴処分を目標に置く場合、働きかける先も、説明を届けるべき相手も検察官になります。

送致で何が変わるのか

送致とは、事件の担当が警察から検察官に移ることをいいます。逮捕された事件では、警察は限られた時間内に事件を検察官に送り、検察官は身柄の拘束を続けるかどうかを裁判官に請求するかを判断します。勾留が認められれば、その期間内に処分を決めることになります。

送致後の取調べでは、警察段階で作られた調書の内容が前提になります。したがって、警察段階で不正確な内容が調書に残っていると、それが検察官の判断の出発点になってしまいます。最初の調書が持つ意味は、想像以上に大きいのです。

取調べで共通して保障されていること

警察の取調べでも検察官の取調べでも、法律上保障されている事項は共通しています。

刑事訴訟法198条2項は、取調べに際して、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならないと定めています。198条4項は、供述調書を被疑者に読み聞かせ、増減変更の申立ての機会を与えることを求めています。訂正を求めたのに反映されていない、読み聞けが形だけだった、という場合には、後に調書の任意性や信用性を争う手がかりになります。

刑事訴訟法301条の2は、一定の事件について取調べの録音録画を定めています。記録が残っている場合、通訳を介したやり取りがどのように行われたかを、後から確認できることがあります。

通訳を介した取調べで起きやすいこと

捜査段階の取調べでは、通訳人を介したやり取りが調書という日本語の文書に固定されます。ここで生じやすいのが、話した内容と文章の間のずれです。日本語の調書は、本人が読めない言語で作られていることが多く、読み聞けの通訳がどこまで正確だったかを、本人が検証しにくい構造にあります。

自由権規約14条3項は、(a)で罪の性質と理由を理解する言語で速やかに告げられる権利を、(f)で無償で通訳の援助を受ける権利を保障しています。裁判段階については、裁判所法74条が裁判所では日本語を用いると定め、刑事訴訟法175条が通訳人を、178条が翻訳を定めています。また、通訳人が故意に虚偽の通訳をすれば刑法171条の虚偽通訳罪が成立します。

実務上大切なのは、違和感をその場で伝えることです。署名する前に、内容が違うと言うことができます。

検察官の処分に至る判断

検察官の処分は、起訴、不起訴に分かれ、不起訴の中には嫌疑が認められる場合でも起訴を見送る起訴猶予が含まれます。法務省の令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の起訴率は44.28パーセントで、全体の40.38パーセントより高くなっています。罪名別では、文書偽造が59.18パーセント(全体33.72パーセント)、窃盗が52.53パーセント(同44.84パーセント)などとなっています。分母は過失運転致死傷等及び道交違反を除く終局処理人員18,696人です。

なお、来日外国人という区分は、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除く定義です。それでも、外国人の事件のほうが起訴されやすい傾向があることは、不起訴を目標に据える理由になります。

供述調書は入管手続にも残る

捜査段階の供述調書は、刑事事件が終わった後も消えません。退去強制手続に進んだ場合、違反調査や違反審査、口頭審理で入管が参照する資料になります。

入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げ、但書により全部執行猶予が付された場合は除外されます。24条4号チは薬物に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を挙げ、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。他方、入管法24条3号の4は不法就労助長行為をした者を挙げており、行為があれば足り、刑事処罰は要件ではありません。入管法22条の4の在留資格取消しも刑事処罰とは別の制度です。つまり、刑事事件が不起訴で終わっても、調書に書かれた事実関係が入管の側で独立に評価されることがあります。

本人とご家族が取れる行動

  • 刑事訴訟法39条1項に基づき、立会人なくして弁護人と接見する
  • 勾留に納得できない場合、刑事訴訟法82条以下の勾留理由開示を請求する
  • 調書に署名する前に、内容の違いをその場で指摘する
  • 領事関係に関するウィーン条約36条により、本国の領事機関への通報と領事との面会を求める
  • 家族は、在留カード、雇用契約書、家族の在留資格、子の在学状況など、処分の判断と在留の主張の双方に関わる資料を集めておく

よくある誤解

第一に、警察に説明すれば処分が決まるという理解です。処分を決めるのは検察官であり、警察段階の説明はその材料になるにすぎません。

第二に、二度目だから同じことを言えばよいという理解です。検察官の取調べは、処分を決める人が直接確認する場面であり、そこでの説明の組み立て方には独自の意味があります。

第三に、不起訴になれば在留の問題も消えるという理解です。入管法24条3号の4や22条の4のように、刑事処罰を前提としない規定があります。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。外国人事件については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配する体制です。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分であるという前提に立ち、不起訴処分を最優先の目標に据えます。処分を決めるのは検察官である以上、送致後の期間にどのような資料と説明を届けるかが結果を左右します。捜査段階の供述調書は後の違反審査や口頭審理で入管が読む資料になるため、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

最後にひとこと

二度同じことを聞かれるのは、二度目に聞く人が結論を出す人だからです。そう考えれば、検察官の取調べは負担であると同時に、こちらの説明を処分の判断者に直接届けられる場面でもあります。何をどう伝えるかを準備できるかどうかが、その場の意味を変えます。本記事は一般的な解説ですので、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099233/

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