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判決の後、身柄はどこへ動くのか|刑の執行から送還までの道筋

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判決の後、身柄はどこへ動くのか|刑の執行から送還までの道筋

判決の後、身柄はどこへ動くのか|刑の執行から送還までの道筋

2026/09/03

判決が出た後、身柄はどこへ動くのか。この問いに一本の線で答えることはできません。実刑か執行猶予か、仮釈放が認められるか、退去強制事由に該当するか。分岐点がいくつも並んでいて、そのつど道が分かれるからです。

それでも、分岐の並び方そのものは決まっています。どこで何が判断されるのかを先に知っておけば、どの段階で何を用意すべきかが見えてきます。以下、判決の日から送還までの道筋を順に追います。

判決の日に決まること

最初の分岐は、実刑か全部執行猶予かです。全部執行猶予であれば勾留状は効力を失い、その日のうちに釈放されます。実刑であれば、保釈中であった方はその効力を失い、原則としてその場で身柄を拘束されます。

控訴するかどうかも、この時点から動き出します。控訴の申立てができるのは判決の言渡しの日の翌日から14日間で、控訴しても実刑判決による身柄拘束が自動的に解けるわけではありません。上訴権を放棄すればその日に刑が確定しますが、放棄は撤回できません。

刑の執行中に起きること

刑が確定すると、拘置所から刑の執行を行う刑事施設へ移送されます。移送先は本人や家族が選べるものではなく、刑期や必要な処遇の内容などを踏まえて決まります。外国人受刑者のうち、日本人と異なる処遇を必要とする者には、処遇指標としてF指標が付されます。

面会には人数、時間、回数の制限があり、原則として職員が立ち会います。外国語での面会や手紙が一律に禁止されるわけではありませんが、内容の確認のために翻訳が必要になることがあります。

仮釈放と満期釈放の分岐

次の分岐は、仮釈放か満期釈放かです。仮釈放は刑期の満了前に一定の条件のもとで社会に戻る制度で、判断するのは地方更生保護委員会です。判断では、出所後にどこで誰と暮らすのかという帰住先と身元引受人が重視されます。

外国人の方の場合、家族が本国にいる、日本の住居を失っている、雇用契約が終了しているといった事情が重なりやすく、この条件を満たすこと自体が難しくなります。結果として、満期まで施設にいることになりやすいのが実情です。

刑の執行後、入管へ引き継がれる

刑の執行が終わっても、その日に自由になるとは限りません。退去強制事由に該当する疑いがあれば、収容令書に基づいて入国警備官が身柄を収容します。捜査段階については、退去強制事由に該当すると思料される外国人の身柄を刑事手続と入管手続の間で引き継ぐ仕組みが、入管法65条に置かれています。

収容後は、入国警備官による違反調査、入国審査官による違反審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣への異議の申出という順で進みます。ここで参照されるのは、刑事事件で作られた供述調書や判決です。刑事訴訟法198条4項が調書の読み聞けと増減変更の申立ての機会を求めているのは、この段階を見越した意味も持ちます。

退去強制事由と在留特別許可

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を挙げますが、但書があり、全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除外されます。24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を挙げ、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。24条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者を対象とします。

該当する場合の受け皿が在留特別許可です。入管法50条2項は、収容令書により収容されている者と監理措置決定を受けた者に申請権を認め、3項は退去強制令書の発付後は申請できないと定めています。5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、在留することとなった経緯、在留期間その他の事情を考慮すると定め、10項は不許可の場合に理由を付記した書面を交付すべきことを定めています。

送還された場合には、入管法5条1項4号や9号による上陸拒否が問題となり、薬物については5条1項5号により期間の定めのない上陸拒否となります。なお、入管法24条の3の出国命令は、4号ハからヨまでのいずれにも該当しないことが要件のひとつであるため、薬物事犯の方は使えません。出国命令で出国した場合の上陸拒否期間は、5条1項9号の2により1年です。

統計から見える全体像

出入国在留管理庁の統計によれば、令和7年に退去強制手続又は出国命令手続を執った入管法違反事件は18,442人で、内訳は退去強制手続8,959人、出国命令手続9,483人でした。退去強制事由別では不法残留が17,031人で92.3パーセントを占め、刑罰法令違反は503人です。

刑事事件を理由とする退去強制は、件数としては全体の一部にすぎません。しかし、この類型は不法残留と異なり、出国命令が使えないことが多く、上陸拒否期間も重くなりがちです。数の少なさは、手続の軽さを意味しません。

各段階でご家族ができること

  • 判決前:実刑の可能性に備え、着替えや常用薬、貴重品の扱いを決めておく
  • 刑の執行中:帰住先となる住居と、身元引受人になり得る方の在留資格と連絡先を整える
  • 満期が近づいたら:収容先の確認方法と面会の手順を弁護人と共有しておく
  • 全期間を通じて:配偶者や子の在留資格、子の在学状況、扶養の実態を記録として残す
  • いつでも:領事関係に関するウィーン条約36条により、本国の領事機関への通報と領事との面会を求めることができる

よくある誤解

第一に、執行猶予が付けば在留は安全という理解です。薬物事犯では入管法24条4号チにより、執行猶予でも退去強制事由に該当します。

第二に、刑期を終えれば手続は終わるという理解です。満期の日が入管手続の起点になることがあります。

第三に、収容されたらもう争えないという誤解です。収容令書による収容の段階は、入管法50条2項により在留特別許可の申請権が認められている時期です。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。外国人事件については、中国語は専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配する体制です。ポルトガル語の事案もこの方針で対応しています。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分であるという前提に立ち、不起訴処分を最優先の目標に据えます。判決後の道筋は分岐が多いように見えて、実際には早い段階の判断が後の選択肢を決めているからです。捜査段階の供述調書は後の違反審査や口頭審理で入管が読む資料になるため、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

結びとして

判決の後に続く道筋は長く、途中で何度も判断が入ります。ただし、そのどれもが突然現れるわけではなく、条文の順序に沿って並んでいます。どの分岐が先に来るのかを知っておけば、そのつど慌てずに準備できます。本記事は一般的な解説ですので、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のポルトガル語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099231/

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