舟渡国際法律事務所

刑務所での生活|外国人受刑者の処遇と面会・手紙の実際

お問い合わせはこちら

刑務所での生活|外国人受刑者の処遇と面会・手紙の実際

刑務所での生活|外国人受刑者の処遇と面会・手紙の実際

2026/09/03

判決が確定すると、それまでの拘置所から刑事施設へ移されます。所在地も、面会の方法も、手紙の出し方も、そこで一度リセットされます。ご家族にとっては、ようやく裁判が終わったと思った矢先に、また分からないことが増える時期です。

タイ語を母語とする方のご家族から、面会はどこへ行けばよいのか、タイ語で話しても大丈夫なのか、手紙はタイ語で書いてよいのかというご質問をいただきます。服役中に入管の手続がどこまで進むのかも、知らないまま時間が過ぎてしまう部分です。

判決確定後、身柄はどこへ移るのか

刑が確定すると、被告人は受刑者となり、拘置所から刑の執行を行う刑事施設へ移送されます。移送先は本人や家族が選べるものではなく、刑期、性別、犯罪傾向の進度、必要な処遇の内容などを踏まえて決まるため、これまで通っていた拘置所から遠い地域になることもあります。移送の時期や移送先について事前に詳しい連絡が届くとは限りません。連絡が取れなくなったと感じたら、まず移送の可能性を考え、弁護人を通じて確認するのが確実です。

処遇指標とF指標

外国人受刑者のうち、日本人と異なる処遇を必要とする者には、処遇指標としてF指標が付されます。処遇指標は、受刑者の属性や処遇上の必要に応じて分類するための仕組みで、収容先の選定や処遇内容の設計に用いられます。

F指標が付されると、通訳や翻訳の体制が比較的整った施設に収容されることが多くなります。ただしこれは特別扱いではなく、言語や生活習慣の違いによって処遇が実質的に不利にならないようにするための分類です。日本語での日常生活に支障がないと判断されれば、F指標が付かないこともあります。

言語の壁と、施設内での通訳

刑事施設での言語対応は、法廷の通訳とは仕組みが異なります。刑事訴訟法175条による通訳人の選任は裁判手続のためのものであり、刑の執行段階には直接及びません。施設内では、職員による説明、通訳担当職員、外部の協力者などを通じて意思疎通が図られますが、常時通訳が付くわけではありません。

最高裁判所の広報資料『あなたも法廷通訳を ごぞんじですか』令和7年1月版によれば、令和5年に要通訳事件として終局した被告人3,851人のうち、タイ語は7.3パーセントを占め、ベトナム語、中国語に次ぐ規模です。裁判の段階で通訳が必要だった方は、施設内でも同じ困難を抱え続けることになります。

面会と手紙の実際

面会には人数、時間、回数に制限があり、原則として職員が立ち会います。事前に受刑者の氏名と生年月日、面会人の身分証明書が必要になるのが通例で、外国籍の方は在留カードや旅券を持参してください。

外国語での面会や手紙が一律に禁止されているわけではありませんが、内容の確認のために翻訳が必要になり、その分だけ時間や条件の調整が生じることがあります。手紙は通数や便箋の枚数に制限が設けられている場合があります。運用は施設ごとに異なるため、事前に収容先へ確認するのが確実です。

また、領事関係に関するウィーン条約36条により、本国の領事機関に自己の状況を通報するよう求め、領事の接見を受けることができます。ご家族が日本にいない場合、領事を通じた連絡が現実的な手段になります。

服役中に進む入管手続と在留資格

服役している間も、在留資格をめぐる状況は動きます。刑期が終わってから考えればよい、というものではありません。

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書があり、全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除外されます。実刑判決を受けて服役している方の多くは、この要件との関係を確認する必要があります。

薬物事犯は扱いが異なります。入管法24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を退去強制事由とし、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。また入管法24条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者を対象とします。

該当する場合の受け皿が在留特別許可です。入管法50条5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、在留することとなった経緯、在留期間その他の事情を考慮すると定めています。服役中の生活状況や、家族が日本で生活を維持してきた事実は、この考慮要素と無関係ではありません。

なお、退去強制された場合には入管法5条1項4号や9号による上陸拒否が問題となり、薬物については5条1項5号により期間の定めのない上陸拒否となります。

出所後を見据えて、今できること

ご家族が服役中にできることは、面会と手紙だけではありません。

  • 家族の在留資格、子の在学状況、住居、収入を維持し、その記録を残しておく
  • 雇用先が受入れの意思を持っている場合、その意思を書面で確認しておく
  • 本人が施設内で規律を守って生活している事実を、面会記録などの形で把握しておく
  • 刑法34条の2は、刑の執行を終えた者が一定の期間、罰金以上の刑に処せられなければ刑の言渡しが効力を失うと定めています。将来の在留や帰化の検討では、この規定の意味を確認しておく価値があります
  • 国籍法5条1項3号は帰化の要件として素行が善良であることを求めています。長期的な見通しを立てる際の前提になります

よくある誤解

第一に、刑期を終えればそのまま日本で生活を再開できるという理解です。実際には、刑の執行終了時点から入管の手続が始まることが多く、退去強制事由に該当していればその審査が待っています。

第二に、F指標が付けば処遇が特別に優遇されるという誤解です。F指標は言語や生活習慣の違いに対応するための分類であり、刑期や仮釈放の判断を有利にする仕組みではありません。

第三に、執行猶予が付けば在留は安全という理解です。薬物事犯では入管法24条4号チにより、執行猶予でも退去強制事由に該当します。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。外国人事件については、中国語は専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配する体制です。タイ語の事案もこの方針で対応しています。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分であるという前提に立ち、不起訴処分を最優先の目標に据えます。服役という段階に至る前に、その先の入管手続まで見据えて手を打つ必要があるためです。捜査段階の供述調書は後の違反審査や口頭審理で入管が読む資料になるため、刑事事件と入管手続を一体として設計します。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

最後に

刑務所での生活は、外から見えにくいぶん、不安が想像で膨らみやすい領域です。しかし、面会や手紙の条件は施設に確認すれば分かりますし、服役中に進む在留の問題も、条文に照らして見通しを立てられます。分からないまま時間が過ぎることが、いちばん不利に働きます。本記事は一般的な解説ですので、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタイ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099221/

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。