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判決の日に何が起きるのか|実刑と執行猶予で身柄はどう変わる

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判決の日に何が起きるのか|実刑と執行猶予で身柄はどう変わる

判決の日に何が起きるのか|実刑と執行猶予で身柄はどう変わる

2026/09/03

判決の日は、それまで数か月続いてきた手続の中で、もっとも短い期日です。裁判官が主文を読み上げるまでに要する時間は、長くても数十秒しかありません。しかし、その数十秒で、その日のうちに家に帰れるのか、それとも法廷から施設へ移されるのかが決まります。

傍聴席にいるご家族から、判決の日に何を持っていけばよいのか、荷物は誰が受け取るのか、その場で連れて行かれてしまうのか、という質問をよくいただきます。実刑と執行猶予で身柄の扱いは大きく分かれ、さらに控訴するかどうかで次の展開も変わります。

判決言渡しの日、法廷では何が行われるか

判決の日に法廷で行われるのは、主文の朗読と理由の要旨の告知だけで、新たに証拠を調べることはありません。裁判官はまず主文を読み上げ、続いて理由の骨子を説明します。要通訳事件では、この間も逐次通訳が行われます。日本語に通じない被告人には通訳人が付され、費用を負担する必要がないことは、刑事訴訟法175条と自由権規約14条3項(f)が根拠です。

主文を聞き逃さないための要点は単純です。拘禁刑の年数の後に、この刑の全部の執行を猶予するという言葉が続くかどうか。この一節の有無が、その日の身柄の行方を決めます。

執行猶予判決なら、その日のうちに身柄は解かれる

全部執行猶予の判決が言い渡されると、勾留状は効力を失い、被告人はその日のうちに釈放されます。勾留されていた方は、法廷からいったん施設に戻り、領置されていた所持品の返還を受けたうえで、数時間のうちに出てきます。ご家族は、手続が終わる時間を見込んで待つことになります。

もっとも、外国人の方の場合、釈放されたからといって手続が終わるとは限りません。退去強制事由に該当する疑いがあると判断されていれば、釈放と同時に入管の職員が待っていることがあります。この点は後述します。

実刑判決なら勾留と保釈はどうなるか

実刑判決が言い渡されると、保釈中であった方はその効力を失い、原則としてその場で身柄を拘束されます。保釈保証金は条件違反がなければ後日還付されますが、身柄はいったん収容されます。判決の日に着替えや常用薬をご家族に託しておく、携帯電話や貴重品の管理を決めておくといった準備が必要なのは、このためです。

もともと勾留されたまま判決を迎えた方は、そのまま勾留が続きます。判決の日は終着点ではなく、刑の執行と入管手続という次の段階の入口です。

控訴すると身柄はどうなるか

控訴しても、実刑判決による身柄拘束が自動的に解けるわけではありません。控訴の申立てができる期間は判決の言渡しの日の翌日から14日間と短く、この期間内に申立書を提出する必要があります。控訴すれば刑は確定しませんが、勾留は続くのが通常です。

控訴審でも保釈を請求することはできます。ただし、第一審で実刑判断が示された後の保釈は、第一審段階よりも慎重に判断される傾向があります。逃亡のおそれや住居の安定について、より具体的な疎明が求められると考えておくべきです。

ここで注意が必要なのが上訴権の放棄です。早く刑を確定させて刑務所に入り、早く出たいという理由で放棄を申し出る方がいますが、いったん放棄すると撤回できません。外国人の方の場合、確定した刑の重さがそのまま入管手続の結論を左右するため、放棄の判断は入管手続への影響まで見てから行う必要があります。

判決内容が在留資格にどう跳ね返るか

実刑か執行猶予かは、量刑の問題であると同時に、退去強制事由に該当するかどうかを分ける分水嶺です。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書があり、全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予の場合も、実刑部分が1年以下であれば除外されます。

ただし、これは薬物事犯には当てはまりません。入管法24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を退去強制事由としており、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。4号リの柱書が二からチまでに掲げる者のほかと定めている以上、薬物は4号リの守備範囲の外です。法務省の令和6年の犯罪白書によれば、全部執行猶予率は大麻事犯で84.2パーセント、覚醒剤事犯で36.0パーセントですが、この猶予は在留の安全を意味しません。

また、入管法24条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者を対象とします。該当した場合の受け皿は在留特別許可で、入管法50条5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、在留することとなった経緯、在留期間その他の事情を考慮すると定めています。

ご家族が判決の日までに準備できること

判決の日にできることは限られています。だからこそ、その前の準備が結果を左右します。

  • 実刑の可能性がある場合に備え、着替え、常用薬、眼鏡、現金の扱いを事前に決めておく
  • 在留カード、旅券、雇用契約書、家族の在留資格、子の在学状況など、後の入管手続で必要になる資料をまとめておく
  • 判決後に控訴するかどうかの判断枠組みを、弁護人と事前に共有しておく
  • 釈放後に入管の手続が始まる可能性がある場合は、その日の連絡体制を決めておく
  • 領事関係に関するウィーン条約36条により、本国の領事機関への通報と領事との面会を求めることができる

よくある誤解

執行猶予さえ取れれば在留は守られる、という理解が最も多い誤解です。前述のとおり、薬物事犯では執行猶予でも入管法24条4号チに該当します。刑事裁判の結論と入管手続の結論は、別々に出ます。

次に多いのが、控訴すれば身柄が解かれるという誤解です。控訴は刑の確定を止めますが、勾留を解く効果はありません。逆に、控訴審は第一審より長く時間がかかることも珍しくなく、身柄拘束が長期化する可能性も併せて考える必要があります。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。外国人事件については、中国語は専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配する体制です。ベトナム語の事案もこの方針で対応しています。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分であるという前提に立ち、不起訴処分を最優先の目標に据えます。判決の日に何が起きるかを逆算し、刑事事件と入管手続を一体として設計します。捜査段階の供述調書は、後の違反審査や口頭審理で入管が読む資料になるためです。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

まとめにかえて

判決の日そのものは短くても、その日に確定する事実は長く残ります。実刑か執行猶予か、控訴するかしないか、そして確定した刑がどの退去強制事由に触れるか。この三つは連動しており、判決を聞いてから考え始めたのでは、控訴期間の14日はあまりに短いのが実情です。本記事は一般的な解説にとどまりますので、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099217/

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