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略式手続で罰金になった|その場で同意してよいのか

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略式手続で罰金になった|その場で同意してよいのか

略式手続で罰金になった|その場で同意してよいのか

2026/09/03

取調べが終わったところで一枚の書面を差し出され、ここに署名すれば今日中に帰れます、と説明される。書かれているのは略式手続に異議がないという趣旨の内容です。日本語の読み書きが十分でない状態で、その場で判断を求められる。これが略式手続の入口で実際に起きていることです。

結論から述べると、その場での同意は、公開の法廷で争う機会を自ら手放す意思表示です。手放してよい場合もありますが、そうでない場合もあります。この記事では、略式手続の仕組み、同意の意味、後から正式裁判を求められる期間、そして罰金が在留資格にどう跳ね返るかを順に説明します。

略式手続とは何か

略式手続は、簡易裁判所が書面の審理だけで罰金または科料を科す手続です。刑訴法461条は、簡易裁判所が検察官の請求により、公判を開かずに一定額以下の罰金または科料を科すことができると定めています。法廷は開かれず、証人尋問も被告人質問も行われません。

手続が短く済むことは、被疑者にとって利点にも見えます。身体を拘束されている場合には、その日のうちに釈放されることが多いためです。一方で、有罪の記録は通常の裁判と同じように残ります。処理の速さと、記録の重さは別の話です。

その場で求められる同意の意味

略式手続は、被疑者に異議がないことを前提としています。したがって、署名を求められる書面は、内容を理解したうえで略式手続によることに異議がないという意思表示です。ここで同意すると、公開の法廷で事実を争う道は、原則としてその段階では選ばれなかったことになります。

問題は、同意の前提となる理解がどこまで確保されているかです。刑訴法198条2項は取調べの前に黙秘権を告げなければならないと定め、同条4項は供述調書の読み聞けと増減変更の申立てについて定めています。しかし、これらは調書についての規定であり、略式手続の内容を母語で十分に説明することまでを自動的に保障するものではありません。理解できないまま署名しないでください。理解できないと伝えることは、権利の行使です。

同意する前に確認すべきこと

その場で確認できることは限られていますが、次の点は最低限おさえてください。

  • どの罪名で、どのような事実を前提に処理されようとしているのか
  • 認めている事実と、書面に書かれた事実がずれていないか
  • 金額はいくらか。支払いの方法と期限はどうなるか
  • 同種の前科や前歴があるか。ある場合は在留への影響が変わる
  • 薬物に関する事件かどうか。この点だけは、後述のとおり扱いが根本的に異なる

身体を拘束されている場合には、刑訴法39条1項により立会人なしで弁護人と接見できます。署名を求められた段階で、まず弁護人と話したいと伝えることは可能です。

正式裁判を請求できる期間

略式命令を受けた後でも、公開の法廷での審理を求めることができます。刑訴法465条は、略式命令の告知を受けた者は、その告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができると定めています。この期間を過ぎると、略式命令は確定します。

14日は短く、しかも略式命令は書面で届きます。転居していたり、書面の内容を読めなかったりすると、気づかないうちに期間が経過します。在留資格への影響を後から知って請求しようとしても、その時点では期間が経過していることがあります。書面を受け取ったら、日付を確認してすぐに相談してください。

罰金が在留資格に跳ね返る仕組み

罰金それ自体は、退去強制事由である入管法24条4号リには当たりません。同号は無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としており、罰金はその水準に達しないからです。しかも同号には但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除外されます。

しかし、薬物犯罪だけはまったく別です。入管法24条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令に違反して有罪の判決を受けた者を退去強制事由とし、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。在留資格の別表を問いません。したがって、薬物事件で略式の罰金に同意することは、退去強制事由に該当する結果を受け入れることを意味し得ます。

さらに、入管法5条1項5号は薬物に関する上陸拒否事由を定めており、これには年限がありません。罰金でも足り、外国の法令に違反した場合も含まれます。再入国は入管法12条1項の上陸特別許可によるほかありません。加えて、入管法24条の3の出国命令は、4号ハからヨまでのいずれにも該当しないことを要件のひとつとしているため、薬物に該当する場合には出国命令を使うことができません。

なお、令和6年12月12日施行の法改正により、大麻取締法は大麻草の栽培の規制に関する法律へ改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬となりました。同法66条の2により使用罪が新設され、7年以下の拘禁刑とされています。単純所持の法定刑も引き上げられました。令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の起訴猶予率は大麻が35.5パーセント、覚醒剤が8.5パーセントです。

よくある誤解

  • 罰金なら前科にならない。罰金は前科です。
  • 署名しなければ帰れない。同意しない場合は通常の手続で処理されます。
  • 後からいつでも裁判にできる。正式裁判の請求は告知から14日以内です。
  • 金額が小さければ在留には影響しない。薬物事件では金額に関係なく入管法24条4号チに該当します。
  • 刑法34条の2で刑が消滅すればすべて解消する。同条は法律上の資格制限に関する規定です。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しています。その他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。

略式手続に同意するかどうかは、事案によって答えが変わります。私たちは執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分を最優先の目標として方針を組み立てます。罰金であっても、薬物事件では在留に直結するためです。刑事事件と入管手続は一体として設計します。取調べで作られた供述調書が、後の違反審査や口頭審理の資料になるためです。退去強制事由に当たるかどうかについても、故意や過失の有無を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

その日のうちに帰れるという説明は事実ですが、それは判断材料の一部にすぎません。署名の前に、何を手放すことになるのかを確かめる時間をとってください。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099211/

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