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任意同行を断ると不利になるのか|任意処分の意味と逮捕への移行

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任意同行を断ると不利になるのか|任意処分の意味と逮捕への移行

任意同行を断ると不利になるのか|任意処分の意味と逮捕への移行

2026/09/03

朝、自宅の前に私服の警察官が立っていて、署で話を聞かせてほしいと言われる。逮捕状は示されない。断ってよいのか、断ったら余計に疑われるのではないか。この判断を、通訳もいない玄関先で数分のうちに迫られるのが任意同行です。

この記事では、任意同行が法律上どういう位置づけなのか、断ることが実際に不利になるのか、そして同行に応じた後に逮捕へ移っていく典型的な流れを説明します。あわせて、取調べの場で実際に使える権利と、その結果が在留資格にどう跳ね返るのかまでを整理します。

任意同行は強制処分ではない

任意同行は、その名のとおり本人の同意を前提とする任意処分であり、応じる法律上の義務はありません。刑事手続は、令状を必要とする強制処分と、相手の承諾を前提とする任意処分に分かれています。逮捕は強制処分ですが、任意同行はそうではありません。

刑訴法198条1項の但書は、逮捕または勾留されていない被疑者について、出頭を拒むことができ、また出頭後いつでも退去することができると定めています。つまり、同行に応じないことも、応じた後に帰ることも、条文が明示的に認めている選択肢です。ここが出発点になります。

断ると不利になるのか

断ったという事実そのものが有罪の証拠になることはありませんが、捜査の進み方は変わります。事実として何が起きやすいかを率直に書きます。任意で話を聞けない場合、捜査機関は逮捕状の請求という次の手段を検討します。したがって、断ることは事件を消す行為ではなく、手続の形を変える行為です。

ここで重要なのは、断るか応じるかという二択で考えないことです。実際に取り得るのは、たとえば次のような対応です。

  • 今日は応じられません、日を改めて弁護人と一緒に伺いますと伝える
  • 弁護人に連絡する時間をくださいと求める
  • 通訳を用意してもらえるまでは話せませんと伝える

いずれも拒否の意思表示ではなく、条件を示す対応です。感情的な拒絶より、こうした整理のほうが結果として穏やかに進むことが多いといえます。

同行後に逮捕へ移る典型的な流れ

任意同行から逮捕に切り替わる場面には型があり、あらかじめ知っておく価値があります。よく見られるのは、同行して数時間の取調べを受け、供述調書が作成された後に、その日のうちに逮捕状が示されるという流れです。任意で来ているのだから帰れると考えていた方が、そのまま留置施設に入ることになります。

もうひとつの型は、同行中に自宅や勤務先の捜索が並行して行われ、その結果を踏まえて逮捕に至るというものです。任意同行に応じた時点で、捜査機関はすでに一定の資料を持っていることが多い、と理解しておいたほうが実態に近いといえます。

取調べの場で使える権利

権利は、知っていて使わないことはできますが、知らなければ使えません。条文とともに確認します。

  • 黙秘権。刑訴法198条2項により、取調べの前に告げなければならないとされています。
  • 供述調書の訂正。同条4項により、調書は読み聞けが行われ、増減変更を申し立てることができます。違う部分は署名前に指摘してください。
  • 弁護人との接見。刑訴法39条1項により、身体を拘束されている場合でも立会人なしで打合せができます。
  • 勾留理由の開示。刑訴法82条以下により、勾留されている理由を公開の法廷で明らかにするよう請求できます。
  • 取調べの録音録画。刑訴法301条の2は、一定の事件について取調べの録音録画を義務づけています。
  • 通訳と翻訳。刑訴法175条と178条が通訳と翻訳について定めています。自由権規約14条3項(a)(f)も、罪の告知を理解できる言語で受ける権利と、通訳を無償で付される権利を定めています。

最高裁判所『あなたも法廷通訳を ごぞんじですか』令和7年1月版によれば、令和5年の要通訳事件の終局被告人は3,851人で、そのうち中国語が16.1パーセントを占めています。通訳を伴う手続は例外ではありません。

刑事処分が在留資格に跳ね返る仕組み

任意同行の段階で作られた供述調書は、後に入管手続でそのまま資料として使われます。ここが、外国人の事件で任意同行を軽く扱えない最大の理由です。刑事の取調べで述べた内容は、退去強制手続の違反審査や口頭審理の場に持ち込まれます。

退去強制事由である入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除外されます。他方、薬物事件については入管法24条4号チが、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予でも該当します。同じ任意同行でも、罪名によって在留への意味がまったく異なります。

なお、身体拘束が長引いて勤務先や学校から離れると、入管法22条の4による在留資格の取消しが別途問題になります。退去強制手続に入った場合は、入管法50条の在留特別許可が検討対象になり、同条5項は在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間などを考慮要素として定めています。

よくある誤解

  • 任意なのだから帰りたいと言えばいつでも帰れる。条文上はそのとおりですが、帰ろうとした時点で逮捕に切り替わることがあります。
  • 断れば事件はなくなる。手続の形が変わるだけです。
  • 正直に全部話せば早く終わる。話した内容が入管手続でも使われるため、早さと結果は別問題です。
  • 弁護人は逮捕されてからで間に合う。任意の段階での方針決定が結論を左右します。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しています。その他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。

任意の段階でご相談いただけた場合、取調べにどう臨むかを事前に整理できます。執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分を最優先の目標として方針を組み立てます。刑事事件と入管手続は一体として設計します。退去強制事由に当たるかどうかについても、故意や過失の有無を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

玄関先での数分の判断が、その後の数か月を決めることがあります。応じるにせよ断るにせよ、条件を示して時間を作るという発想を持っておいてください。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099203/

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