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関税法違反で立件されたら 起訴率76.21%と通告処分・犯則事件の実務

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関税法違反で立件されたら 起訴率76.21%と通告処分・犯則事件の実務

関税法違反で立件されたら 起訴率76.21%と通告処分・犯則事件の実務

2026/09/02

空港の検査台で荷物を開けられ、別室で長い聴取を受けた。あるいは国際郵便で届いた荷物について、後日、税関から呼出しの連絡が来た。関税法違反のご相談は、この二つの入口のどちらかから始まります。

この分野が難しいのは、いきなり刑事手続に入るとは限らない点にあります。税関の犯則事件として調査が進み、通告処分で終わる道と、告発されて検察官の手に渡る道が分かれています。どちらに進むかで、その後の負担も在留への影響も変わります。

以下では、犯則事件と通告処分の関係、起訴率の数字の意味、食品の持込みで問題になる家畜伝染病予防法45条、そして押収された物の扱いと在留資格への影響を順に見ていきます。

関税法違反は空港と郵便物の両方で立件される

関税法違反は、輸入してはならない物品を持ち込んだ場合や、輸入の申告をせず、あるいは虚偽の申告をした場合に問題となります。手荷物での持込みだけでなく、国際郵便や国際宅配便で受け取った側が名宛人として調査対象になることもあります。自分は頼んでいない、中身を知らなかったという主張が可能かどうかは、注文の記録、送金、やり取りの履歴といった客観資料の有無に左右されます。

犯則事件と通告処分 刑事手続に進む前の分岐

関税法違反は、まず税関による犯則事件の調査として扱われるのが通例です。調査の結果、税関長が犯則者に対して罰金相当額等の納付を通告することがあり、これを通告処分といいます。通告された内容を履行すれば、その事件について公訴は提起されません。他方、通告処分に付されない事案や、通告を履行しない場合には告発され、検察官の捜査を経て起訴・不起訴が判断されます。したがって、税関の調査段階でどのような説明をし、どの資料を出すかが、そもそも刑事手続に進むかどうかを左右します。この段階を独力で乗り切ろうとして、後の刑事手続で不利な調書だけが残る、という展開は避けたいところです。

起訴率76.21%という数字が示すもの

令和7年版犯罪白書(令和6年のデータ)によれば、来日外国人被疑事件のうち関税法違反の起訴率は76.21%で、全体の66.92%を上回ります。来日外国人被疑事件全体の起訴率が44.28%(全体は40.38%)であることと比べると、関税法違反は起訴に至りやすい類型だといえます。なおここでいう来日外国人は、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた定義です。この数字は、告発された後に方針を考え始めるのでは遅い、ということを示しています。

食品や肉製品の持込みは別の法律の問題になる

肉製品や一部の食品を持ち込んだ場合には、家畜伝染病予防法45条が問題になります。同条の違反物品の輸入は3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象です。土産物として持参した加工肉が該当することもあり、悪意がなくても手続上は違反となる点に注意が必要です。関税法上の申告義務と、この種の個別法の輸入規制は別々に働きます。

在留資格への影響

関税法違反それ自体は、多くの場合、直ちに退去強制事由になるわけではありません。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書により全部の執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除外されます。もっとも、持ち込まれた物が薬物であった場合には、薬物に関する法令の違反として同号チの問題となり、罰金でも執行猶予でも該当し、在留資格の別表を問いません。さらに入管法5条1項5号は薬物に関する法令違反について年限を定めない上陸拒否を定めており、24条の3の出国命令も使えなくなります。持ち込んだ物が何であったかによって、帰結の重さは大きく変わります。

押収された物はどうなるか

輸入してはならない物品は没収の対象となり得ますが、事件と関係がなく留置の必要もなくなった物は、還付を求めることができます。パソコンやスマートフォンのように生活や仕事に不可欠な物については、捜査の必要との関係で返還の時期を交渉することになります。還付を求めるにも、その物が何であり、どの範囲で事件と無関係かを整理して説明する必要があります。

税関で聴取を受けたときにできること

  • 署名の前に内容を確認する。刑事手続に移行した場合、刑訴法198条4項により供述調書の読み聞けを受け、増減変更を申し立てられます
  • 通訳を求める。刑訴法175条・178条は通訳と翻訳を定め、自由権規約14条3項(a)(f)は罪の告知を理解できる言語で受ける権利と無償の通訳を保障します
  • 逮捕された場合は刑訴法39条1項により、立会人なしで弁護人と接見できます
  • 領事関係に関するウィーン条約36条により、本国領事館への通報と接見を求めることができます
  • 注文履歴、送金記録、依頼者とのやり取り、荷物の受領経緯を示す資料を保全する

よくある誤解を整理する

知らずに持ち込んだのだから罪にならない、という理解は、故意の有無が争点になるという意味では出発点として正しいものの、その主張を通すには裏づけが要ります。通告処分に応じれば前科にならないから何をしても同じ、という理解も適切ではなく、通告処分に付されるかどうか自体が調査結果次第です。また、税関の調査は行政手続だから弁護士は関係ないという理解も、そこで作られた記録が刑事手続と入管手続の双方に流れ込む以上、成り立ちません。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接あたります。外国人事件について、中国語は専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。関税法違反は起訴率の高い類型ですから、告発前の税関調査の段階から、認識の有無と関与の程度を裏づける資料を組み立て、不起訴処分を最優先の目標に置いて動きます。刑事事件と入管手続は一体として設計し、退去強制事由への該当性についても故意や過失を含めて検討します。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

関税法違反は、荷物という物証が最初から存在する事件です。だからこそ、争点は物ではなく、その物とご本人との結びつきをどう説明するかに移ります。早い段階で資料を揃えられるかどうかが、結論の分かれ目になります。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099187/

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