舟渡国際法律事務所

護身用のナイフで銃刀法違反 軽犯罪法との違いと在留資格への影響

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護身用のナイフで銃刀法違反 軽犯罪法との違いと在留資格への影響

護身用のナイフで銃刀法違反 軽犯罪法との違いと在留資格への影響

2026/09/02

夜道が不安だからと車のダッシュボードに折りたたみナイフを入れていた。仕事で使う工具を積んだまま週末に出かけ、検問で見つかった。銃刀法違反の相談で最も多いのは、悪意のない、しかし説明が難しいこうした場面です。

ご本人としては護身用だった、仕事用だった、という一言で済むはずだと感じておられます。ところが法律上は、その一言が正当な理由にあたるかどうかが争点そのものになります。そして外国籍の方の場合、刑事処分の中身が在留資格の審査に持ち込まれるため、話は刑事だけで終わりません。

この記事では、銃刀法違反と軽犯罪法違反の線引き、起訴率の数字が示すもの、そして入管法上どこまで影響が及ぶのかを整理します。

護身用という説明は正当な理由になりにくい

銃砲刀剣類所持等取締法は、業務その他正当な理由による場合を除き、一定の長さを超える刃物を携帯することを禁じています。ここでいう正当な理由とは、その物を持ち歩く必要が客観的に認められることを指しており、漠然とした不安に備えるという動機は、実務上その枠に収まりにくいのが実情です。購入直後に持ち帰る途中である、調理の仕事で現場に運んでいる、といった具体的で確認可能な事情があるかどうかが分かれ目になります。

銃刀法違反と軽犯罪法違反はどう違うか

両者は対象となる刃物と刑の重さが異なります。銃刀法は一定の長さを超える刃物の携帯を禁じ、より重い刑を定めています。これに対し軽犯罪法は、正当な理由がなく刃物などを隠して携帯する行為を、拘留又は科料という軽い刑で処罰します。したがって、刃体が短くて銃刀法の対象外であっても、隠して持ち歩いていれば軽犯罪法の問題になり得ます。刃物の種類と長さ、収納の状態、持ち歩いた経路と時間帯が、どちらの条文で処理されるかを左右します。

起訴率20.57%という数字をどう読むか

令和7年版犯罪白書(令和6年のデータ)によれば、来日外国人被疑事件のうち銃刀法違反の起訴率は20.57%で、全体の16.71%をやや上回ります。来日外国人被疑事件全体の起訴率は44.28%(全体は40.38%)ですから、銃刀法違反はその中では起訴されにくい類型です。ここでいう来日外国人は、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた定義です。ただし、8割が不起訴になるという読み方は正しくありません。同種前科の有無、刃物の性状、携帯の状況、供述の内容によって結論は分かれます。不起訴になりやすい類型だからこそ、初期段階での説明の組み立てが結果を左右します。

在留資格にどこまで跳ね返るか

結論として、銃刀法違反は退去強制事由に直結しにくい類型ですが、無関係でもありません。

  • 入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部の執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下であれば除外されます
  • 同号チは薬物に関する法令違反で有罪判決を受けた者を対象とするもので、銃刀法違反はここに含まれません
  • 24条の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷といった一定の重大犯罪で拘禁刑に処せられた別表第一の在留資格者を対象とするもので、銃刀法違反はその列挙に含まれていません

他方で、素行は在留特別許可の考慮要素として入管法50条5項に明示されており、国籍法5条1項3号は帰化の素行要件を定めています。罰金であっても前科は残り、刑法34条の2は刑の言渡しが効力を失うまでに一定期間を要することを定めています。将来の在留期間更新や帰化を視野に入れるなら、罰金だから軽いという整理は取らない方がよい、というのが実務感覚です。

職務質問の場面で気をつけること

職務質問と所持品検査は、多くの場合その場での説明が調書の骨格になります。あわせて、入管法23条は在留カード等の携帯と提示を義務づけており、携帯義務違反は75条の3により20万円以下の罰金、提示義務違反は75条の2により1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金とされています。刃物の件と在留カードの件が同時に問題になる場面は現実に起こります。

  • 刑訴法198条2項により黙秘権が告知されます。話すか話さないかを選べます
  • 同条4項により、供述調書は読み聞けを受け、増減変更を申し立てることができます。日本語の調書に署名する前に、通訳を通じて内容を確認してください
  • 刑訴法39条1項により、逮捕された場合は立会人なしで弁護人と接見できます
  • 購入時のレシート、業務で使用していることを示す資料、運搬の経路を示す記録は、正当な理由の主張に直結します

よくある誤解を整理する

護身用と言えば許されるという理解は、条文の建て付けと合いません。刃体が短ければ問題ないという理解も、軽犯罪法の適用が残る以上不正確です。罰金だから在留に影響しないという理解も、退去強制事由には当たらなくても素行の評価には残るという点で不十分です。そして、警察官に説明すれば分かってもらえるから弁護士は不要という判断は、その説明が調書として固定される場面では危険を伴います。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接あたります。外国人事件について、中国語は専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。銃刀法違反の事案では、携帯の目的と経緯を裏づける客観資料をどこまで集められるかが分かれ目になるため、執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分を最優先の目標に置いて動きます。刑事事件と入管手続は一体として設計します。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

刃物一本の事件は、軽く見られやすい一方で、外国籍の方にとっては前科と素行の記録が残る局面です。事情を丁寧に説明できる材料を早く揃えることが、刑事の結論にも将来の在留にも効いてきます。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099185/

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