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無銭飲食・無賃乗車で立件されたら|軽微でも在留に響く理由

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無銭飲食・無賃乗車で立件されたら|軽微でも在留に響く理由

無銭飲食・無賃乗車で立件されたら|軽微でも在留に響く理由

2026/09/02

被害額は数百円から数千円。金額だけを見れば、日常のささいな出来事に見えます。しかし無銭飲食や無賃乗車は、刑法上は詐欺罪として扱われることのある行為です。そして外国籍の方にとっては、金額の小ささと在留への影響の大きさが釣り合いません。

ご相談の場面で多いのは、警察署で事情を聴かれて帰されたが、その後どうなるのか分からないというものです。事件が終わったのか、これから起訴されるのか、次の在留期間の更新に影響するのか。この不透明さ自体が、生活に影を落とします。

この記事では、これらの行為がどの条文で問われるのか、軽い処理で終わるという期待がどこまで現実的か、そして在留の場面で何が問題になるのかを整理します。

無銭飲食は、詐欺罪の二つの型のどちらかで問われます

結論として、最初から支払う意思がなかったかどうかが分かれ目です。刑法246条1項は、人を欺いて財物を交付させた者を処罰します。注文の時点で支払う意思も能力もなかったのであれば、支払う客であると装って料理の提供を受けたことが、財物の交付を受けた行為として評価されます。

他方、食事を終えた後に支払いを免れようとした場合は、同条2項の問題になります。同項は、人を欺いて財産上不法の利益を得た者を処罰します。電話をかけてくると告げて店を出る、連れを呼んでくると偽って離席するといった経緯があれば、欺く行為によって支払いを免れたと評価され得ます。どの時点で何を考えていたかによって、適用される条文が変わります。

無賃乗車の扱い

無賃乗車も、態様によって評価が分かれます。改札で有効な乗車券を持っているかのように装って通過した、他人の定期券を提示したといった経緯があれば、欺く行為として詐欺罪の問題になります。他人名義の定期券を使用した場合は、名義人との関係も問題になります。

他方、単に運賃を支払わずに乗車したという事案では、鉄道事業者の規定に基づく増運賃の請求という民事的な処理で終わることもあります。実際にどう扱われるかは、駅係員に対してどのような説明をしたか、繰り返しがあるかによって変わります。

微罪処分に期待できるとは限りません

軽微な事件については、警察限りで処理される微罪処分という運用があります。これは刑事訴訟法246条ただし書に基づくもので、検察官があらかじめ指定した軽微な事件について、警察が事件を検察官に送致しない扱いです。

ただし、この扱いには前提があります。被害が軽微で回復されていること、本人が反省していること、身元がはっきりしていて再犯のおそれがないこと、前歴がないことといった事情が求められます。外国籍の方の事件では、住居や就労状況の確認に時間がかかること、身元引受人の確保が難しいことから、この扱いにならず送致されることがあります。軽い事件だから何もしなくてよい、という前提で待っていると、いつの間にか起訴猶予ではなく略式命令による罰金という結論になっていることがあります。

なお、令和7年版犯罪白書に掲載された令和6年の数値では、詐欺の起訴率は来日外国人の被疑事件で53.35%、全体で51.42%でした。同じ資料で来日外国人被疑事件全体の起訴率は44.28%ですから、詐欺という罪名は平均より高い水準にあります。金額の大小にかかわらず、罪名としては軽く扱われにくい類型です。

被害弁償と身元引受けが結論を動かします

この類型で最も現実的な対応は、被害の回復と、生活基盤の説明です。飲食代金や運賃という損害は金額が明確なため、弁償そのものは難しくありません。重要なのは、弁償に加えて、なぜそのような事態になったのか、今後どう防ぐのかを具体的に説明できるかどうかです。

勤務先や学校の関係者、同居のご家族による身元引受けの意思が示されれば、身柄拘束を避け、微罪処分や起訴猶予の判断につながる材料になります。逆に、住居が定まらない、連絡先が変わりやすいという状況は、不利な事情として評価されます。

在留に響く三つの場面

刑事処分そのものは軽くても、在留の場面では次の三つが問題になります。

  • 前科の有無。罰金であっても前科は残り、在留期間の更新や永住許可の素行の評価、国籍法5条1項3号の帰化の素行要件で考慮されます。刑法34条の2は刑の消滅を定めていますが、それまでの期間は記録が残ります。
  • 身体拘束による時間の空白。勾留されれば在留期間の更新申請ができず、満了日を過ぎれば入管法24条4号ロの不法残留の問題が生じます。
  • 活動の中断。入管法22条の4は、当該在留資格に応じた活動を3か月以上行わないで在留していることを在留資格の取消事由の一つとしています。留学生が退学になる、技能実習生が就労できなくなるといった事態は、刑事処分とは別に進行します。

なお、入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。この類型でこの基準に達することはまれです。問題になるのは、刑罰そのものよりも周辺で起きることです。

よくある誤解

  • その場でお金を払ったから事件にならない。事後の支払いは有利な事情ですが、成立した犯罪が消えるわけではありません。
  • 金額が小さいから起訴されない。詐欺は起訴率の高い罪名であり、金額だけで判断されるわけではありません。
  • 警察で説明して帰されたから終わった。書類送検されて後日連絡が来ることがあります。手続がどこまで進んでいるかの確認が必要です。
  • 罰金なら在留に影響しない。罰金も前科であり、更新や永住、帰化の素行の判断に用いられます。

今できること

  • 取調べでは刑事訴訟法198条2項により黙秘権が告知されます。供述調書は同法198条4項により読み聞かせを受け、事実と違えば増減変更を申し立てられます
  • 通訳を介する場合は同法175条・178条により通訳と翻訳が予定されています。署名の前に全文の読み上げを求めてください
  • 身柄拘束された場合、弁護人は同法39条1項により立会人なしで面会できます。領事関係に関するウィーン条約36条により、希望すれば本国領事館への通報と領事面会を求められます
  • 領収書、交通系ICカードの利用履歴、当日の行動が分かる記録を保全する
  • 在留期間の満了日と、次の更新申請の時期を確認する

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、クメール語を含むその他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。最高裁判所の資料(あなたも法廷通訳を ごぞんじですか、令和7年1月版)によれば、令和5年に通訳を要した事件の終局被告人3,851人のうち、カンボジア語は2.2%でした。話者数の少ない言語ほど、通訳人の確保に時間がかかります。

軽微に見える事件でも、当事務所は執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。被害弁償の時期、身元引受けの体制、再発防止の説明を早期に整えることが結論を動かします。あわせて、刑事事件と入管手続を一体として設計します。刑事の供述調書が違反審査や口頭審理の資料になるため、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点が必要になるからです。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

結びとして

数千円の事件が在留を左右するというのは、感覚に反する話かもしれません。しかし入管の手続は、被害額ではなく、前科の有無と生活の継続性を見ています。だからこそ、金額の小ささを理由に手続を放置しないことが、結果として最も確実な備えになります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のクメール語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099179/

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