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住居侵入・器物損壊で立件されたら|軽微に見えて在留に響く理由

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住居侵入・器物損壊で立件されたら|軽微に見えて在留に響く理由

住居侵入・器物損壊で立件されたら|軽微に見えて在留に響く理由

2026/09/02

軽微な事件ですから、と説明を受けたという相談は少なくありません。確かに、住居侵入や器物損壊は、刑事事件全体の中では重い部類には入りません。しかし外国籍の方にとって、事件の軽重と在留への影響は必ずしも比例しません。

その理由は三つあります。第一に、罰金であっても前科は残り、その後の在留期間の更新や永住許可の判断で素行として考慮されること。第二に、身体拘束が続けば在留期間の満了日を過ぎてしまうこと。第三に、勾留や事件を理由に就労や就学が止まれば、在留資格の取消しの問題が浮上することです。刑事処分そのものより、周辺で起きることの方が重い結果を招く場合があります。

この記事では、住居侵入罪と器物損壊罪の成立範囲、器物損壊が親告罪であることの意味、そして在留にどう響くのかを順に説明します。

住居侵入は、建物の中に入らなくても成立し得ます

住居侵入罪の中心は、管理者の意思に反する立入りです。刑法130条は、正当な理由がないのに人の住居、人の看守する邸宅、建造物、艦船に侵入した者を処罰します。ここでいう住居には、建物そのものだけでなく、塀や柵で囲まれた敷地も含まれると理解されています。したがって、建物の中に入っていなくても、マンションの共用部分や他人の敷地に立ち入った時点で問題になり得ます。

実際の事案では、酔って他人の住居に入り込んだ、元交際相手のアパートの共用廊下に立ち入った、といった経緯が多く見られます。争点になるのは、立入りが管理者の意思に反していたか、そして本人がそれを認識していたかです。深夜であったか、施錠された扉を開けたか、以前に立入りを断られていたかといった事情が評価の対象になります。

器物損壊は親告罪であり、告訴の取下げが決定的です

器物損壊の事件で最も重要な特徴は、告訴がなければ起訴できないという点です。刑法261条は他人の物を損壊し又は傷害した者を処罰しますが、同法264条により、この罪は告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪とされています。

そして刑事訴訟法237条1項は、告訴は公訴の提起があるまで取り消すことができると定めています。つまり、起訴される前に被害者が告訴を取り下げれば、検察官はその事件で起訴することができません。示談交渉が結果に直結する類型だといえます。

ただし、同じ行為が別の罪名で立件されている場合には注意が必要です。他人の敷地に立ち入って物を壊したのであれば、住居侵入罪が併せて成立している可能性があり、住居侵入罪は親告罪ではありません。告訴を取り下げてもらえば全部終わる、と考えるのは早計です。

起訴率の数字をどう読むか

統計上、住居侵入の起訴率は来日外国人の方が低くなっています。令和7年版犯罪白書に掲載された令和6年の数値では、住居侵入の起訴率は来日外国人の被疑事件で27.36%、全体では40.06%でした。ここでいう来日外国人は、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた定義です。

同じ資料で、来日外国人被疑事件全体の起訴率は44.28%、日本人を含む全体では40.38%ですから、住居侵入は平均より低い水準にあります。しかし、この数字は結果の平均であって、個々の事件の見通しではありません。被害者との関係が整理されているか、動機がどう説明されているか、再発のおそれをどう説明するかによって、同じ罪名でも結論は分かれます。

軽微に見える事件が在留に響く三つの経路

在留への影響は、次の三つの経路で生じます。

  • 刑罰そのものによる経路。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。住居侵入や器物損壊で、この基準に達する実刑が言い渡される事案は多くありません。
  • 前科による経路。罰金であっても前科は残り、在留期間の更新や永住許可の審査における素行の評価、国籍法5条1項3号の帰化の素行要件で考慮されます。刑法34条の2は刑の消滅について定めていますが、それまでの期間は記録が残ります。
  • 時間による経路。身体拘束中は在留期間の更新申請ができず、満了日を過ぎれば入管法24条4号ロの不法残留の問題が生じます。また同法22条の4は、当該在留資格に応じた活動を3か月以上行わないで在留していることを取消事由の一つとしています。

実務上、最も見落とされやすいのは三つ目です。刑事処分が罰金や不起訴で終わっても、その間に在留期間が満了していれば、別の手続が始まります。

告訴の取下げと示談は、どう進めるか

手順として重要なのは、被害者に直接接触しないことです。被疑者本人やご家族が連絡を取れば、証拠隠滅や被害者への働きかけを疑われ、勾留が続く理由にされます。弁護人が検察官を通じて連絡先の開示を受け、謝罪、損害の弁償、再発防止の約束を書面にまとめる流れを取ります。

器物損壊であれば、修理費や再購入費用の弁償額を具体的に算定できるため、比較的合意に至りやすい類型です。住居侵入が併せて問題になっている場合は、今後その場所に近づかないことの約束、住居や勤務先の変更といった具体的な条件が合意の内容になります。時期も重要で、起訴前に告訴の取消しまで至れば、器物損壊については起訴できなくなります。

よくある誤解

  • 被害額が小さいから事件にならない。器物損壊は金額の多寡で成否が決まる犯罪ではありません。
  • 謝れば済むから、自分で連絡する。直接の接触は身体拘束を長引かせる典型的な原因です。
  • 罰金なら在留に影響しない。罰金も前科であり、素行の評価に用いられます。
  • 不起訴になったから何も残らない。刑事処分は残りませんが、事件があったこと自体は入管の手続で説明を求められる場合があります。事実関係を整理した記録を手元に残しておくことが有益です。

ご家族と勤務先ができること

  • 在留カードと旅券を確保し、在留期間の満了日を確認する
  • 勤務先や学校に対して、欠勤や欠席の理由を説明できる体制を整える
  • 弁護人は刑事訴訟法39条1項により立会人なしで面会できます。ご家族の伝言もこの接見を通じて伝えられます
  • 領事関係に関するウィーン条約36条により、本人が希望すれば本国領事館への通報と領事面会を求められます
  • 転居や転職があった場合は、入管法19条の7以下の住居地の届出、19条の16・19条の17の14日以内の所属機関に関する届出を確認する

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、タイ語を含むその他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。

この類型では、示談と告訴の取消しをどの時点で成立させるかが結果を左右します。当事務所は執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。あわせて、刑事事件と入管手続を一体として設計します。刑事の供述調書が後の違反審査や口頭審理の資料になるため、退去強制事由の該当性についても故意や過失を争う視点を保つ必要があるためです。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

締めくくりに

住居侵入や器物損壊は、刑事事件としては小さくても、在留という物差しで測ると別の姿を見せます。処分の重さではなく、拘束されている期間と、その間に止まってしまう生活の方に目を向けてください。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタイ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099171/

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