舟渡国際法律事務所

ひき逃げ(救護義務違反)で逮捕されたら|自動車運転死傷処罰法と入管法24条4号の2

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ひき逃げ(救護義務違反)で逮捕されたら|自動車運転死傷処罰法と入管法24条4号の2

ひき逃げ(救護義務違反)で逮捕されたら|自動車運転死傷処罰法と入管法24条4号の2

2026/09/02

ぶつかった感覚がはっきりせず、そのまま走り続けてしまった。相手が立ち上がったので大丈夫だと思った。警察を呼ぶと在留資格に響くと聞いて怖くなった。ひき逃げの相談で語られる経緯は、多くの場合こうした短い時間の判断の積み重ねである。

しかし、事故現場を離れるという一つの選択は、事故そのものよりも重い評価を受けることがある。日本の道路交通法は、交通事故を起こした運転者に、負傷者を救護する義務と、警察官に報告する義務を課しており、これに違反する行為が一般にひき逃げと呼ばれている。

本稿では、救護義務違反がなぜ重く扱われるのか、事故そのものの罪とどう組み合わさるのか、そして刑事処分が在留資格にどう跳ね返るのかを整理する。

ひき逃げは、事故の罪とは別に評価される

ひき逃げの事案では、通常、二つの責任が並行して問題になる。一つは、事故を起こしたことによる責任であり、過失によって人を死傷させた場合の過失運転致死傷、あるいは、飲酒や著しい速度超過など一定の危険な運転による場合の危険運転致死傷が問題となる。もう一つは、負傷者を救護せず、警察官に報告しないまま現場を離れたことによる責任である。

後者は、事故の原因に過失がなかった場合であっても成立し得る点に特徴がある。相手にも落ち度があったという事情は、事故の責任の重さには関係するが、現場を離れてよい理由にはならない。

気づかなかったという説明はどこまで通るか

ひき逃げの成立には、人身事故が起きたことについての認識が必要である。したがって、接触に気づかなかったという説明は、法的に意味のある主張になり得る。

もっとも、その判断は客観的な事情から行われる。車両の損傷の位置と程度、衝撃音、速度、現場の明るさ、事故後の運転の仕方、防犯カメラやドライブレコーダーの記録などが総合される。事故直後に一度停止していた、あるいは徐行していたという事実があれば、認識があったと評価されやすい。逆に、直後に洗車や修理をした事情があれば、隠ぺいと見られることもある。争うのであれば、車両の状態と走行の記録を早期に保全することが不可欠である。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

この類型では、入管法24条4号の2が特に重要である。同号は、強盗、不同意性交等、自動車運転死傷処罰法2条・6条1項の危険運転致死傷、盗難特定金属製物品処分防止法22条等の重大犯罪について、別表第一の在留資格をもって在留する者が拘禁刑に処せられた場合を退去強制事由としている。留学、技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務などは、いずれも別表第一の在留資格である。

これに対し、入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とするが、但書により、刑の全部の執行猶予が付された場合は除外され、一部執行猶予でも実刑部分が1年以下であれば除外される。両者は要件の立て方が異なるため、どの条文で問題にされているのかを取り違えないことが重要である。

いずれの条文にも該当しない場合であっても、在留期間の更新や在留資格の変更の審査では素行が考慮される。勾留が長引いて職や学業を失えば、入管法22条の4による在留資格の取消し(在留資格に応じた活動を3か月以上行わないで在留していること等)が問題となり得る。退去強制事由に該当した場合には、入管法50条の在留特別許可を求めることになり、同条5項の考慮要素(在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他の事情)に沿った主張が必要となる。

被害者への対応が結論を左右する

ひき逃げの事案では、被害者への対応が処分に直結する。治療費や休業損害の負担、保険会社を通じた賠償の見通し、謝罪の受入れの有無、示談の成立は、いずれも起訴不起訴の判断や量刑に影響する。

外国籍の方の場合、保険の内容を把握しておらず、対応が遅れることがある。任意保険の有無、契約者と運転者の範囲、勤務先の車両であれば会社の保険の扱いを、早い段階で確認しておきたい。示談交渉は、身柄を拘束されている状態では本人が進めにくいため、弁護人を通じて行うことが通例である。

逮捕後にご本人・ご家族ができること

取調べでは、刑事訴訟法198条2項により供述を拒むことができる旨が告げられる。調書の内容が説明と異なるときは、同条4項に基づき増減変更を申し立てることができる。日本語での聴取に不安があるときは、刑事訴訟法175条・178条の通訳・翻訳の手続があり、自由権規約14条3項(a)及び(f)は、理解する言語で罪の性質を告げられる権利と通訳の無償の援助を保障している。弁護人との接見交通権は刑事訴訟法39条1項に定めがある。

ご家族としては、車両を修理したり処分したりせずに保全すること、ドライブレコーダーの記録を確保すること、勤務先や学校との関係を維持するための連絡を取ることが有益である。あわせて、入管法19条の16・19条の17の所属機関等に関する届出(14日以内)を怠らないようにしたい。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応する。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、その他の言語については事案に応じて通訳人を手配する。

方針としては、執行猶予判決では足りないと考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とする。ひき逃げの事案では、認識の有無、被害の程度、被害者への対応、事故後の行動の説明が結論を分ける。刑事事件と入管手続は一体として設計し、刑事段階の供述調書が後の違反審査や口頭審理の資料となり得ることを前提に対応する。退去強制事由の該当性についても、故意や過失の有無を争う視点を維持する。初回相談は無料であり、微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただける。

おわりに

現場を離れた数十秒をどう説明するかで、その後の何年かが決まってしまう類型である。だからこそ、記憶が新しいうちに、事実を正確に整理しておく意味がある。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談いただきたい。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099149/

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