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偽造在留カードを持っていた 使っていなくても罪になるのか

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偽造在留カードを持っていた 使っていなくても罪になるのか

偽造在留カードを持っていた 使っていなくても罪になるのか

2026/09/02

知人から在留カードを預かっていただけだ。ネットで作ってもらったが、使う前に警察に見つかった。もう働いていないのに、部屋に置いたままだった。偽造在留カードの事件では、こうした説明をよく伺います。

これらに共通しているのは、使っていないのだから大丈夫だという理解です。しかし、入管法は行使という段階を待たずに処罰の対象を定めています。この記事では、所持、提供、収受という行為の区別と、それぞれが在留にどう影響するのかを整理します。

入管法73条の6・73条の7 行使の前の段階で処罰の対象になる

偽造在留カードについては、行使していなくても、所持しているだけで犯罪となり得ます。出入国管理及び難民認定法(入管法)73条の6と73条の7は、偽造された在留カード等の所持、提供、収受について定めています。

行為の区別は次のとおりです。所持は、自分の管理下に置いている状態です。提供は、他人に渡す行為です。収受は、他人から受け取る行為です。いずれも、実際に相手方に示して使うという段階には至っていません。それでも規制の対象とされているのは、偽造カードが流通すること自体が在留管理の基礎を損なうと考えられているためです。

したがって、まだ使っていない、これから使うつもりもなかった、という説明は、量刑の場面では意味を持ち得ますが、犯罪の成否そのものを否定する主張としては通りにくいということになります。

検挙の実情 191人という数字

警察庁の統計によれば、令和7年の入管法違反の検挙人員は3,349人で、その内訳は、不法残留2,779人、偽造在留カード所持等191人、資格外活動等160人、旅券等不携帯・提示拒否70人でした。

偽造在留カードの事案は、不法残留と比べれば件数は少ないものの、独立した類型として一定の数が現に立件されています。また、実務上の特徴として、単独の事件で終わらないことが多い点が挙げられます。カードの入手経路をたどる捜査が行われ、提供した側、仲介した側へと広がっていくためです。

他の条文との関係 どこまで広がるか

偽造在留カードをめぐる事案は、しばしば他の条文にも触れます。

  • そのカードを使って就労した場合、在留資格の範囲外の活動であれば、入管法24条4号イが問題になり得る
  • 入管法73条の罪により拘禁刑に処せられた場合には、同法24条4号ヘが問題になる
  • 在留期間が過ぎていれば、24条4号ロの不法残留が併存する
  • そのような外国人を雇用した側については、入管法73条の2の不法就労助長罪と、同法24条3号の4が問題になる

入管法23条は在留カードの携帯義務と提示義務を定めており、携帯義務違反については75条の3が20万円以下の罰金を、提示義務違反については75条の2が1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金を定めています。偽造カードを提示するという行為は、これらとは別に、より重い評価を受ける場面です。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

在留への影響は、言い渡される刑の内容によって変わります。入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としています。ただし但書があり、全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予の場合も、実刑部分が1年以下であれば同様です。

他方、入管法24条4号ヘは、入管法73条の罪により拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としており、こちらは1年という基準を置いていません。適用される条文がどれなのかによって、在留への影響の出方が変わるということです。

また、退去強制事由に該当しない場合であっても、在留期間の更新や在留資格の変更の審査では素行が考慮されます。偽造文書に関わる事件は、その性質上、更新審査において説明を要する事案となります。退去強制手続に進んだ場合、在留特別許可については入管法50条5項が、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他の事情を考慮すると定めており、2024年6月に改定されたガイドラインが現行の指針です。同条2項は収容令書により収容されている者と監理措置決定を受けた者について申請権を定め、同条3項は退去強制令書の発付後は申請できないと定めています。

初期にできること 入手経路の説明が要になる

この類型では、どこから、いくらで、誰の紹介で入手したのかという点が、捜査の中心になります。ご本人が記憶をたどって正確に述べられるかどうかが、その後の展開を左右します。

  • 取調べでは、記憶にないことを認めない。刑事訴訟法198条2項は、自己の意思に反して供述をする必要がない旨の告知を定めている
  • 調書に署名する前に、事実と違う部分について増減変更を申し立てる。同条4項が定めている
  • 刑事訴訟法39条1項の接見交通権に基づき、早い段階で弁護人と打ち合わせる
  • 通訳の訳出に疑問があればその場で確認する。同法175条・178条が通訳と翻訳を定めている
  • 領事関係に関するウィーン条約36条は、本国の領事機関への通報と領事接見を定めている

入手経路について事実と異なる説明をすると、後から訂正することは極めて難しくなります。分からない部分は分からないと述べるのが、結果として最も安全です。

よくある誤解

第一に、使っていないから犯罪にならないという理解です。所持それ自体が対象とされています。第二に、預かっていただけだという説明で足りるという理解です。所持の認識があれば、預かりという説明が直ちに成否を左右するとは限りません。第三に、本物のカードを持っているから偽造カードの所持は問題にならないという理解です。両者は別の問題です。第四に、刑事が終われば入管も終わるという理解です。24条4号ヘのように、刑の言渡しを要件とする条文が別に置かれています。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針として、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分を最優先の目標に据えます。偽造在留カードの事案では、入手の経緯と認識の内容をどう説明するかが判断を大きく左右しますので、初期の供述の段階から慎重に組み立てます。刑事の供述調書は違反審査や口頭審理の資料になりますので、刑事事件と入管手続を一体として設計します。退去強制事由の該当性についても、故意や過失を含めて争うという視点で対応します。初回相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただけます。

おわりに

偽造カードの事件は、多くの場合、働き続けたいという素朴な動機から始まっています。動機に酌むべき点があることと、法的な評価は別ですが、その事情をどう伝えるかは弁護の重要な部分です。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099135/

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