舟渡国際法律事務所

執行猶予中に日本を出国できるのか 再入国許可と上陸拒否の関係

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執行猶予中に日本を出国できるのか 再入国許可と上陸拒否の関係

執行猶予中に日本を出国できるのか 再入国許可と上陸拒否の関係

2026/09/02

判決で執行猶予が付いた。ひとまず日本での生活は続けられる。そこで次に出てくるのが、母国の家族に会いに行けるのか、というご相談です。親が病気である、祖父母の葬儀があるといった切実な事情を伴うことも少なくありません。

この問題を考えるとき、出国できるかという問いと、戻ってこられるかという問いを分けて考える必要があります。実務で深刻な結果を生むのは、ほとんどの場合、後者です。出国そのものは滞りなく済んだのに、再入国の段階で上陸を認められない。この記事では、その分かれ目がどこにあるのかを説明します。

まず刑事手続の側の制約を確認する

判決が確定していない段階、たとえば控訴期間中や控訴審係属中で保釈されている場合には、保釈の条件として住居の制限が付されており、旅行についても裁判所の許可を要する扱いがされています。旅券が捜査機関に押収されたままであることもあります。また、入管法には、一定の場合に出国確認を留保する仕組みが設けられています。したがって、判決が確定したかどうか、旅券が手元にあるかどうかを、まず確認してください。この段階の判断を誤ると、空港で足止めされることになります。

再入国許可とみなし再入国許可

在留資格を持つ方が一時的に出国して戻る場合、再入国許可またはみなし再入国許可の仕組みを用います。みなし再入国許可は、有効な旅券と在留カードを所持する方が、出国後一定期間内に再入国する意思を出国時に表明することで、あらためて許可を受けずに再入国できる制度です。手続が簡便であるため広く利用されていますが、簡便であることと、再入国が保障されていることとは別です。ここが最大の落とし穴になります。

戻れるかどうかは上陸拒否事由で決まる

入管法5条1項は上陸拒否事由を定めています。同項4号は1年以上の拘禁刑に処せられた者を掲げます。同項5号は麻薬等の薬物関係の法令違反に基づく上陸拒否を定めており、この事由には年限がありません。罰金でも、外国の法令違反でも足ります。期間の経過によって解消されることがないという点で、他の事由と性質が異なります。いったんこの事由に該当すると、再び上陸するには同法12条1項の上陸特別許可によるほかありません。また同項9号は、過去に退去強制された者について、イが1年、ロが5年、ハが10年の上陸拒否期間を定め、同項9号の2は出国命令により出国した者について1年と定めています。出国前に、ご自身がこれらのいずれかに該当しないかを確認することが不可欠です。

執行猶予でも罪名によって結論が変わる

退去強制事由の側から見ると、入管法24条4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除外されます。この限りでは、執行猶予判決は在留の継続にとって有利に働きます。しかし同条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。つまり薬物事犯では、執行猶予が付いていても退去強制事由に該当します。同じ執行猶予判決であっても、罪名によって出国後の見通しはまったく異なります。令和6年12月12日施行の法改正により、大麻取締法は大麻草の栽培の規制に関する法律へ改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬とされています。

出国前に確認すべきこと

実務的には、次の順で確認します。第1に、判決が確定しているか、保釈の条件や旅券の押収が残っていないか。第2に、判決の罪名と刑の内容。1年を超える実刑か、執行猶予か、薬物事犯か。第3に、退去強制歴や出国命令による出国歴の有無。第4に、在留資格の残余期間と、再入国の予定時期との関係です。そのうえで、疑義があるときは出国前に確認を求めるべきであり、出国してから照会するのでは遅すぎます。出入国在留管理庁の令和7年の統計では、退去強制手続または出国命令手続を執った入管法違反者は18,442人で、国籍別ではベトナム6,599人(35.8%)に次いでタイが3,600人(19.5%)でした。

よくある誤解

第1に、執行猶予中でもみなし再入国許可があるから自由に往復できるという理解です。みなし再入国許可は出国時の手続を簡便にするものであって、上陸拒否事由の審査を免除するものではありません。第2に、猶予期間が満了すれば完全に元どおりだという理解です。上陸拒否事由の該当性は、猶予期間の満了とは別に判断されます。第3に、一度出国して戻れなかったとしても、家族が日本にいるのだから何とかなるという理解です。上陸特別許可は個別の判断であり、当然に認められるものではありません。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、タイ語その他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。方針としては、執行猶予判決を得れば足りるとは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。本記事で述べたとおり、薬物事犯では執行猶予でも退去強制事由に該当し、上陸拒否にも年限がありませんから、起訴前の段階での活動が将来の往来を左右します。刑事の供述調書は違反審査や口頭審理の資料になりますので、刑事弁護と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を含めて争う視点を持ちます。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

飛行機に乗る前の30分で確認できることが、その後の何年かを左右することがあります。ご家族の事情で出国を検討されている方は、日程を決める前にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタイ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099119/

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