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刑事裁判中に在留期限が来たら 入管法20条5項・21条4項の特例期間

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刑事裁判中に在留期限が来たら 入管法20条5項・21条4項の特例期間

刑事裁判中に在留期限が来たら 入管法20条5項・21条4項の特例期間

2026/09/02

逮捕から起訴、そして公判へ。手続が進むうちに、在留カードの期限が近づいてくる。ご家族から寄せられるご質問で最も多いのが、この場面です。裁判が終わるまで在留期限は待ってくれるのか、それとも期限が来た瞬間に不法残留になってしまうのか。

結論から述べます。刑事裁判が続いていることは、在留期間の満了を止める理由にはなりません。止める働きをするのは、期限内に申請をしていたという事実だけです。ここを取り違えると、無罪や不起訴を勝ち取っても、その時点で在留資格を失っているという事態が起こり得ます。

本記事では、入管法20条5項および21条4項が定める特例期間の考え方を中心に、勾留中に何ができるのか、判決後に入管手続がどう動くのかを整理します。

特例期間とは何か

特例期間とは、在留期間の満了前に変更または更新の申請をした場合に、従前の在留資格のまま在留を続けられる期間のことです。在留資格変更については入管法20条5項、在留期間更新については同法21条4項が定めています。申請に対する処分がされるまでの間、在留期間が満了しても直ちに不法残留とはならず、従前の在留資格で在留できる仕組みです。ただし期間には法定の上限がありますので、具体的な満了日は申請の受理時に必ず確認してください。重要なのは、この仕組みが働く前提が、在留期間の満了前に申請が受理されていることだという点です。

期限内に申請できなかったときに起きること

申請をしないまま在留期間が過ぎれば、特例期間は発生せず、入管法24条4号ロの不法残留に該当します。不法残留は同法70条1項5号の罪でもあり、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはその併科の対象です。刑事事件で身体を拘束されていたという事情は、後の手続で考慮を求める材料にはなりますが、不法残留という結果そのものを消してはくれません。だからこそ、刑事弁護に着手した最初の段階で、在留期間の満了日を確認する作業が必要になります。

勾留中に更新申請はできるのか

身体を拘束されている間の申請は、実務上の工夫を要する場面です。在留期間更新許可申請は原則として本人が地方出入国在留管理局に出頭して行うものとされていますが、一定の場合には申請の取次ぎが認められています。ご本人が出頭できない事情があるときは、まず弁護人を通じて、取次ぎが可能かどうか、どの資料が必要かを管轄の入管に確認することが出発点になります。あわせて、刑事弁護人には接見を通じて意思確認と書類の作成補助を行うという役割があります。刑訴法39条1項は、身体の拘束を受けている被疑者・被告人が弁護人と立会人なしに接見する権利を定めています。

刑事処分は在留資格にどう跳ね返るか

判決の内容によって、その後の入管手続はまったく違う道に入ります。入管法24条4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予の場合も、実刑部分が1年以下であれば除外されます。これに対して同条4号チは、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤等に関する法令違反で有罪の判決を受けた者を対象とし、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。さらに同条4号の2は、強盗、不同意性交等、危険運転致死傷等の重大犯罪で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者を対象とします。技術・人文知識・国際業務、留学、特定技能などは別表第一です。同じ執行猶予判決でも、罪名が薬物であるか否かで結論が正反対になります。

判決が出た後の入管手続

退去強制事由に該当する判断がされた場合、手続は違反調査、違反審査、口頭審理、異議の申出という順に進みます。在留特別許可については、入管法50条2項が、収容令書により収容されている者および監理措置決定を受けた者に申請権を認めています。他方、同条3項により、退去強制令書が発付された後は申請ができません。考慮要素は同条5項に法定されており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間などが挙げられます。不許可の場合は同条10項により理由を付記した書面が交付されます。運用の基準としては、2024年6月に改定された在留特別許可のガイドラインが現行です。出入国在留管理庁の令和7年の統計では、在留特別許可の申請は2,424件、許可は1,026件、不許可は1,233件でした。

よくある誤解

第1に、裁判中は在留期限が自動的に延びるという誤解です。延びません。第2に、判決が確定するまで入管は動かないという誤解です。刑事手続と入管手続は別個に進み、刑事事件で作成された供述調書は違反審査や口頭審理の資料として用いられます。第3に、保釈されれば普通に更新できるという誤解です。保釈中は住居の制限などが付されますから、入管への出頭を含む予定は、あらかじめ弁護人と調整する必要があります。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、その他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。方針としては、執行猶予判決で足りるとは考えず、不起訴処分の獲得を最優先の目標としています。刑事の取調べで作成された調書は入管手続でそのまま資料になりますから、初回の接見の段階から、在留期間の満了日、申請の有無、供述の方向性を一体として設計します。退去強制事由の該当性そのものについても、故意や過失を含めて争う視点を持ちます。最高裁判所の資料によれば、令和5年の要通訳事件の終局被告人は3,851人で、中国語は16.1%を占めています。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

期限の管理は地味な作業ですが、刑事と入管の両方を見通したときに、最初に効いてくるのはここです。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099105/

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