舟渡国際法律事務所

永住申請と素行善良要件 罰金や交通違反はどこまで響くのか

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永住申請と素行善良要件 罰金や交通違反はどこまで響くのか

永住申請と素行善良要件 罰金や交通違反はどこまで響くのか

2026/09/02

永住の準備をしている方が最も気にするのが、素行善良の要件です。数年前の罰金は消えているのか。駐車違反が何回かあるが数えられているのか。会社の同僚は同じような違反があっても許可されたと聞いた。情報が錯綜しやすい領域です。

素行の評価は、点数表のような機械的な仕組みではありません。だからこそ、何が見られているのかという骨格を理解しておくことに意味があります。骨格が分かれば、自分の状況をどう説明すべきかも見えてきます。

この記事では、素行善良要件の中身、罰金と交通違反の扱いの違い、不起訴の位置づけ、そして在留資格そのものとの関係を順に見ていきます。

素行善良要件は何を求めているのか

結論として、素行善良の要件は、法令を守り、社会の一員として非難されることのない生活を営んでいるかどうかを見るものです。

入管法22条2項は、永住許可の要件として、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることを定めています。法務省が公表している永住許可に関するガイドラインも、素行についてこうした趣旨の考え方を示しています。

重要なのは、この要件が一つの出来事だけを切り取って判断されるものではないという点です。違反の内容、時期、反復の有無、そしてその後の生活の状況が、全体として評価されます。

罰金はどう扱われるか

結論として、罰金は刑罰であり、確定すれば有罪判決ですから、素行の評価には現れます。

略式命令による罰金も同じです。金額の多寡が問題なのではなく、有罪判決という事実が残ることが問題です。ここは、多くの方が最初に誤解する点です。

他方で、罰金があるから永住は不可能という結論にもなりません。刑法34条の2は刑の消滅について定めており、一定の期間が経過すれば刑の言渡しはその効力を失います。ただし、効力が失われることと、審査でその出来事が一切考慮されなくなることは同じではありません。事件の後にどう生活してきたかを、就労、納税、社会保険の納付といった形で示せることが、実際には大きな意味を持ちます。

交通違反はどこまで響くか

結論として、交通違反で問題になるのは一回一回の重さよりも、反復の有無です。

交通反則通告制度による反則金は、納付すれば公訴が提起されない仕組みであり、刑罰そのものではありません。しかし、短い期間に違反が積み重なっている場合、法令を守る姿勢そのものが問われます。

これに対し、無免許運転、酒気帯び運転、著しい速度超過などは反則制度の対象外であり、略式命令による罰金となります。これは刑罰であり、性質がまったく異なります。同じ交通違反という言葉でくくらず、自分の違反がどちらだったかを確認することが出発点です。

不起訴・微罪処分・少年時の処分

結論として、これらはいずれも有罪判決ではありませんが、捜査を受けた事実の記録は残ります。

不起訴処分は、検察官が起訴しないと決めた処分であり、前科ではありません。微罪処分は警察限りで事件を処理する扱いで、これも有罪判決ではありません。少年時の保護処分は、刑罰ではなく保護のための処分です。

刑事弁護の段階で不起訴を目指すことが、数年後の永住申請に効いてくるのはここです。執行猶予は有罪判決ですが、不起訴は有罪判決ではありません。この差は、時間が経つほど価値が分かります。

刑事処分が在留資格そのものに跳ね返る場面

結論として、永住の可否を論じる前に、在留資格が維持されるかどうかが問題になる場合があります。

  • 入管法24条4号リ:無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。但書があり、刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。
  • 入管法24条4号チ:薬物犯罪で有罪判決を受けた者。罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。
  • 入管法22条の4:在留資格の取消し。虚偽申請による取得、3か月以上その在留資格に応じた活動を行っていないこと、届出義務違反などが事由です。

警察庁の令和7年の統計では、来日外国人の総検挙人員は12,777人で、ベトナム国籍が4,167人(32.6%)と最も多くなっています。ここでいう来日外国人は、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた定義であることに注意が必要です。永住を取得した後の統計は、この数字には含まれていません。

申請の前にできること

結論として、素行の評価は積み上げで行われるため、準備を始める時期が早いほど選択肢が増えます。

  1. 過去の処分を示す書面を集め、反則金だったのか罰金だったのかを区別する。納付書の様式が異なります。
  2. 就労、納税、社会保険の納付状況を整える。滞納がある場合は、追納した記録を残します。
  3. 新たな違反を作らない。反復は素行の評価で最も重く働きます。
  4. 届出を期限内に行う。入管法19条の16・19条の17の所属機関等に関する届出は14日以内、住居地の届出は同法19条の7以下に定めがあります。
  5. 申告に迷う事項は、提出前に相談する。隠したことが後に判明する方が、事実そのものより重く働きます。

よくある誤解

結論として、素行要件をめぐる誤解は、他人の事例をそのまま自分に当てはめることから生じます。

第一に、同僚が同じ違反で許可されたから自分も大丈夫という誤解です。素行は全体評価であり、他の要件との組合せで結論が変わります。第二に、罰金は前科ではないという誤解です。罰金は刑罰であり、確定すれば有罪判決です。第三に、駐車違反は数に入らないという誤解です。反復していれば評価の対象になります。第四に、時間が経てば自動的にすべて消えるという誤解です。刑の消滅には法律上の意味がありますが、審査はその後の経過も見ています。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見や打合せに直接対応します。通訳については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針として、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。永住を見据える方にとって、有罪判決が残るかどうかは数年後の申請を左右する問題だからです。刑事手続で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理で資料として用いられることがあるため、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

永住の審査は、申請書を出した日の状態だけを見ているのではなく、そこに至るまでの年月を見ています。逆に言えば、今日から積み上げられるものが確かにあるということでもあります。過去の一点を悔やむより、これからの記録をどう残すかを考える方が、審査には届きます。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099099/

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