舟渡国際法律事務所

帰化申請に前科はどう影響するのか 国籍法5条1項3号の素行要件と前歴の扱い

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帰化申請に前科はどう影響するのか 国籍法5条1項3号の素行要件と前歴の扱い

帰化申請に前科はどう影響するのか 国籍法5条1項3号の素行要件と前歴の扱い

2026/09/02

帰化を考え始めた方から、昔の事件は今も影響するのか、という質問をよく受けます。十年以上前の罰金、若いころの交通違反、結局起訴されなかった事件。どこまでが問題になり、どこからは過去のことになるのか。

この問いに一言で答えることはできませんが、判断の枠組み自体は決して曖昧ではありません。前科と前歴は法的に別のものですし、時間の経過には法律上の意味があります。それを知らないまま自己判断で申請したり、逆に諦めたりするのは惜しいことです。

この記事では、帰化の素行要件がどこに定められているのか、前科と前歴はどう違うのか、そして刑事処分が在留資格の側にどう跳ね返るのかを整理します。

帰化の素行要件は国籍法5条1項3号にある

結論として、帰化の許可の要件の一つとして、国籍法5条1項3号が素行が善良であることを定めています。

同項は、このほかに住所や生計に関する要件も定めており、素行はそのうちの一つです。したがって、素行の点だけで帰化の可否が決まるわけではありませんが、過去に刑事処分を受けた方にとっては、最も気になる要件であることは確かです。

素行要件は、単に前科の有無を数えるものではありません。違反の内容、時期、反復の有無、その後の生活の安定といった要素を通して、法令を守って生活する姿勢が評価されます。

前科と前歴はどう違うか

結論として、前科は有罪判決が確定したこと、前歴は捜査の対象となった経歴であり、両者は別のものです。

罰金は前科です。略式命令による罰金であっても、有罪判決が確定した以上、前科として扱われます。執行猶予付きの判決も前科です。これに対し、不起訴処分は有罪判決ではないため前科ではありません。微罪処分も同様です。ただし、いずれの場合も捜査を受けた事実の記録は残ります。

この区別は、刑事弁護の目標設定に直結します。執行猶予を得ることと不起訴を得ることは、その後の人生で残るものが違うのです。当事務所が不起訴を最優先の目標に置くのは、この差が数年後、十数年後まで続くからです。

時間の経過にはどんな意味があるか

結論として、刑法34条の2は刑の消滅について定めており、一定の期間が経過すれば刑の言渡しはその効力を失います。

もっとも、効力が失われることと、審査においてその出来事が一切考慮されなくなることは、同じではありません。素行の評価は、過去の一点だけでなく、そこからの経過を含めた全体を見るものだからです。事件の後にどのような生活を続けてきたかを、就労、納税、家族の状況といった形で示せることが重要になります。

交通違反・罰金・不起訴の扱い

結論として、種類ごとに性質が違うため、まとめて扱うことはできません。

  • 交通反則通告制度による反則金:反則金を納付すると公訴が提起されない仕組みであり、刑罰そのものではありません。ただし違反の反復は素行の評価に関係します。
  • 反則制度の対象外の違反:無免許運転、酒気帯び運転などは略式命令による罰金となり、これは刑罰であり前科です。
  • 不起訴処分:有罪ではなく前科でもありませんが、捜査を受けた事実は残ります。
  • 少年時の保護処分:刑罰ではなく保護のための処分であり、刑の言渡しとは性質が異なります。

申請の際には、これらを自己判断で選別せず、性質を整理したうえで正確に申告することが基本です。隠したことが後に判明する方が、事実そのものよりも重く働きます。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

結論として、帰化を考える前提として、そもそも在留資格が維持されていることが必要です。

  • 入管法24条4号リ:無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。但書があり、刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。
  • 入管法24条4号チ:薬物犯罪で有罪判決を受けた者。罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。
  • 入管法22条の4:在留資格の取消し。虚偽申請による取得、3か月以上その在留資格に応じた活動を行っていないこと、届出義務違反などが事由です。

薬物事件が特に重いのは、4号リの柱書が「ニからチまでに掲げる者のほか」と定めており、薬物が4号リの守備範囲の外に置かれて、4号チで罰金でも該当することになるからです。帰化の可否を論じる以前に、在留の基盤そのものが問われる場面です。

申請の前後にできること

結論として、素行要件は積み上げで評価されるため、準備は早いほど有利です。

  1. 過去の処分を示す書面を集め、性質を整理する。反則金の納付書と罰金の納付書は別のものです。
  2. 事件後の生活の安定を示す資料を残す。就労の継続、納税、社会保険の納付状況が中心になります。
  3. 交通違反を重ねない。反復は最も重く働く要素です。
  4. 在留に関する届出を期限内に行う。入管法19条の16・19条の17の所属機関等に関する届出は14日以内です。
  5. 判断に迷う事項がある場合、申請の前に相談する。提出後の訂正より、提出前の整理の方が容易です。

出入国在留管理庁の令和7年末の統計では、在留外国人数は412万5,395人で、そのうち中国籍の方は930,428人でした。帰化や永住を検討する層は年々厚くなっており、審査の実務も蓄積が進んでいます。

よくある誤解

結論として、帰化をめぐる誤解の多くは、永住許可の要件と同じだと考えることから生じます。

第一に、罰金は前科ではないという誤解です。罰金は刑罰であり、確定すれば前科です。第二に、不起訴なら記録は何も残らないという誤解です。前科ではありませんが、捜査を受けた事実は残ります。第三に、時間が経てば自動的に問題がなくなるという誤解です。刑の消滅には法律上の意味がありますが、素行の評価はその後の経過を含めて行われます。第四に、永住が許可されたのだから帰化も通るという誤解です。根拠となる法律が異なり、要件も別に定められています。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見や打合せに直接対応します。通訳については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、その他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針として、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。帰化や永住を見据える方にとって、前科が残るかどうかは十数年先まで影響する問題だからです。刑事手続で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理で資料として用いられることがあるため、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

過去の出来事は消せませんが、その後に何を積み重ねたかは自分で決められます。帰化の審査は、消えない過去と、選び取った現在の両方を見ています。だからこそ、事件のあった直後にどう動いたかが、遠い将来の申請にまで届きます。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の簡体字中国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099097/

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