舟渡国際法律事務所

刑事事件は在留期間更新と永住許可にどう響くか 素行善良・独立生計・国益適合

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刑事事件は在留期間更新と永住許可にどう響くか 素行善良・独立生計・国益適合

刑事事件は在留期間更新と永住許可にどう響くか 素行善良・独立生計・国益適合

2026/09/02

刑事事件が終わった後、多くの方が最初に気にするのは次の更新のことです。しかしその先には、永住許可という、より要求水準の高い審査が控えています。更新は通ったのに永住が通らない、という経験をされる方は少なくありません。

更新と永住では、見られている点が違います。更新は現在の在留状況が引き続き認められるかという判断であり、永住は在留期間の制限を外してよいかという、より踏み込んだ判断です。刑事処分の影響も、この二つで現れ方が異なります。

この記事では、永住許可の3要件それぞれに刑事処分がどう関係するのか、そして更新の段階から何を積み上げておくべきかを説明します。

更新と永住は別の審査である

結論として、更新が許可されたことは、永住が許可されることを意味しません。

入管法22条2項は、永住許可について、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることを要件としています。更新の審査ではこれらが同じ厳しさで問われるわけではありません。

実務上よく見られるのは、事件後に更新は許可されたものの在留期間が3年から1年に短縮され、その状態が続いた結果、永住の申請要件との関係で不利になるという経過です。更新の可否だけを見て安心しないことが大切です。

素行が善良であることは何を見ているか

結論として、素行の要件で見られるのは、法令違反の内容と、それが繰り返されているかどうかです。

罰金であっても有罪判決であり、素行の評価には現れます。他方、不起訴処分は有罪ではないため、扱いが異なります。刑事弁護の段階で不起訴を目指すことが、数年先の永住申請にまで効いてくるのはこのためです。

交通違反も無関係ではありません。一回の軽微な違反と、複数年にわたる繰り返しとでは意味が違います。刑法34条の2は刑の消滅について定めており、一定期間の経過により刑の言渡しの効力が失われますが、それまでの期間をどう過ごしたかは、なお説明の対象になります。

独立の生計を営むに足りる資産又は技能

結論として、この要件は、公的な負担に頼らずに安定した生活を営めるかどうかを見ています。

刑事事件は、この要件にも間接的に影響します。身体拘束によって職を失えば収入が途切れ、その後の就労が不安定になることがあるからです。逆に言えば、事件後に同じ職場に戻れた、あるいは新しい職に就いて継続できているという事実は、この要件との関係で意味を持ちます。

納税や社会保険料の納付の状況も、この要件と結びついて評価されます。事件の混乱の中で納付が滞ることがありますが、後から追納した記録を残しておくことには意味があります。

その者の永住が日本国の利益に合すること

結論として、この要件は、これまでの在留全体を通した評価です。

在留期間中に課された各種の義務を果たしてきたか、届出をきちんとしてきたかといった点が関係します。入管法19条の16・19条の17の所属機関等に関する届出は14日以内、住居地の届出は同法19条の7以下に定めがあります。これらの履歴は、長期にわたる在留の姿勢を示す資料になります。

刑事処分が退去強制事由に直結する場合

結論として、永住や更新の審査以前に、一定の処分は退去強制事由そのものに該当します。

条文内容
入管法24条4号リ無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。但書により、刑の全部の執行猶予が付された場合は除外
入管法24条4号チ薬物犯罪で有罪判決を受けた者。罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問わない
入管法24条4号の2強盗、不同意性交等、危険運転致死傷等で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者

永住者の在留資格は別表第二ですから、4号の2の対象にはなりません。しかし4号チは別表を問わないため、永住者であっても薬物犯罪で有罪判決を受ければ該当します。永住は在留の終着点ではありません。

警察庁の令和7年の統計では、永住者の総検挙人員は3,175人で、国籍別では中国1,015人、ブラジル469人、フィリピン412人、韓国367人となっています。

事件の後にできること

結論として、永住の申請は数年先でも、そのための材料づくりは事件直後から始まっています。

  1. 不起訴を目指す。有罪判決が残るかどうかが、その後のすべての審査の前提を変えます。
  2. 就労を途切れさせない。独立生計の要件は継続性で評価されます。
  3. 納税と社会保険を整える。滞納がある場合は追納の記録を残します。
  4. 届出を期限内に行い、控えを保管する。
  5. 同種の違反を繰り返さない。反復は素行の評価で最も重く働きます。

令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の来日外国人被疑事件の起訴率は44.28%で、全体の40.38%より高くなっています。分母は過失運転致死傷等及び道交違反を除く終局処理人員18,696人です。外国人の事件の方が起訴されやすい傾向がある以上、初期段階からの対応の意味は大きいと言えます。

よくある誤解

結論として、永住をめぐる誤解の多くは、時間が解決してくれるという期待から生じます。

第一に、罰金は前科ではないという誤解です。罰金は刑罰であり、確定すれば有罪判決です。第二に、更新が通ったから永住も通るという誤解です。要件の水準が違います。第三に、永住を取れば刑事事件の影響はなくなるという誤解です。24条4号チは永住者にも適用されます。第四に、執行猶予なら記録に残らないという誤解です。有罪判決である以上、素行の評価に現れます。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見や打合せに直接対応します。通訳については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、タガログ語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針として、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。刑事手続で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理で資料として用いられることがあるため、刑事事件と入管手続を一体として設計します。退去強制事由の該当性についても、故意や過失の有無を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

永住許可は、ある日の申請で決まるように見えて、実際には何年も前の一つひとつの選択の積み重ねの上に立っています。刑事事件はその積み重ねに大きな段差をつくりますが、段差の高さは、その直後の対応でかなり変わります。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタガログ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099095/

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