舟渡国際法律事務所

退職・転職・卒業の届出を忘れた 14日以内の義務と在留資格取消しの関係

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退職・転職・卒業の届出を忘れた 14日以内の義務と在留資格取消しの関係

退職・転職・卒業の届出を忘れた 14日以内の義務と在留資格取消しの関係

2026/09/02

会社を辞めた。転職した。学校を卒業した、あるいは退学した。生活が大きく動く時期は、手続のことを考える余裕が最も乏しい時期でもあります。気がつけば14日を過ぎていた、という状況は珍しくありません。

まず知っておいていただきたいのは、届出が遅れたこと自体で直ちに在留資格を失うわけではないということ、そして同時に、放置してよい問題でもないということです。この二つを混同すると、必要以上に怯えるか、逆に危険を見落とすかのどちらかになります。

この記事では、届出義務の内容、遅れてしまったときの考え方、そして取消制度との距離を具体的に見ていきます。

14日以内の届出義務は何を求めているか

結論として、入管法19条の16と19条の17は、所属機関等に関する届出を14日以内に行うことを義務づけています。

対象になるのは、勤務先を退職したとき、新しい勤務先で就労を始めたとき、勤務先の名称や所在地が変わったとき、学校を卒業・修了・退学したとき、新たに学校に入学したときなどです。技術・人文知識・国際業務のように所属機関を前提とする在留資格では、この届出が在留の実態を示す基本的な資料になります。

これとは別に、住居地の届出義務が入管法19条の7以下に定められています。引越しをしたときの届出はこちらです。転職と転居が同時に起きることは多く、片方だけ済ませて満足してしまう例がよくあります。

遅れてしまったときにまずすること

結論として、期限を過ぎたことが分かった時点で、できるだけ早く届け出るのが最善です。

遅れたまま届け出ないでいると、期間の経過とともに評価が悪化します。逆に、遅れたけれども自ら届け出たという経過は、後の審査で説明できる材料になります。届出の控えは必ず保管してください。

そのうえで、遅れの理由を整理しておくことが役に立ちます。入院していた、帰国していた、日本語で書かれた通知の意味が分からなかった、といった事情は、それ自体で義務を免れさせるものではありませんが、事情の説明としては意味を持ちます。

届出の懈怠は取消しにつながるか

結論として、届出義務違反は在留資格の取消事由に含まれますが、直ちに取り消されるという仕組みではありません。

入管法22条の4は在留資格の取消事由を定めており、住居地の届出義務に違反した場合や、虚偽の住居地を届け出た場合を含みます。届け出ないまま90日を経過した場合などが典型的に問題になります。

出入国在留管理庁の令和7年の統計では、在留資格の取消しは1,446件で、国籍別ではベトナムが947件と最も多く、在留資格別では技能実習973件、留学343件でした。この数字は、取消しが特定の在留資格に集中していること、そして生活の変化が多い時期に起きやすいことを示しています。

3か月ルールとの関係

結論として、届出をしたかどうかという問題と、活動の実態があるかどうかという問題は別です。

入管法22条の4は、3か月以上その在留資格に応じた活動を行わないで在留していること(正当な理由がある場合を除く)も取消事由としています。退職から次の就職までの空白が長引けば、届出を済ませていても、この要件に触れる可能性が出てきます。

逆に言えば、届出を出していない場合でも、実際には求職活動を続けており、生活の実態があるという事情は、正当な理由の有無の判断で意味を持ちます。求人への応募記録、面接の日程、支援機関とのやり取りなどを残しておいてください。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

結論として、届出の問題とは別に、刑事処分は退去強制事由に直結する場合があります。

  • 入管法24条4号リ:無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。ただし但書があり、刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。
  • 入管法24条4号チ:薬物犯罪で有罪判決を受けた者。罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。
  • 入管法24条4号ロ:在留期間を経過して在留する不法残留。
  • 入管法24条4号イ:専ら在留資格外の活動を行っていると明らかに認められる者。転職後に在留資格の範囲外の仕事に就いた場合、ここが問題になります。

とくに注意が必要なのは、退職後に収入が途絶え、在留資格の範囲外の仕事に就いてしまう場合です。届出を怠ったことよりも、そこから派生する資格外活動の方が重い結果を招きます。

よくある誤解

結論として、届出をめぐる誤解は、義務の重さを過大にも過小にも見積もることから生じます。

第一に、14日を過ぎたらもう届け出られないという誤解です。期限後でも届け出ることはでき、遅れて出した事実は自ら是正した経過として扱われます。第二に、会社が手続をしてくれるから自分は関係ないという誤解です。所属機関側の届出と本人の届出は別のものです。第三に、次の就職が決まってからまとめて届け出ればよいという誤解です。退職の届出と就職の届出はそれぞれ期限があります。第四に、届出をしていれば活動が途切れていても問題ないという誤解です。3か月ルールは活動の実態を見ています。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見や打合せに直接対応します。通訳については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

刑事事件を伴う場合、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。刑事手続で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理で資料として用いられることがあるため、刑事事件と入管手続を一体として設計します。届出の懈怠や資格外活動が問題となる事案では、故意や過失の有無、事実の経過を具体的に整理して主張します。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

届出は、守っている間は何も起こらないため、その重要さが見えにくい制度です。しかし何かが起きたとき、届出の履歴は、あなたが日本での生活を正面から営んできたことを示す数少ない客観的な記録になります。遅れに気づいた今日が、対応を始めるのに最も早い日です。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099093/

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