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家族滞在の配偶者が事件を起こしたら 扶養者の在留への影響と離婚が重なる場合

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家族滞在の配偶者が事件を起こしたら 扶養者の在留への影響と離婚が重なる場合

家族滞在の配偶者が事件を起こしたら 扶養者の在留への影響と離婚が重なる場合

2026/09/02

夜遅く警察から電話が入り、配偶者が逮捕されたと告げられる。家族滞在の方の事件では、この最初の一報の段階で二重の不安が生まれます。本人はどうなるのか。そして、自分たち家族の在留はどうなるのか。

家族滞在は、扶養者の在留を土台にして成り立つ在留資格です。そのため事件の影響は本人だけにとどまらず、家族の在留の構造そのものに触れることがあります。しかし、影響の及び方には順序と限界があり、そこを取り違えると必要のない決断をしてしまいます。

本記事では、家族滞在の配偶者が事件を起こしたときに何がどの順番で問題になるのか、扶養者側にどこまで跳ね返るのか、離婚や別居が重なる場合に何を考えるべきかを整理します。

家族滞在は扶養者の在留を基礎とする在留資格である

結論として、家族滞在の在留は、扶養を受ける関係が続いていることを前提に認められています。この前提が崩れたときには、事件とは別の経路で在留が不安定になります。

扶養を受ける関係とは、婚姻や親子の関係が存在し、実際にその関係に基づく生活が営まれていることを指します。書類上の関係だけが残っている場合、在留資格に応じた活動を行っていないという評価につながりえます。入管法22条の4は、3か月以上その在留資格に応じた活動を行わないで在留していること(正当な理由がある場合を除く)を取消事由としています。

事件を起こした本人の在留にまず何が起きるか

結論として、まず判断されるのは刑事処分の内容であり、退去強制の問題はその後に来ます。

刑事手続では、逮捕、勾留、起訴か不起訴かという判断が順に進みます。不起訴となれば有罪判決は残らず、入管法24条4号リの前提である「拘禁刑に処せられた者」にも当たりません。有罪となった場合は、刑の重さと罪名によって帰結が分かれます。

  • 無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者は入管法24条4号リの退去強制事由に当たります。ただし但書があり、刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。
  • 薬物犯罪で有罪判決を受けた者は入管法24条4号チに当たります。罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の別表を問いません。
  • 強盗、不同意性交等、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)等の一定の重大犯罪で拘禁刑に処せられた者のうち、別表第一の在留資格をもって在留する者は入管法24条4号の2に当たります。家族滞在は別表第一の在留資格です。

4号の2が別表第一に限って適用される点は、家族滞在の方にとって実際的な意味を持ちます。永住者等とは適用範囲が異なるため、同じ罪名でも帰結が違いうるのです。

扶養者の在留にはどこまで跳ね返るか

結論として、配偶者が事件を起こしたこと自体によって、扶養者の在留資格が自動的に取り消されるわけではありません。

在留資格は個人ごとに与えられるもので、家族の一員が刑事処分を受けたことがそのまま他方の退去強制事由になるという仕組みは入管法24条には置かれていません。配偶者が逮捕されたからといって扶養者側が直ちに在留を失うと考える必要はありません。

もっとも、間接的な影響は生じます。第一に、扶養者側の更新審査で、家族の状況について説明を求められることがあります。第二に、家族滞在の子がいる場合、扶養関係の実態が変われば、その子の在留の基礎にも影響が及びます。第三に、扶養者自身が事件に関与していたと疑われる場合は、当然ながら別個の問題になります。

離婚や別居が重なるとどうなるか

結論として、離婚は在留資格の基礎そのものを失わせる出来事であり、刑事事件とは別の時計で進みます。

家族滞在は扶養を受ける関係を前提とするため、離婚が成立すれば、その基礎が失われます。事件をきっかけに別居し、そのまま3か月以上が経過した場合、入管法22条の4の取消事由に触れる可能性が出てきます。ただし同号には正当な理由がある場合の除外があり、配偶者が身体を拘束されているために同居できないといった事情は、正当な理由の有無として検討される余地があります。

ここで大切なのは、感情的な決断を急がないことです。刑事事件の帰趨が見えない段階で離婚届を出すと、後に在留特別許可を求める局面で、家族関係という重要な考慮要素を自ら失うことになりかねません。入管法50条5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他の事情を考慮すると定めており、家族関係は法定の考慮要素です。

出入国在留管理庁の令和7年の統計では、在留特別許可の申請2,424件に対し、許可は1,026件、不許可は1,233件でした。許可される事案は現に存在します。

家族としてできること

結論として、最初の数日にできることは限られていますが、その限られた行動が後の選択肢を広げます。

  1. 弁護人を選任する。身体を拘束されている本人には弁護人との接見交通権が保障されており(刑訴法39条1項)、家族からの依頼でも弁護人を選任できます。
  2. 本人が何を聞かれ何に署名したかを把握する。供述調書は読み聞け又は閲覧の機会が与えられ、誤りがあれば増減変更を申し立てられます(同法198条4項)。
  3. 扶養関係を示す資料を保全する。同居の実態、家計、子の養育状況は、後の入管手続で意味を持ちます。
  4. 離婚や転居について、刑事事件の見通しを聞いたうえで判断する。順序を誤ると取り返しがつきません。
  5. 扶養者側の届出義務を確認する。所属機関等に関する届出(入管法19条の16・19条の17)は14日以内、住居地の届出(同法19条の7以下)も義務です。事件の混乱の中で失念しがちな点です。

よくある誤解

結論として、家族滞在をめぐる誤解の多くは、家族の在留を一つの塊として捉えることから生じています。

第一に、配偶者が逮捕されたら家族全員が退去強制されるという誤解です。在留資格は個人ごとに判断されます。第二に、離婚すればすぐ在留資格を失うという誤解です。基礎が失われるのは確かですが、取消しや退去強制には要件と段階があり、他の在留資格への変更を検討する余地もあります。第三に、執行猶予なら在留に影響しないという誤解です。4号リの但書により退去強制事由からは除かれますが、有罪判決である以上、更新や永住の審査における素行の評価には現れます。第四に、家族が身元引受人になれば釈放されるという誤解です。身元引受は重要な事情の一つですが、それだけで結論が決まるものではありません。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見や打合せに直接対応します。通訳については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しており、タガログ語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針として、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。家族滞在の事案では、刑事事件の帰趨と、扶養関係や届出という入管側の課題が同時に進行します。供述調書は違反審査や口頭審理の資料になりうるため、両者を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失を含めて争う視点を持ちます。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。

おわりに

家族の一人に起きた出来事が家族全体を巻き込むように感じられる時期は、判断を誤りやすい時期でもあります。何が連動し何が連動しないのかを分けて確認することが、結果として家族の在留を守ります。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のタガログ語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099087/

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