日本で罰金刑を受けた韓国人の方へ 次の入国と在留はどうなるか
2026/09/02
日本で罰金の納付書を受け取った後、次に日本へ来られるのか、いま持っている在留資格はどうなるのかというご質問を、韓国籍の方から多くいただきます。ビジネスでの往来、留学、家族の滞在と、日本との関わり方が多様であるだけに、心配の中身も一様ではありません。
整理の出発点は、入国の場面と在留の場面が別々の条文で規律されているという点です。上陸拒否は入管法5条1項、在留期間の更新は別の審査です。この二つを混ぜると見通しが立ちません。
この記事では、罰金という結末が、それぞれの場面でどう扱われるのかを条文に沿って確認していきます。
上陸拒否事由は年限で区切られている
入管法5条1項4号は、1年以上の拘禁刑に処せられた者を上陸拒否事由としています。政治犯罪による場合は除かれます。罰金はこの基準に達しないため、この号によって上陸を拒まれることはありません。
この号は在留資格の別表や罪名で区別しておらず、刑の重さで線を引いています。したがって、罰金にとどまった事案では、まずこの号を確認して落ち着くことができます。
薬物だけは年限のない別扱いになっている
入管法5条1項5号は薬物に関する事由を定めており、ここには期間の定めがありません。罰金であっても、日本の法令ではなく外国の法令の違反であっても足ります。他の号のように何年で解けるという構造になっていない点が決定的な違いです。
再入国の道は、入管法12条1項の上陸特別許可に限られます。また、退去強制手続の場面では、入管法24条4号チが、薬物に関する法令の違反により有罪の判決を受けた者を対象としており、罰金でも執行猶予でも該当します。薬物だけは別の世界だと考えておく必要があります。
退去強制歴があるかどうかで年数が変わる
入管法5条1項9号は、退去強制歴を理由とする上陸拒否期間を定めています。イが1年、ロが5年、ハが10年で、ハは過去に退去強制されたことがある者が再度退去強制された場合です。
これに対し、入管法5条1項9号の2は、出国命令により出国した者について1年と定めています。出国命令は入管法24条の3が定める制度で、速やかに出国する意思をもって自ら出頭したこと、不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと、過去に退去強制されたことも出国命令により出国したこともないこと、速やかに出国することが確実と見込まれることが要件です。さらに、4号ハからヨまでのいずれにも該当しないことが求められるため、薬物該当者はこの制度を利用できません。
入国できることと在留が続くことは別の話
上陸拒否事由に当たらないことは、在留期間の更新が認められることを意味しません。更新や在留資格の変更の審査では素行が独立の考慮要素とされており、罰金であっても事案の内容によっては消極的に評価されます。
加えて、身柄拘束や勤務先の変更によって活動が途切れた場合には、入管法22条の4により、3か月以上その在留資格に応じた活動を行っていないことを理由に在留資格が取り消される可能性があります。勤務先が変わったときは、入管法19条の16の届出を14日以内に行う義務も生じます。
統計から見た韓国籍の方の状況
出入国在留管理庁の令和7年末の統計によれば、在留韓国人は407,341人です。警察庁の令和7年の統計では、永住者の総検挙人員3,175人のうち韓国が367人、来日外国人の総検挙人員12,777人のうち韓国が357人とされています。来日外国人という区分は、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者、在日米軍関係者、在留資格不明者を除いた定義であることに注意が必要です。
日本との往来が長期にわたる方が多いだけに、一度の刑事処分がその後の生活設計に及ぶ範囲は広くなります。
罰金の後に確認しておきたいこと
第一に、罪名を正確に把握することです。同じ罰金でも、薬物に関する法令の違反であれば5条1項5号と24条4号チという別の枠組みに入ります。
第二に、退去強制手続を経ているかどうかを確認することです。退去強制歴の有無で、5条1項9号と9号の2のどちらが問題になるかが変わります。
第三に、刑法34条の2が刑の消滅について定めていることを踏まえ、自分の刑がどの段階にあるのかを確認することです。
よく見られる誤解
第一に、罰金は行政上の処理にすぎないという誤解です。罰金は刑罰であり、有罪の判断を前提とします。反則金の納付とは性質が異なります。
第二に、日本を一度出れば記録は残らないという誤解です。上陸の場面でも在留の場面でも、刑事処分の有無は確認されます。
第三に、上陸拒否期間が過ぎれば自動的に元に戻るという誤解です。5条1項5号のように期間の定めがない号もあります。
当事務所の対応
舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接あたります。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、韓国語を含むその他の言語は事案に応じて通訳人を手配します。
罰金で終わる見込みの事案であっても、上陸拒否事由と更新審査の双方を見据えて方針を立てます。有罪の記録そのものを残さないという観点から、不起訴処分の獲得を最優先の目標とし、刑事事件と入管手続を一体として設計します。初回相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 でもご連絡いただけます。
おわりに
入国の可否と在留の継続は、それぞれ別の条文が答えを持っています。どちらの問題なのかを切り分けるところから始めれば、必要な手当ても見えてきます。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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この記事の韓国語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099073/
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