舟渡国際法律事務所

家族が日本で勾留された ネパールから何ができるか

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家族が日本で勾留された ネパールから何ができるか

家族が日本で勾留された ネパールから何ができるか

2026/09/02

カトマンズと東京の時差は3時間15分です。この短い距離が、勾留の連絡が入った瞬間には、途方もなく遠く感じられます。電話はつながらず、施設の名前も正確には分からず、誰に何を頼めばよいのかも見当がつかない。

それでも、国外にいるご家族の側から動かせることは、想像よりも多くあります。この記事では、まず確認すべき情報、弁護人をどう選任するか、委任状と書類でつまずきやすい点、送金と差入れ、面会のための来日、そして領事保護の限界を、順に整理します。刑事処分が在留資格にどう跳ね返るかも併せて説明します。

まず確認すべき三つの情報

最初に押さえるべきは、どの警察署に留置されているか、逮捕された日はいつか、どのような容疑かの三点です。逮捕日は、その後のすべての期限計算の起点になります。警察は逮捕から48時間以内に事件を検察官に送致し、検察官は逮捕から72時間以内に勾留を請求するかどうかを決めます。勾留は原則10日、延長で最大10日です。

この三点は、日本国内にいる知人、勤務先、学校を通じて得られることが多いといえます。在留カードの写しや旅券の写しが手元にあれば、氏名の表記ゆれによる混乱を避けられます。

弁護人はどう選任するのか

経路は三つあります。第一に当番弁護士で、逮捕された方が一度、無料で弁護士を呼ぶことができます。第二に被疑者国選弁護で、勾留された段階から資力要件のもとで選任されます。第三に私選弁護で、ご家族が依頼する形です。

刑事訴訟法39条1項は、身体を拘束された被疑者・被告人が、弁護人または弁護人になろうとする者と立会人なしに接見し、書類や物の授受をすることを認めています。接見禁止が付されている事件では、ご家族は本人と会えませんが、弁護人の接見は別枠です。国外にいるご家族にとって、弁護人は本人の状況を知る唯一の確実な経路になります。

委任状と書類でつまずきやすい点

私選弁護人を付ける場合、選任の意思表示は本人が行うのが原則です。ご家族が費用を負担する場合でも、弁護人選任届には本人の署名が必要になります。実務上は、弁護士が接見に赴き、その場で署名を得る流れになります。したがって、国外から署名入りの委任状を送る手間は、多くの場合には生じません。

むしろ国外のご家族に求められるのは、事実関係を裏づける資料です。家族関係を示す書類、送金の記録、本人が日本で働くに至った経緯を示す資料などは、量刑の判断でも、後の入管手続でも意味を持ちます。日本語以外の書類は翻訳が必要になるため、早めに準備しておくと時間の節約になります。

送金と差入れ

差入れの現金は、施設内で購入できる物品の代金などに充てられます。ただし、施設ごとに受け付けられる物と数量が定められており、国外から直接届けることはできません。日本国内にいる知人や弁護人を経由するのが現実的な方法です。

差入れができる物の範囲は施設によって異なります。衣類、書籍、現金が中心で、食品や医薬品には制限があります。持病の薬がある場合は、薬の名称、処方した医療機関名、服用量を記した資料を弁護人に伝えることが、実際に役立ちます。

面会のために来日する場合

面会そのものを目的とした来日は、短期滞在の在留資格で行うことになります。ただし、接見禁止が付されている事件では、渡航しても本人と会えません。渡航前に、弁護人を通じて接見禁止の有無を確認することが不可欠です。

また、面会には施設ごとに定められた時間帯と人数の制限があります。通訳を伴わない面会では日本語でのやり取りを求められる場合もあり、事前の確認が必要です。渡航費と時間をかけた末に会えないという事態は、避けられるものです。

領事保護でできることと、できないこと

領事関係に関するウィーン条約36条は、拘禁された外国人の要請に基づく領事通報と領事接見を定めています。大使館や領事館は、旅券や身分に関する事項、本国の家族との連絡の中継などで助けになります。

他方で、領事官が弁護人の役割を担うわけではありません。取調べに立ち会うことも、身柄の解放を求めることも、その職務の範囲外です。制度の性質を正しく理解しておくことで、限られた時間の使い方が変わります。

刑事処分が在留資格に跳ね返る

出入国在留管理庁の令和7年末の統計によれば、在留外国人数は412万5,395人で、ネパールは300,992人でした。就労や留学で日本に生活基盤を築いている方が多いということでもあります。

入管法24条4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行猶予が付された場合は除外されます。一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除外されます。他方、同条4号チは薬物関係の法令違反で有罪の判決を受けた者を挙げ、罰金でも執行猶予でも該当し、在留資格の別を問いません。

また、身体拘束が長引くこと自体が在留資格に影響します。入管法22条の4は、正当な理由なく3か月以上その在留資格に応じた活動を行わないでいることを取消事由の一つとしています。

よくある誤解

お金を送れば早く釈放される、という理解は正確ではありません。保釈は起訴後にしか使えない制度であり、起訴前の勾留に保証金の仕組みはありません。

また、本国の弁護士に依頼すれば日本の手続を進められる、という誤解も見られます。日本の刑事手続で弁護人となるには日本の弁護士資格が必要です。本国の弁護士は、書類の準備や本国側の事情説明で協力できる立場にあります。

当事務所の対応

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。国外のご家族に対しては、接見で確認した内容を整理してお伝えし、必要な資料の種類と優先順位を具体的に示します。

通訳体制については、中国語は外国人事件専属の通訳が常駐しています。ネパール語を含むその他の言語は、事案に応じて通訳人を手配します。弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分を最優先の目標とします。刑事の供述調書が後の違反審査や口頭審理の資料になるため、刑事事件と入管手続は一体として設計します。初回相談は無料です。微信のIDは matsumura1119 です。

おわりに

遠くにいるという事実は変えられません。しかし、施設名の特定、資料の準備、弁護人との連絡という三つは、距離に関係なく進められます。動ける範囲を正確に把握することが、最も早い前進になります。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のネパール語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099051/

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