舟渡国際法律事務所

逮捕された本人は家族に電話できるのか 留置中の連絡手段

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逮捕された本人は家族に電話できるのか 留置中の連絡手段

逮捕された本人は家族に電話できるのか 留置中の連絡手段

2026/09/02

逮捕された人は、家に一本だけでも電話をかけられるのでしょうか。日本のドラマで見た記憶があるからと、この点を尋ねられることがよくあります。実際の運用は、多くの方が想像しているものとかなり違います。

この記事では、留置中の本人が外部へ連絡できるのかという疑問を出発点に、弁護人だけが逮捕当日から会える理由、接見禁止がついた場合に残る連絡手段、そして母国のご家族へ知らせるための現実的な経路を説明します。あわせて、刑事事件の結果が在留資格にどう及ぶのかにも触れます。

本人から家族への電話は、基本的にできない

逮捕された人が留置施設から家族に電話をかけることは、運用として原則的に認められていません。逮捕直後の段階では、関係者との連絡によって証拠が失われることを避けるという理由から、外部との連絡が強く制限されます。携帯電話は押収されていることが多く、連絡先を暗記していない方は、番号すら思い出せないまま日が過ぎることになります。

ご家族の側から見ると、ある日突然、本人と連絡が取れなくなるという形で事態が始まります。勤務先からの連絡で初めて事情を知る方も多く、どこにいるのかも分からないまま数日が過ぎることがあります。この空白を最初に埋められるのが弁護人です。

弁護人だけが逮捕当日から会える理由

弁護人は、逮捕された当日から、立会人なしで本人と面会し、書類や物の授受をすることができます。これは刑事訴訟法39条1項が定める接見交通権であり、防御の準備という目的のために特別に保障されているものです。家族の面会が制限されている段階でも、この権利は別枠で認められます。

まだ弁護人がいない場合には、留置施設の担当者に当番弁護士を呼びたいと伝えれば、弁護士会を通じて弁護士が派遣されます。最初の一回に費用の負担はありません。弁護人は、本人の希望を確認したうえで、ご家族に無事や所在、手続の段階を伝えることができます。事実上、これが最も早い連絡経路です。

家族の面会と接見禁止

勾留された後は家族も面会できるようになるのが原則ですが、接見禁止決定が付くとこれができなくなります。刑事訴訟法81条は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときに、刑事訴訟法39条1項に規定する者すなわち弁護人等以外の者との接見を禁じ、書類や物の授受を禁じることができると定めています。共犯者がいる事件や、否認している事件では、この決定が付くことが少なくありません。

接見禁止が付いた場合でも、弁護人との接見は制限されません。また、接見禁止の一部解除を求める申立てを行い、配偶者や親との面会だけでも認めてもらう道を探ることができます。決定は事案の進み方に応じて見直され得るものであり、最初に付いたからといって最後まで変わらないとは限りません。

手紙・差入れ・領事館という別の経路

接見禁止が付いていない事件では、手紙のやり取りや現金・衣類の差入れが可能です。ただし手紙は検査を受けるのが原則で、外国語の手紙は翻訳の関係で時間がかかることがあります。急ぎの用件を手紙で伝えようとすると、届く頃には状況が変わっていることも珍しくありません。

もうひとつの経路が領事館です。領事関係に関するウィーン条約36条は、拘束された外国人が要請すれば、その国の領事機関に遅滞なく通報され、領事官が面会し、連絡する権利を保障しています。ご本人が希望する場合には、この通報を求めることができます。令和7年末時点で在留ベトナム人は681,100人にのぼり(出入国在留管理庁)、領事機関に寄せられる相談も少なくありません。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

連絡が取れない期間に何が進んでいるかを知ることは、在留資格を守るうえでも重要です。刑事段階で作成された供述調書は、後の違反審査や口頭審理で事実関係の資料として使われ得るため、本人が孤立したまま調書が積み上がる状態は避けたいところです。

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除かれます。他方、同条4号チの薬物犯罪は罰金でも執行猶予でも該当し、同法5条1項5号の上陸拒否には年限の定めがありません。さらに、勾留が長期化して3か月以上その在留資格に応じた活動を行わない状態が続くと、22条の4による在留資格の取消しも視野に入ってきます。連絡が途絶えている間にも、在留の側の時計は進んでいます。

ご家族が取れる行動

まず、本人の氏名、生年月日、国籍、在留カードの番号と在留期限、逮捕された日時と場所の見当を書き出してください。次に、弁護士に連絡し、所在の確認と接見を依頼します。弁護人が付けば、面会禁止の有無、罪名、手続の段階、今後の見通しといった情報が、ご家族にも伝わるようになります。

そのうえで、身元引受けを引き受けられる方を確保し、在留カードの写し、雇用契約書、給与明細、家族関係を示す資料を集め始めてください。在留特別許可の考慮要素については入管法50条5項が、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に在留することとなった経緯、在留期間その他の事情を挙げており、これらの資料は刑事段階から準備するほど厚みが出ます。

よくある誤解

第一に、逮捕されれば必ず家に通知が来るという誤解です。事案によって扱いは異なり、通知を待っている間に貴重な時間が過ぎることがあります。第二に、接見禁止が付いたら誰も会えないという誤解です。弁護人の接見は制限されません。第三に、母国の家族には手続上どうにも連絡できないという誤解です。本人が希望すれば領事機関への通報を求めることができ、弁護人を通じた連絡も可能です。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見に直接出向き、本人の意向を確認したうえで、ご家族への連絡窓口となります。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、執行猶予判決では十分でないと考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。刑事の供述調書が入管手続の資料になる以上、刑事と入管を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意・過失の有無を含めて検討します。初回のご相談は無料です。微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただけます。

おわりに

連絡が取れないという状態は、法律上の空白ではなく、弁護人が入ることで埋められる空白です。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099029/

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