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ネパール語話者が日本で逮捕されたら 最初にすべきこと

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ネパール語話者が日本で逮捕されたら 最初にすべきこと

ネパール語話者が日本で逮捕されたら 最初にすべきこと

2026/09/02

ネパール語を母語とする方が日本で逮捕されたとき、ご本人もご家族も、今どこにいるのか、いつ出られるのか、在留資格はどうなるのか、というほぼ同じ三つの疑問に行き当たります。ところが逮捕の直後はそのいずれについても十分な説明がないまま時間だけが過ぎ、気づけば取調べが何度も行われている、ということが少なくありません。

この記事では、逮捕された時点から起訴または不起訴が決まるまでの日本の手続を、ネパール語話者の事件で実際に問題になりやすい点に絞って説明します。通訳は誰が付けるのか、弁護人にはいつ会えるのか、家族への連絡はどう届くのか、そして刑事処分が在留資格にどう跳ね返るのかまでを、根拠となる条文とともに整理します。

逮捕から起訴・不起訴までの時間の流れ

逮捕された人は、起訴されるか不起訴になるかが決まるまで、最長でおよそ23日間、身体の拘束が続く可能性があります。警察の段階が48時間以内、検察官に送られてから24時間以内に勾留を請求するかどうかが判断され、勾留が認められると原則10日間、延長でさらに最大10日間が加わります。この期間は、家に帰れないまま連日の取調べが行われる期間でもあります。

大切なのは、この23日間が単に待つ期間ではないという点です。不起訴処分を得るための働きかけ、被害者との示談の申入れ、身元引受体制の整備は、いずれもこの期間内に行わなければ意味を持ちません。

通訳は誰が、どの段階で付けるのか

取調べの通訳は捜査機関が手配するものであり、被疑者やご家族が自分で通訳を探して連れて行く必要はありません。日本の裁判所では日本語を用いると定められており(裁判所法74条)、日本語に通じない者には通訳人を付して手続を行うこととされています(刑事訴訟法175条、178条)。自由権規約14条3項(a)(f)も、罪の内容を理解できる言語で告げられる権利と、通訳を無償で付される権利を定めています。

最高裁判所の資料によれば、通訳人を必要とした事件の終局被告人は令和5年に3,851人にのぼります(最高裁判所『あなたも法廷通訳を ごぞんじですか』令和7年1月版)。もっとも、ネパール語の通訳人が近くにいない地域では手配に時間がかかることがあり、その待ち時間の扱いが後になって問題になる場面があります。

調書に署名する前に必ず確認すること

供述調書は、内容を読み聞かせてもらい、訂正を求めたうえで署名するものであって、意味が分からないまま署名してよい書面ではありません。取調べの前には黙秘権が告げられ(刑事訴訟法198条2項)、調書は読み聞け又は閲覧の機会が与えられ、被疑者は増減変更を申し立てることができます(同条4項)。一定の事件では取調べの録音録画も行われます(同法301条の2)。

訳し戻して読み聞かせてもらい、違うと感じた部分は遠慮なく訂正を求めてください。訂正を求めたという事実自体が、後の手続で意味を持ちます。

弁護人にはいつ会えるのか

弁護人は、逮捕された当日から、立会人なしで本人と面会することができます。これは刑事訴訟法39条1項が定める接見交通権によるもので、家族の面会が制限されている段階でも、弁護人の接見は別枠で認められます。

費用の負担なく最初の一回に来てもらう仕組みとして当番弁護士があり、留置施設の担当者に当番弁護士を呼びたいと伝えれば、弁護士会を通じて派遣されます。そのうえで継続的な弁護を私選で依頼するか、資力の要件を満たす場合に国選弁護人の選任を求めるかを判断することになります。外国人事件では、在留資格への影響まで見通せる弁護人を早い段階で選ぶことが結果を左右します。

家族・大使館への連絡はどう届くのか

逮捕された本人が留置施設から家族に電話をかけることは、原則として認められていません。日本ではネパールに残るご家族に自動的に通知が行く仕組みもないため、事情を伝える現実的な経路は弁護人を通じた連絡になります。

他方で、領事関係に関するウィーン条約36条は、拘束された外国人が求めれば自国の領事機関に通報され、領事官と面会・連絡する権利を保障しています。ご本人が希望する場合には、この通報を求めることができます。ご家族の側からは、氏名・生年月日・逮捕された時期と場所の見当を整理しておくと、所在の確認が進めやすくなります。

刑事処分が在留資格にどう跳ね返るか

刑事事件の結末は、そのまま在留資格の問題に直結します。出入国管理及び難民認定法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除かれます。一部猶予の場合も実刑部分が1年以下であれば除かれます。したがって、執行猶予判決であれば当然に退去強制になるという理解は正確ではありません。

これに対し、同条4号チは薬物犯罪について有罪の判決を受けた者を挙げており、罰金でも執行猶予でも該当します。同法5条1項5号の上陸拒否にも年限の定めがなく、いったん該当すると再入国は極めて難しくなります。別表第一の在留資格で在留する方が強盗や不同意性交等などの重大犯罪で拘禁刑に処せられた場合には、24条4号の2も問題になります。令和7年末の在留ネパール人は300,992人(出入国在留管理庁)であり、留学や技術・人文知識・国際業務の在留資格で生活する方が多いことからも、この点の見通しは早期に立てる必要があります。

よくある誤解

第一に、執行猶予がつけば在留は安泰だという誤解です。薬物事件では執行猶予でも24条4号チに該当します。第二に、通訳が付いているのだから調書の内容は正確なはずだという誤解です。訳し戻しを求めない限り、実際に何が書かれたかを本人が確認する機会はありません。第三に、家族が身元引受書を出せばすぐ釈放されるという誤解です。身元引受けは重要な資料ですが、それだけで身体拘束が解かれるものではなく、事案の内容や証拠の状況と併せて判断されます。

当事務所の対応

当事務所では、松村大介弁護士が接見と打合せに直接対応します。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ネパール語を含むその他の言語については、事案に応じて通訳人を手配します。

弁護方針としては、執行猶予判決ではなお不十分と考え、不起訴処分の獲得を最優先の目標に置きます。刑事事件で作成された供述調書は、その後の違反審査や口頭審理の資料として用いられるため、刑事手続と入管手続を最初から一体のものとして設計します。退去強制事由の該当性についても、故意や過失の有無を争う余地がないかを検討します。初回のご相談は無料で、微信(WeChat)ID matsumura1119 からもご連絡いただけます。

おわりに

逮捕直後の数日間に何をしたかが、刑事処分の結果にも在留資格の帰趨にも影響します。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事のネパール語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099021/

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