接見禁止がついた 家族が会えないとき弁護人にできること
2026/09/02
面会に行ったのに、受付で会えないと言われた。手紙を出しても届いた様子がない。こうした事態の多くは、接見等禁止という裁判所の決定によるものです。
この決定は、事件の重さを示すものではなく、証拠関係に対する見立てから出されます。したがって、見立ての前提が変われば、決定の範囲も変わり得ます。本稿では、その仕組みと、弁護人が取れる具体的な手段を説明します。
接見等禁止は罪証隠滅の防止を理由とする
接見等禁止は、勾留されている人について、弁護人以外の者との面会や、手紙などのやり取りを禁止する決定です。理由とされるのは、共犯者や関係者との連絡によって証拠が失われることへの懸念です。
共犯が想定される事件、関係者が国内外に多数いる事件、否認している事件などで付されやすい傾向があります。ただし、この決定は捜査の必要性を前提とするものですから、証拠の収集が進めば必要性は薄れていきます。決定が出たまま二十日間が過ぎるのを待つのではなく、時期を捉えて働きかけることが重要です。
弁護人の接見だけは制限されない
接見等禁止が付いていても、弁護人の接見は別枠です。刑事訴訟法39条1項は、弁護人または弁護人となろうとする者が、立会人なしに接見し、書類や物の授受をすることができると定めています。
したがって、家族が会えない期間であっても、弁護人を通じて本人の健康状態や意向を確認し、家族の言葉を伝えることは可能です。実務上、この経路が唯一の連絡手段になる期間が生じます。伝えたい内容は、事件の中身に触れない範囲で整理しておくと、通訳を介する場合にも正確に伝わります。
一部解除と準抗告という二つの手段
弁護人が取れる手段は主に二つです。第一に、接見等禁止の一部解除の申立てです。配偶者や親など、事件との関わりがない特定の家族に限って面会や手紙を認めるよう求めるもので、範囲を限定するほど認められやすくなります。
第二に、決定に対する不服申立てとしての準抗告です。証拠が押収済みであること、関係者の取調べが終わっていること、示談が成立したことなど、罪証隠滅のおそれが低下した事情を具体的に示します。いずれの場合も、家族の側で用意する資料が判断材料になります。渡航歴、居住関係、勤務先、家族関係を示す書類は、早い段階から準備しておくとよいでしょう。
手紙、写真、現金の扱い
接見等禁止の下では、手紙のやり取りも禁止されます。もっとも、差入れの一部は施設の運用に従って認められることがあり、現金は領置されて本人の口座に記録されます。
一部解除が認められた場合、手紙は施設の検査を経て本人に届きます。外国語の手紙は、内容確認のために時間がかかることがあります。事件の内容や、供述の方針に触れる記述は避け、生活や健康に関する内容にとどめるのが安全です。写真の差入れは、施設ごとに枚数や体裁の取扱いが異なります。
身体拘束の長期化が在留資格に及ぼす影響
接見等禁止が続く事件は、勾留も長引きやすく、それ自体が在留資格に影響します。就労や就学が止まるためで、入管法22条の4は、3か月以上その在留資格に応じた活動を行わないで在留していること、正当な理由がある場合を除く、という取消し類型を定めています。
処分の内容による影響はさらに直接的です。入管法24条4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により全部執行猶予が付された場合は除かれます。他方、同条4号チの薬物犯罪は罰金でも執行猶予でも該当し、入管法5条1項5号により期間の定めのない上陸拒否となります。退去強制手続に進んだ場合は入管法50条の在留特別許可を求めることになり、同条5項が家族関係や素行を含む考慮要素を定めています。家族が面会できないまま手続が進むことは、この考慮要素を裏づける資料の収集にも支障を生じさせます。
よくある誤解
第一に、接見禁止は重大事件の証だという理解です。実際には共犯関係の有無や否認の有無に左右されます。第二に、いったん決定が出たら起訴まで動かせないという理解です。一部解除も準抗告も、期間中いつでも検討できます。第三に、弁護人が伝言すれば何でも伝えられるという理解です。事件の中身に関わる伝言は、罪証隠滅と受け取られかねないため、弁護人が内容を選別します。
当事務所の対応
当事務所では、松村大介弁護士が接見に直接足を運び、面会できないご家族との橋渡しを継続的に行います。中国語については外国人事件専属の通訳が常駐しており、ベトナム語を含むその他の言語については事案に応じて通訳人を手配します。
執行猶予判決でも在留への影響が残る場面があるため、不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。刑事の供述調書が違反審査や口頭審理の資料になることを踏まえ、刑事事件と入管手続を一体として設計し、退去強制事由の該当性についても故意や過失の有無を含めて争います。初回相談は無料で、微信IDはmatsumura1119です。
おわりに
会えない期間は、家族にとって最も不安な時間です。しかし、この期間にこそ、一部解除の申立てや準抗告といった打てる手があります。何もできない期間ではありません。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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この記事のベトナム語版はこちらです:https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/2026099015/
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