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オーバーステイは何罪になるのか|入管法70条1項5号と「3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金」の意味

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オーバーステイは何罪になるのか|入管法70条1項5号と「3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金」の意味

オーバーステイは何罪になるのか|入管法70条1項5号と「3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金」の意味

2026/08/27

在留カードに記載された在留期限を過ぎたまま、日本で生活を続けている。更新の手続をしないうちに日が経ち、気づいたときには数か月、あるいは数年が過ぎていた。そうした状況にある方やそのご家族から、「これは犯罪になるのですか」「見つかったらどうなるのですか」というご相談をいただくことがよくあります。不安の多くは、自分の置かれている状態が法律上どう位置づけられているのかが分からないところから生まれます。この記事では、オーバーステイ(不法残留)がどの条文でどのような犯罪とされ、法定刑がどう定められているのか、そして刑事罰とは別に進む入管の手続がどうなっているのかを、条文に即して整理します。

オーバーステイは何という犯罪になりますか

入管法(出入国管理及び難民認定法)70条1項5号が定める罪、いわゆる不法残留罪です。同号は、処罰の対象を「在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(20条6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。)を経過して本邦に残留する者」と定めています。次の要素がそろったときに、この罪が成立します。

  • 許可されていた在留期間が満了していること
  • 在留期間の更新または在留資格の変更の許可を受けていないこと
  • それでもなお日本国内にとどまっていること

括弧書きの「20条6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む」という部分は、更新を申請したまま期限が来てしまった場合の特例期間を指します。適法に申請して審査を待っている間はこの特例期間により在留が認められますので、その期間内であれば不法残留にはあたりません。問題になるのは、申請をしないまま期限を過ぎた場合や、特例期間まで経過してしまった場合です。

不法残留の刑罰はどのくらい重いのですか

入管法70条1項の柱書は、同項各号に該当する者を「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定めています。「併科」とは、拘禁刑と罰金の両方を科すことができるという意味です。

ここで押さえていただきたいのは、これは法定刑、つまり法律が定めた刑の幅であって、実際に言い渡される刑がこの上限になるという意味ではないことです。実務では、検察官が起訴しない判断をすることもあれば、罰金で処理されることも、公判請求されて裁判になることもあります。どの道をたどるかは個別の事情によって幅があります。

なぜ「懲役」ではなく「拘禁刑」と書かれているのですか

令和4年に改正された刑法が令和7年6月1日に施行され、それまでの「懲役」と「禁錮」が廃止されて「拘禁刑」に一本化されたためです。現在の入管法70条1項の法定刑も「3年以下の拘禁刑」と表記されます。インターネット上には改正前に書かれた「3年以下の懲役」という説明が今も多く残っていますが、上限の年数や罰金額が変更されたわけではありません。なお、令和7年5月31日以前に言い渡された判決を引用する場合は当時の表記である「懲役」が用いられます(現行法では拘禁刑に相当します)。

刑事罰と強制送還は同じ手続ですか

別の手続です。オーバーステイは、刑事罰の対象になると同時に、入管法上の退去強制事由にも該当します。この二本立ての構造が、オーバーステイという問題を分かりにくくしている最大の原因です。

入管法24条4号ロは、退去強制の対象となる者として「在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者」を挙げています。70条1項5号とほぼ同じ文言です。同じ一つの事実が、刑事の側では犯罪の構成要件に、入管の側では退去強制事由にあたることになります。

その結果、刑事事件について不起訴となっても、裁判で執行猶予の付いた判決を受けても、それによって24条4号ロの該当性が消えるわけではありません。刑事手続が終わった後も、入管の退去強制手続は別の線として進みます。「刑事処分が軽く済んだから日本に住み続けられる」という理解は正確ではありません。日本に残るためには、入管の手続の中で在留特別許可(入管法50条)の判断を得る必要があります。

オーバーステイの期間が長いと、罪も重くなりますか

法定刑そのものは、滞在期間の長短にかかわらず一律です。1か月でも10年でも、条文上の刑の幅は「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金」で変わりません。変わるのは法定刑ではなく、検察官の処分の選択と、量刑の幅です。

実務上、不法残留の期間の長さは、違法な状態をどれだけ続けたかという犯情を測る中心的な要素として扱われます。一般的な傾向としては、期間が数か月程度にとどまり、自ら出頭して申告し、生活の基盤や家族関係が明確な事案ほど軽い処分に向かいやすく、期間が数年、さらに長期にわたり、不法就労を伴い、偽造された文書の使用など別の違反が重なる事案ほど重い処分に向かいやすいといえます。ただしこれは傾向であって、結論は事案によって幅があります。

そして、刑事処分の軽重と日本に住み続けられるかどうかは別の問題です。むしろ注意を要するのは逆の方向で、仮に1年を超える実刑の判決を受けると、入管法50条1項ただし書により、在留特別許可について「本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る」という加重された要件がかかります。逆にいえば、不法残留(24条4号ロ)だけの事案はこのただし書の対象ではありません。これは在留を求めるうえで有利な出発点です。だからこそ、刑事処分を軽くする活動と在留特別許可を得る活動は、初動から一体のものとして設計しなければなりません。

オーバーステイと一緒に問題になりやすい違反はありますか

あります。実際のご相談では、不法残留だけで終わらず、次のような違反が重なっていることが少なくありません。

  • 資格外活動の専従(入管法70条1項4号。退去強制事由は24条4号イ)
  • 在留資格取消し後の残留(同法70条1項3号、3号の2、3号の3)
  • 出国命令の出国期限を経過した残留(同法70条1項8号の2)
  • 不法就労助長(退去強制事由は同法24条3号の4。この事由は行為そのもので該当し、刑事処罰を受けたことは要件とされていません)

違反が重なることの意味は、処分が重くなることにとどまりません。後で述べる出国命令の制度は入管法24条の3の要件をすべて満たす必要があり、そのうち第2号は24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで等のいずれにも該当しないことを求めています。違反が重なると、この要件を満たせず、そもそも出国命令という選択肢が使えなくなることがあります。

摘発される前に、自ら動くことの意味

不法残留の事案では、誰がきっかけを作ったかがその後の道筋を大きく分けます。これは心構えの問題ではなく、条文上の帰結です。入管法24条の3は、出国命令の対象者を、24条4号ロ等に該当する外国人のうち次の要件をすべて満たす者と定めています。

  • 第1号イ=27条の違反調査の開始前に、速やかに出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した者、または第1号ロ=違反調査の開始後、47条3項の通知を受ける前に、入国審査官または入国警備官に対して速やかに出国する意思がある旨を表明した者であること
  • 第2号=24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号または9号のいずれにも該当しないこと
  • 第3号=入国後に、住居侵入、通貨・文書・有価証券等の偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐、窃盗強盗、詐欺恐喝、盗品等の各罪や、暴力行為等処罰法・盗犯等防止法・特殊開錠用具所持禁止法・自動車運転死傷処罰法等の一定の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと
  • 第4号=過去に退去を強制されたこと、または出国命令により出国したことがないこと
  • 第5号=速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること

出国命令が出されると、主任審査官は速やかに出国を命じ、15日を超えない範囲内で出国期限を定めます(入管法55条の85第1項)。住居や行動範囲の制限などの条件が付されることもあります(同条3項)。退去強制手続と異なり、出国命令の手続は収容を前提としません。

差がもっともはっきり表れるのは、もう一度日本に来られるまでの期間、すなわち上陸拒否期間(入管法5条1項9号)です。

  • 違反調査の開始前に自ら出頭した者(24条の3第1号イ)が出国命令で出国した場合は、出国した日から1年(5条1項9号ホ)
  • 違反調査の開始後に出国意思を表明した者(同号ロ)が出国命令で出国し、その後に短期滞在の活動を行おうとする場合は、出国した日から5年(同項9号ヘ)
  • 出国命令が使えず退去強制となり、それ以前に退去強制歴・出国命令歴がない場合は退去の日から5年(同項9号ハ)、既に退去強制歴・出国命令歴がある場合は10年(同項9号ニ)
  • 24条4号オからヨまでに該当して退去強制された場合は期間の定めがありません(同項10号)。薬物関係法令違反による処罰歴がある場合(同項5号)も年限の定めのない上陸拒否となります

また、在留特別許可に係るガイドライン(令和6年3月改定、同年6月10日施行)は、在留特別許可を退去を強制されるべき外国人に対する例外的・恩恵的な措置と位置づけたうえで、「当該外国人が、不法滞在を申告するため、自ら地方出入国在留管理官署に出頭したこと」を積極要素として考慮すると明記しています。他方、不法滞在の長期化は消極要素として評価されます。時間が経つほど不利な材料が積み上がる構造です。もっとも、準備のないまま出頭すると、本来評価されたはずの事情が記録に残らないまま手続が進むことがありますので、出頭の可否と時期は弁護士と相談のうえ決めていただくのが安全です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

オーバーステイは、入管法70条1項5号の犯罪であると同時に、24条4号ロの退去強制事由でもあります。この二本の線がどちらも動くこと、そして自ら出頭するかどうかで上陸拒否期間が1年にも5年にも10年にもなりうることが、初動の判断が重い理由です。迷っている時間そのものが不利に働く構造ですので、方針を決める前の段階でご相談いただいて構いません。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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