舟渡国際法律事務所

特定技能・経営管理でオーバーステイになってしまったとき

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特定技能・経営管理でオーバーステイになってしまったとき

特定技能・経営管理でオーバーステイになってしまったとき

2026/08/27

受入れ機関を辞めたばかりだった。会社の売上が落ちて更新が認められなかった。そうしているうちに在留期限を過ぎてしまい、どうしてよいか分からないまま日が経っている。特定技能や経営・管理の在留資格で来日された方から、そうしたご相談をいただくことがあります。期限を過ぎた事実そのものは、もう変えられません。けれども、そこから先に何をするかによって、日本に残れる可能性も、いったん出国した場合に再び日本へ入れるようになるまでの年数も、大きく変わります。この二つの在留資格に特有の事情を踏まえて、法律上の扱いと、いまできることを整理します。

特定技能や経営・管理の在留期限を過ぎると、どのような法律違反になりますか

在留期間の更新も変更も受けないまま在留期間を過ぎて日本に残っている状態は、入管法70条1項5号の不法残留罪にあたります。法定刑は同項柱書のとおり、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその両方です。これと同時に、入管法24条4号ロにより退去強制事由にも該当します。刑事罰の手続と、日本から出ていくことを強制される行政手続とが、二本立てで進むということです。この扱いは在留資格の種類によって変わるものではなく、特定技能でも経営・管理でも同じです。

受入れ機関を辞めた後、何もしないでいるとどうなりますか

在留期限を待たずに、在留資格そのものを失う危険が生じます。所属機関や契約機関に変更が生じたときは、入管法19条の16により14日以内に届け出る義務があります。そのうえで入管法22条の4第1項6号は、別表第一の在留資格をもって在留する方が、その在留資格に係る活動を継続して3か月以上行わないで在留していること(正当な理由がある場合を除きます)を、在留資格取消しの事由としています。取消しの際には出国のための期間が指定されることがあり、その期間を過ぎて残留すれば、入管法70条1項3号・3号の2・3号の3の対象となり得ます。

逆にいえば、在留期間が残っているうちに動けば道は残ります。特定技能で次の受入れ機関が決まれば速やかに在留資格変更許可申請を、経営・管理で事業を続けるなら更新申請をします。満了前に申請していれば、処分がされる日、又は満了日から2か月を経過する日までは在留できます(入管法20条6項)。不法残留罪の条文が「20条6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む」と括弧書きを置いているのはそのためで、審査を待っている状態そのものはオーバーステイではありません。期限を過ぎてしまった後では、この道は使えません。

経営・管理で「事業の実態がない」と判断されると、どのような不利益がありますか

更新が認められにくくなるだけでなく、在留資格取消しの検討対象にもなり、その後の在留特別許可の見通しにも影響します。経営・管理の在留資格は、事業所が確保されていることや、事業の規模・継続性について、上陸許可の基準を定める省令の要件を満たすことを前提としています。登記だけが残っていて事業の実体が確認できない、事務所を実際には使っていない、入金も支出も動いていないといった状態は、審査で消極的に評価されます。入管法50条5項は、在留特別許可の考慮事情として「在留を希望する理由」「本邦に在留している期間」「その間の法的地位」を挙げていますから、事業の実態を示せないことは、在留を希望する理由そのものの弱さとして評価されてしまいます。特定技能でも同じで、受入れ機関との雇用契約に基づく就労の実態を説明できるかどうかが要になります。示すべきは、次のような客観的な資料です。

  • 事業所の賃貸借契約書と、その場所を実際に使用していたことが分かる資料
  • 確定申告書、決算書、帳簿などの税務に関する資料
  • 取引先との契約書、請求書、入出金の記録
  • 雇用契約書、賃金台帳、社会保険に関する資料
  • 特定技能の場合は、受入れ機関との雇用契約書、給与明細、勤務や支援の記録

一つひとつは断片でも、互いに矛盾なくつながっていれば、事業や就労が現実に動いていたことの説明になります。逆に、後から作られた資料であることがうかがわれると、かえって不利に働きます。手元にあるものを、そのまま整理してお持ちください。

摘発される前に自ら出頭することには、どのような意味がありますか

その後に日本へ戻ってこられるまでの年数が、大きく変わります。入管法24条の3は、24条4号ロなどに該当する方について、出国命令の対象となる要件を五つ定めています。

  • 27条の違反調査の開始前に、速やかに出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭したこと(同条1号イ)、又は違反調査の開始後、47条3項の通知を受ける前に速やかに出国する意思がある旨を表明したこと(同号ロ)
  • 24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号又は9号のいずれにも該当しないこと
  • 入国後に、住居侵入、通貨・文書・有価証券の偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐、窃盗強盗、詐欺恐喝、盗品等など同条3号が列挙する罪により拘禁刑に処せられていないこと
  • 過去に本邦からの退去を強制されたことも、出国命令により出国したこともないこと
  • 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること

これらをすべて満たすとき、主任審査官は速やかに出国を命じ、15日を超えない範囲内で出国期限を定めます(入管法55条の85第1項)。この手続は、退去強制手続と異なり収容を前提としません。

出頭申告と摘発では、次に日本へ来られる時期がどれくらい違いますか

上陸拒否期間の条文が異なります。違反調査の開始前に自ら出頭し、出国命令により出国した場合は、出国した日から1年です(入管法5条1項9号ホ)。これに対し、違反調査が始まってから出国の意思を表明した場合(24条の3第1号ロ)に、その後に短期滞在の活動を行おうとするときは、出国した日から5年となります(同項9号ヘ)。摘発されて出国命令の要件を欠けば退去強制となり、退去の日から5年(同項9号ハ)、過去に退去強制歴や出国命令歴があれば10年(同項9号ニ)です。在留特別許可に係るガイドライン(令和6年3月改定、同年6月10日施行)も、不法滞在を申告するために自ら地方出入国在留管理官署に出頭したことを積極要素として明記しています。他方、不法滞在の長期化は消極要素とされます。事業がうまくいかなくなった時点、契約が終わった時点でご相談いただければ、選べる道はまだ残っています。

在留特別許可を求めることはできますか

できます。入管法50条1項は、退去強制対象者に該当する場合であっても、当該外国人からの申請により又は職権で、在留を特別に許可することができると定めており、特定技能や経営・管理からの不法残留は、その多くが同項5号(その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき)の枠組みで検討されます。同項ただし書は、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた方などについて「本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る」という加重要件を置いていますが、不法残留(24条4号ロ)だけの事案は、このただし書の対象ではありません。ここは有利な出発点です。

手続の面では、申請は収容令書により収容された方、又は監理措置決定を受けた方が行うことができ(50条2項)、退去強制令書が発付された後は申請できません(同条3項)。判断がされるのは、認定・判定に服したとき、又は異議の申出に理由がないと裁決された後です(同条4項)。考慮事情は50条5項に定められており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、在留している期間とその間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性のほか、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情が考慮されます。ガイドラインは、在留特別許可を例外的・恩恵的に行われる措置と位置づけています。許可しない処分がされるときは、理由を付した書面で知らされます(同条10項)。

刑事処分が軽く済めば、日本に残れますか

刑事処分の軽重と、在留を続けられるかどうかは別の問題です。不法残留罪の法定刑は滞在期間にかかわらず一律で、期間の長短によって変わるのは、検察官の処分の選択と量刑の幅です。実務上、オーバーステイの期間の長さは、違法な状態を継続させた期間として処分の重さに直結する中心的な要素です。期間が短く、自ら出頭し、生活の基盤や家族関係が明確な事案ほど軽い処分に向かいやすく、期間が長期にわたり、不法就労や偽造文書などの別の違反が重なる事案ほど重い処分に向かいやすいといえます。もっとも、事案により幅があり、一律には申し上げられません。そして、刑事で不起訴や執行猶予となっても、24条4号ロによる退去強制手続はそのまま進みます。逆に、実刑が1年を超えると50条1項ただし書の加重要件がかかり、在留特別許可の見通しは大きく厳しくなります。だからこそ、刑事処分を軽くする活動と、在留の許可を求める活動は、初動から一体で設計しなければなりません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所は、東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階にあります。松村大介弁護士は第一東京弁護士会に所属し(登録番号59077、2019年登録)、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。

体制の特徴は三つです。第一に、警察署での最初の接見から公判の結審まで、松村弁護士が全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士に代行させることはありません。第二に、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用できることは、事業の内容や取引の経緯、雇用契約の実態を細かく説明しなければならない特定技能・経営管理の事案では、特に意味を持ちます。第三に、刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携の行政書士とワンストップで対応します。

関連する解決事例を二件ご紹介します。一件目は、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された相談者の事案です。婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して婚姻・認知を実現し、国籍国の公的書類がほとんど存在しない状況の中で有利な証拠を集め、過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を獲得しています。二件目は、冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失が不要」とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後、入管から在留特別許可が認められています。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りいたします。

おわりに

在留期限を過ぎていることに気づいた日から、摘発されるまでの間が、いちばん選択肢の多い時間です。特定技能であれば次の受入れ機関を、経営・管理であれば事業の実態を示す資料を、この時間のうちにどこまで整えられるかが、その後を分けます。一人で抱え込まず、早い段階でご相談ください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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電話番号 :050-7587-4639


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