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日本人配偶者と離婚した後にオーバーステイになったとき

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日本人配偶者と離婚した後にオーバーステイになったとき

日本人配偶者と離婚した後にオーバーステイになったとき

2026/08/27

「日本人の配偶者等」の在留資格で暮らしてこられた方が、離婚を経てそのまま在留期限を過ぎてしまう。このご相談は決して珍しいものではありません。離婚の話し合いやお子さんの生活に追われるうちに更新の時期が来てしまった、更新を申請したが認められなかった、といった経緯が多く見られます。いま期限を過ぎたまま日本におられる方は、いつ入管や警察が来るのかという不安を抱えたまま毎日を過ごしておられることと思います。まず知っていただきたいのは、この状態には法律上の道筋があり、どの段階で何をするかによって結果が大きく変わるということです。

日本人配偶者と離婚したら、在留資格はその日に失われますか

離婚した日に在留資格が直ちに消滅するわけではありません。ただし「日本人の配偶者等」は日本人配偶者との身分関係を基礎とする在留資格ですので、離婚によってその基礎が失われ、在留期限が来ても同じ在留資格での更新は原則として認められません。

また、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留している場合には、正当な理由があるときを除き、在留資格の取消しの対象となり得ます(入管法22条の4)。離婚し、又は死別したときは、その日から14日以内に出入国在留管理庁に届け出る義務もあります(入管法19条の16)。まだ在留期限内であれば、お子さんの養育などの事情に応じて他の在留資格への変更を検討する余地が残っています。期限を過ぎる前か後かで、選べる手続がまったく違ってきます。

離婚後に在留期限を過ぎてしまうと、どのような責任が生じますか

刑事上の責任と行政上の責任が同時に生じ、この二つは別々の手続として進みます。

刑事上は、在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する行為が、入管法70条1項5号の不法残留罪にあたります。法定刑は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、と定められています(同項柱書)。オーバーステイは行政手続上の問題にとどまらず、刑事罰の対象となる犯罪です。

行政上は、同じ事実が入管法24条4号ロの退去強制事由にあたります。よくある誤解は、刑事事件で不起訴になった、あるいは執行猶予がついたから在留は大丈夫だ、という理解です。24条4号ロは刑事処分の内容とは無関係に、在留期間を経過して残留したという事実だけで成立しますので、刑事処分が軽くても退去強制手続は別途進みます。

オーバーステイの期間が長いと、刑事処分は重くなりますか

法定刑は滞在期間の長短にかかわらず一律です。変わるのは検察官の処分の選択と量刑の幅であり、期間の長さは、違法な状態を継続させた期間として処分の重さに直結する中心的な要素とされています。期間が比較的短く、自ら出頭し、生活基盤が明確な事案ほど軽い処分に向かいやすく、期間が長期に及び、不法就労を伴い、偽造文書などの別の違反が重なる事案ほど重い処分に向かいやすい傾向がありますが、事案により幅があります。

そして、刑事処分の軽重と日本に在留を続けられるかどうかは別問題です。実刑で1年を超える拘禁刑となれば、在留特別許可について加重された要件がかかります(入管法50条1項ただし書)。刑事処分を軽くする活動と在留特別許可を求める活動は、初動から一体で設計しなければなりません。

日本国籍の子どもを育てている場合、在留が認められる余地はありますか

可能性はありますが、結果を保証できるものではなく、個別の事情によります。

退去強制対象者に該当する場合であっても、法務大臣は、当該外国人からの申請により又は職権で、在留を特別に許可することができます(入管法50条1項)。離婚後のオーバーステイの多くは、同項5号の「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」の判断となります。考慮される事情は法律に明記されており、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性、そのほか内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情です(同条5項)。

日本国籍のお子さんを現に監護し養育している事情は、この「家族関係」と「人道上の配慮の必要性」に直結します。重視されるのは、親権者がどちらかという書面上の形式だけでなく、実際に誰が日々の養育を担っているかという実態です。同居の状況、日常の監護、学校や保育施設との関わり、通院への付添い、養育費の授受、お子さんの就学状況といった事実を、客観的な資料で示していくことになります。

元配偶者からの暴力があった場合、その事情は考慮されますか

考慮の対象になります。在留特別許可に係るガイドライン(令和6年3月改定・同年6月10日施行)は、入管法50条5項の考慮事情ごとに評価の考え方を示しており、配偶者からの暴力によって婚姻関係の継続が困難になった経緯は、在留を希望する理由や人道上の配慮の必要性に関わる事情として位置づけられます。一般論として、公的機関の保護を受けた事案が積極的に評価された例があります。

そのため、配偶者暴力相談支援センターへの相談記録、警察への相談や届出の記録、保護命令に関する裁判所の書面、医療機関の診断書、自治体や支援団体による保護の記録が残っていれば、重要な意味を持ちます。もっとも、これらは極めて機微な事情です。どの資料を、どの段階で、どこまで提出するかは、ご本人とお子さんの安全を最優先に判断する必要があります。相手方に住所や生活状況が伝わらないようにする配慮も含め、弁護士と方針を決めていただくことをお勧めします。

離婚後のオーバーステイでも、出国命令は使えますか

要件を満たせば使えます。出国命令は収容を前提としない手続です。入管法24条の3は、24条2号の4、4号ロ、6号から7号までのいずれかに該当する外国人で、次の5要件をすべて満たす者を対象とします。

  • イ又はロのいずれかに該当すること。イは、27条の規定による違反調査の開始前に、速やかに出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した者。ロは、違反調査の開始後、47条3項の通知を受ける前に、入国審査官又は入国警備官に対して速やかに出国する意思がある旨を表明した者。
  • 24条3号から3号の5まで、4号ハからヨまで、8号又は9号のいずれにも該当しないこと。
  • 本邦に入った後に、刑法の一定の罪(住居侵入、通貨・文書・有価証券・支払用カード電磁的記録の偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐、窃盗強盗、詐欺恐喝、盗品等)、暴力行為等処罰法1条・1条ノ2・1条ノ3の罪、盗犯等防止法の罪、特殊開錠用具所持禁止法15条・16条の罪、自動車運転死傷処罰法2条・6条1項の罪、盗難特定金属製物品処分防止法22条の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと。
  • 過去に本邦からの退去を強制されたこと、又は55条の85第1項の規定による出国命令により出国したことがないこと。
  • 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること。

出国命令となった場合、主任審査官は速やかに出国を命じ、15日を超えない範囲内で出国期限を定めます(55条の85第1項)。住居や行動範囲の制限などの条件が付されることもあります(同条3項)。

在留特別許可は、いつ申請できますか

申請できる時期は法律で決まっています。在留特別許可の申請は、収容令書により収容された外国人、又は監理措置決定を受けた外国人が、法務省令で定める手続により法務大臣に対して行います(入管法50条2項)。それ以前の段階では正式な申請権がまだ生じておらず、職権の発動を求める活動として資料を積み上げることになります。他方、退去強制令書が発付された後は申請することができません(同条3項)。令書が出れば、取消訴訟や執行停止の申立てという司法救済の領域に移り、負担も難易度も大きく上がります。

判断の時点も定められており、47条3項の認定・48条8項の判定に服し、又は法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した後でなければ許可はできません(同条4項)。手続は、違反調査(27条以下)、収容令書(39条)又は監理措置決定(44条の2第7項)、違反審査(45条以下)、認定(47条3項)、口頭審理の請求(48条)、判定(48条8項)、法務大臣への異議の申出(49条)、裁決、在留特別許可(50条)又は退去強制令書の発付(51条)という順で進みます。許可をしない処分をするときは、理由を付した書面で知らせなければなりません(同条10項)。

離婚後のオーバーステイの事案で有利に働く点があります。入管法50条1項ただし書は、無期若しくは1年を超える拘禁刑に処せられた者(刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者、及び一部猶予で実刑部分が1年以下の者を除く)、又は24条3号の2・3号の3・4号ハ・4号オからヨまでに該当する者について、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る、という加重要件を定めています。不法残留(24条4号ロ)のみが問題となる事案は、この加重要件の対象ではありません。

摘発される前に、自ら動くことの意味

離婚後の事案では、自ら出頭するか摘発を待つかで、その後に選べる道が大きく変わります。

第一に、上陸拒否期間が変わります。違反調査の開始前に自ら出頭すれば24条の3第1号イにあたり、出国命令で出国した場合の上陸拒否期間は出国した日から1年です(5条1項9号ホ)。違反調査が始まってから出国の意思を表明した場合(同第1号ロ)は、その後に短期滞在の活動を行おうとするときの上陸拒否期間が5年になります(5条1項9号ヘ)。摘発によって出国命令の要件を欠けば退去強制となり、退去の日から5年(5条1項9号ハ)、以前にも退去強制歴や出国命令歴があれば10年(同号ニ)です。

第二に、評価が変わります。ガイドラインは、不法滞在を申告するため自ら地方出入国在留管理官署に出頭したことを積極要素として考慮すると明記する一方、不法滞在の長期化は消極要素として評価するとしています。お子さんの養育を理由に在留の継続を求める事案であればなおのこと、待つほど消極要素が積み上がる構造です。

第三に、準備の質が変わります。出頭の時期を選べれば、監護養育の実態を示す資料、生活基盤の資料、暴力被害があった事案では公的機関の記録を整えて手続に臨めますが、突然の摘発ではこの準備ができません。在留特別許可は、退去を強制されるべき外国人に対して例外的・恩恵的に行われる措置と位置づけられており、準備の差はそのまま結果の差になり得ます。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属)が、最初の面会から刑事裁判の結審、その後の入管手続まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者本人のために動く通訳を利用していただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新や変更は、提携する行政書士とワンストップで対応します。

離婚と在留資格に関わる事案では、次のような解決実績があります。

  • 観光目的で来日した相談者が日本人女性との間にお子さんを授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされましたが、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻と認知を成立させ、刑事裁判を見据えた被告人質問と証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況でしたが、有利な証拠を集め、過去の許可事例を分析したうえで、1回の手続で在留特別許可を獲得しました。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りいたします。ご本人が身柄を拘束されている場合には、ご家族からのご相談も承ります。

最後に

離婚によって在留資格の基礎を失った状態は、放置すれば消極要素だけが積み上がっていきます。早い段階でご相談いただければ、出頭の時期を選び、資料を整え、刑事処分への対応と在留特別許可を求める活動を一体で設計することができます。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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電話番号 :050-7587-4639


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